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79 覚悟
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いよいよ来週が文化祭ライブという日曜日。
ユウトは最後の練習を練習場で行う予定。
午前10時。
さぁ出掛けようというところで、フィカスがナイトに『問題発生』と言って来た。
二人でコショコショ話しているのを『仲いいなぁ』と思いながら見てるユウト。
漏れ聞こえる声から、二人がどこかへ出掛けなければならないらしいと分かる。
「ゴメン、少し聞こえちゃって。
どこか行かなきゃなんでしょ?
どうぞ、行って来て大丈夫だよ。
僕はすぐ近くの練習場行くだけだし。
軽く通しで何回か練習したらここに戻って来てるから」
「‥なッ!?」
「‥聞こえ‥!?」
ユウトはすごく耳が良いのだ。
「ね?そうして」
「いや…だが…うぅ…くそッ」
「ええ…まぁ…はい…はぁ…」
「ふふっ、たまには二人っきりでデー…」
「「ユウトッ!!」」
「違うぞッ!」
「絶対無いです!」
いきり立つ二人!
ユウトに掴み掛からんばかりの剣幕だ!
≪ニコッ≫
「「‥ハッ‥」」
「ん…コホン…」
「お、大人をからかわない様に」
笑顔一つでヘロヘロフニャフニャになる二人…
頬を染めて口笛を吹いたりポケットに手を突っ込んだりしている…
簡単すぎやろ…
☆☆
ナイトとフィカスはフィカスの運転で目的地へ車を飛ばしている。
車を大破させたばかりだが、超速で新車を手に入れ、高速をクレイジーなスピードで爆走中である。
ユウトを一人にしたくない二人だが。
今回はユウトの言う通りにするしかない。
なのでサッサと目的地に着き用事を済ませユウトと合流したいのだ。
とにかくユウトが可愛過ぎて心配なのだ。
「それにしても『組織』が俺まで呼び出すなんて初めてだ。
――何がある?」
「分かりません。
先日の事故に関してなら私一人でいい筈ですしね?」
「――フィカス、
ユウトを守るぞ」
「―――え?」
フィカスはギクリとする。
あの事故で死ななかったのはユウトのお陰‥
ユウトに救われたらしい事はナイトに言ってない。
ユウトはその話題をはぐらかすし。
確信が持てないから…
いや本当は、二人だけの秘密にしたい気持ちがある。
ユウトはあのゾッとするほど美しい金色の瞳をまだナイトには見せていない様だから‥‥
だが、ナイトは知っているのか?
「俺は今まで、自分の生死に無関心だった。
『組織』に殺されても別に仕方ないとしか思ってなかった」
「―――ッ!
‥それは…私もです」
「ああ、俺達はそうだったな。
だが今。
俺はユウトを守りたい
…から死にたくない」
「‥ですね。
もちろん私もです」
「…もしもの時は…」
「『もしも』とは」
「『組織』に死を言い渡された時は…」
フッとフィカスが笑う
助手席のナイトは視線だけフィカスに向ける。
「俺達は弱くなった」
ナイトの静かな声。
大切なものを見つけてしまった。
ユウトの事は3~4年前から守って来た。
影から見守るという形で。
一緒に暮らす様になった今。
その頃とは比べ物にならないほど命が愛しい。
何も持たず何が――命すらいつどうなってもどうでも良かった頃とは別人だ。
『組織』の用事は何か
そんな事に怯える日が来るとは――
「はい。弱く。
そして本当の意味で強くなっています」
「じゃあ‥」
「はい。
全力で抵抗――
闘います」
ナイトは頷き、その後は黙って車が目的地に着くのを待った。
ユウトは最後の練習を練習場で行う予定。
午前10時。
さぁ出掛けようというところで、フィカスがナイトに『問題発生』と言って来た。
二人でコショコショ話しているのを『仲いいなぁ』と思いながら見てるユウト。
漏れ聞こえる声から、二人がどこかへ出掛けなければならないらしいと分かる。
「ゴメン、少し聞こえちゃって。
どこか行かなきゃなんでしょ?
どうぞ、行って来て大丈夫だよ。
僕はすぐ近くの練習場行くだけだし。
軽く通しで何回か練習したらここに戻って来てるから」
「‥なッ!?」
「‥聞こえ‥!?」
ユウトはすごく耳が良いのだ。
「ね?そうして」
「いや…だが…うぅ…くそッ」
「ええ…まぁ…はい…はぁ…」
「ふふっ、たまには二人っきりでデー…」
「「ユウトッ!!」」
「違うぞッ!」
「絶対無いです!」
いきり立つ二人!
ユウトに掴み掛からんばかりの剣幕だ!
≪ニコッ≫
「「‥ハッ‥」」
「ん…コホン…」
「お、大人をからかわない様に」
笑顔一つでヘロヘロフニャフニャになる二人…
頬を染めて口笛を吹いたりポケットに手を突っ込んだりしている…
簡単すぎやろ…
☆☆
ナイトとフィカスはフィカスの運転で目的地へ車を飛ばしている。
車を大破させたばかりだが、超速で新車を手に入れ、高速をクレイジーなスピードで爆走中である。
ユウトを一人にしたくない二人だが。
今回はユウトの言う通りにするしかない。
なのでサッサと目的地に着き用事を済ませユウトと合流したいのだ。
とにかくユウトが可愛過ぎて心配なのだ。
「それにしても『組織』が俺まで呼び出すなんて初めてだ。
――何がある?」
「分かりません。
先日の事故に関してなら私一人でいい筈ですしね?」
「――フィカス、
ユウトを守るぞ」
「―――え?」
フィカスはギクリとする。
あの事故で死ななかったのはユウトのお陰‥
ユウトに救われたらしい事はナイトに言ってない。
ユウトはその話題をはぐらかすし。
確信が持てないから…
いや本当は、二人だけの秘密にしたい気持ちがある。
ユウトはあのゾッとするほど美しい金色の瞳をまだナイトには見せていない様だから‥‥
だが、ナイトは知っているのか?
「俺は今まで、自分の生死に無関心だった。
『組織』に殺されても別に仕方ないとしか思ってなかった」
「―――ッ!
‥それは…私もです」
「ああ、俺達はそうだったな。
だが今。
俺はユウトを守りたい
…から死にたくない」
「‥ですね。
もちろん私もです」
「…もしもの時は…」
「『もしも』とは」
「『組織』に死を言い渡された時は…」
フッとフィカスが笑う
助手席のナイトは視線だけフィカスに向ける。
「俺達は弱くなった」
ナイトの静かな声。
大切なものを見つけてしまった。
ユウトの事は3~4年前から守って来た。
影から見守るという形で。
一緒に暮らす様になった今。
その頃とは比べ物にならないほど命が愛しい。
何も持たず何が――命すらいつどうなってもどうでも良かった頃とは別人だ。
『組織』の用事は何か
そんな事に怯える日が来るとは――
「はい。弱く。
そして本当の意味で強くなっています」
「じゃあ‥」
「はい。
全力で抵抗――
闘います」
ナイトは頷き、その後は黙って車が目的地に着くのを待った。
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