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午後の授業は理事長が来て、今後の授業の進め方などを話し合う事になった
――が!
理事長は入試問題を持参している!
そして
キラーーンッ!
ヤバい目をしている!
「南都樫君、君は確か午前中、起きたまま寝言を言っていたよね?」
「三ヵ所間違いがある
――何だ、Mか。
プライドをズタズタに引き裂かれたいのか。
寄越せ。
指摘してやる」
カーーン!
試合開始のゴングが鳴った!
「違うよ!
ここは『敢・え・て』
間違ったんじゃなくて、敢えてこういう形に変更したの!
そのまま出しちゃったら中3に出す問題じゃなくなっちゃうからね!?
中3でも答えられる様な形にわざわざ直したの!」
「元々中3レベルの問題じゃない。
だったらこの問題は出さないのが正解だ。
手直しするにしてもこんな手直しでは逆に問題を複雑にしただけだ。
問題の本質を損なっている上に回答者を迷子にするだけの愚問中の愚問になっている」
延々この調子である。
フィカスは『用事がある』との事で出掛けているからユウトは一人でこの終わりの無い闘いを見物中である。
――はぁ…
退屈だし。
教科書開いても何も頭に入って来ないし。
歌かぁ‥‥
弱点突かれたなぁ‥‥
ダンスもなぁ‥‥
参ったなぁ‥‥
それにしてもヒマ‥‥
スクッ!
黄昏れるのにも疲れたユウトは立ち上がり、事務員のお姉さんの所へ遊びに行こうと決意する!
チラ。
まだやってるし。
というか、ナイトはメチャメチャ面倒そうだけど、理事長、楽しそうだね?
「あと5分で5時限目終了なのでジュース買いに行って来ます。
それとその問題。
最初からコレを推論の材料にしないで例としておけば中学生に出してもおかしくない問題だったし、問題の本質を損なう事も無かったんだと思うよ?
――てことはやっぱり問題側の問題だと思う。
――さて、僕、今、『問題』って何回言ったでしょう?」
「「―――え!?」」
「じゃね~」
パタン。
シーーーン‥
「ッそ、そうか、そ、
確かにそうなる!
えぇ!? あれ!?
ユウト君は0点だったのに、何でそんな指摘が出来る!?」
「…気付いてないのか
ユウトはバカじゃない
紙一重の、バカじゃない方だ」
「まさかそんな事‥」
「理事長は何ヵ国語話せる?」
「え?
日常会話程度なら――
まぁ、5か国語かな」
「ドヤ顔だがユウトは二桁行くはずだ。
ディベート出来るレベルで」
「‥なッ!?
嘘だろう!?
英語のテストだって惨憺たる結果だったのに!?
そう、彼は全教科0点だったんだぞ!?」
「回答する際、独自のフィルターを掛けるんだろう。
凡人の俺には分からん
――と、遅いな。
心配だから行く」
そう言って消える様な速さで退室したナイト。
閉まったドアを見ながら理事長の胸中は荒れまくる。
誰が凡人だって!?
認めたくなかっただけで、南都樫君、君の指摘は正しかった。
君を天才だと認めるしかない。
その君がそこまで言うユウト君は、一体――
ソファに沈み込み、理事長は呟く。
「‥なんて日だ‥」
その口角は上がっている。
――が!
理事長は入試問題を持参している!
そして
キラーーンッ!
ヤバい目をしている!
「南都樫君、君は確か午前中、起きたまま寝言を言っていたよね?」
「三ヵ所間違いがある
――何だ、Mか。
プライドをズタズタに引き裂かれたいのか。
寄越せ。
指摘してやる」
カーーン!
試合開始のゴングが鳴った!
「違うよ!
ここは『敢・え・て』
間違ったんじゃなくて、敢えてこういう形に変更したの!
そのまま出しちゃったら中3に出す問題じゃなくなっちゃうからね!?
中3でも答えられる様な形にわざわざ直したの!」
「元々中3レベルの問題じゃない。
だったらこの問題は出さないのが正解だ。
手直しするにしてもこんな手直しでは逆に問題を複雑にしただけだ。
問題の本質を損なっている上に回答者を迷子にするだけの愚問中の愚問になっている」
延々この調子である。
フィカスは『用事がある』との事で出掛けているからユウトは一人でこの終わりの無い闘いを見物中である。
――はぁ…
退屈だし。
教科書開いても何も頭に入って来ないし。
歌かぁ‥‥
弱点突かれたなぁ‥‥
ダンスもなぁ‥‥
参ったなぁ‥‥
それにしてもヒマ‥‥
スクッ!
黄昏れるのにも疲れたユウトは立ち上がり、事務員のお姉さんの所へ遊びに行こうと決意する!
チラ。
まだやってるし。
というか、ナイトはメチャメチャ面倒そうだけど、理事長、楽しそうだね?
「あと5分で5時限目終了なのでジュース買いに行って来ます。
それとその問題。
最初からコレを推論の材料にしないで例としておけば中学生に出してもおかしくない問題だったし、問題の本質を損なう事も無かったんだと思うよ?
――てことはやっぱり問題側の問題だと思う。
――さて、僕、今、『問題』って何回言ったでしょう?」
「「―――え!?」」
「じゃね~」
パタン。
シーーーン‥
「ッそ、そうか、そ、
確かにそうなる!
えぇ!? あれ!?
ユウト君は0点だったのに、何でそんな指摘が出来る!?」
「…気付いてないのか
ユウトはバカじゃない
紙一重の、バカじゃない方だ」
「まさかそんな事‥」
「理事長は何ヵ国語話せる?」
「え?
日常会話程度なら――
まぁ、5か国語かな」
「ドヤ顔だがユウトは二桁行くはずだ。
ディベート出来るレベルで」
「‥なッ!?
嘘だろう!?
英語のテストだって惨憺たる結果だったのに!?
そう、彼は全教科0点だったんだぞ!?」
「回答する際、独自のフィルターを掛けるんだろう。
凡人の俺には分からん
――と、遅いな。
心配だから行く」
そう言って消える様な速さで退室したナイト。
閉まったドアを見ながら理事長の胸中は荒れまくる。
誰が凡人だって!?
認めたくなかっただけで、南都樫君、君の指摘は正しかった。
君を天才だと認めるしかない。
その君がそこまで言うユウト君は、一体――
ソファに沈み込み、理事長は呟く。
「‥なんて日だ‥」
その口角は上がっている。
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