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35 ここに住まないか?
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ガチャリ
「‥ッッ!」
ナイトが玄関ドアを開けると、すぐそこにユウトが立っている。
居間に居るだろうと思っていたナイトは面食らう。
ユウトの手にはフィカスが届けてくれた着替え。
食事に行くだけだから着替える必要もないだろうと着替えなかったのだ。
食事には着て行かなかった制服のブレザーもキチンと着て体に斜めに掛けていたリュックも掛けている。
つまり、
「帰るよ。
今日は本当にありがとう!」
バタン
ユウトを通す事無く玄関ドアを閉めるナイト。
カチャリ
更に鍵。
「――ナイト?」
「話がある」
☆
居間に場所を移して。
ユウトはお茶を淹れている。
日本茶を淹れる所作の美しさに見入るナイト。
ソファに座ってお茶を待つ自分の方が客の様だと思う。
「炊飯器も無いのに急須とお茶葉があるのが不思議だよね。
それにフィカスさん。
完璧なのにお茶を淹れるのメチャメチャ下手なのがギャップ?
女子なら萌えるんだろうね。
ハイどうぞ。
熱いから気を付けて」
「ズズッ
熱い。美味い」
「火傷しないようにね
――さっき、そこの窓から星を見てた。
ウジャウジャとたくさんあって恐いよね」
「『恐い』
珍しい意見だ。
だが俺もそう思う」
(だろうね)
「話って?」
ナイトの向かい側に腰かけたユウトからは、ついさっき開けてそのままになっているカーテンの隙間から星空が見える。
ギラギラと何かを主張して来るような星の瞬き。
ユウトはツイと立ち上がりカーテンをしっかり閉めてホッと息をつく。
「言いづらい。
が言う。
ここに住まないか?」
「ゴクッ
ぅあつッ熱い、あッ」
「大丈夫か?
火傷か?」
「大丈夫、うん。
僕喉はメチャメチャ強いから直ぐに治る。
――で?
僕がここに住むってどういう事?
ナイト?」
ナイトは台所からミネラルウォーターのペットボトルを持って戻って来る。
「とりあえず水飲んで冷やせ。
冷蔵庫に入れてないからあまり冷えてないが。
ウチは氷を作ってないフィカスに氷が無いか聞いてみ――」
スマホを操作しようとするナイトの手にユウトの手が重なる。
視線を向けるナイトにユウトは『優し過ぎ』と言って困った様に笑う。
カッ
上気するナイトの頬。
何故かフリーズしたナイトにユウトは質問する。
「ありがとう。
喉は大丈夫だよ。
本当に強いんだ。
それより、本気?
僕がここに住むって、ナイトと同居するって事でしょ?
ナイトは他人と暮らせないってフィカスさん言ってたよ?
その執事のフィカスさんですら一緒に住めないのに、僕と住めるの?」
「住めると思う」
「うん――
やってみなきゃ分かんないよね。
でも何で僕にここに住む様勧めるの?」
「守りやすい。
今日みたいな事には二度とならない様に、出来るだけ側に居て守りたい。
一緒に暮らせば、一緒に学校行けるし、登下校の守りは完璧になる。
校内に関しては理事長に直談判するつもり――」
「ちょちょちょっと待って!
何で僕がナイトの護衛対象になってるの!?
大体、根本的なところが間違ってるよ?
僕とナイトは別々の高校なんだから――」
「俺も橘高へ行く」
「―――はあぁ!?」
『はあぁ!?』の口のまま。
今度はユウトがフリーズするのだった。
「‥ッッ!」
ナイトが玄関ドアを開けると、すぐそこにユウトが立っている。
居間に居るだろうと思っていたナイトは面食らう。
ユウトの手にはフィカスが届けてくれた着替え。
食事に行くだけだから着替える必要もないだろうと着替えなかったのだ。
食事には着て行かなかった制服のブレザーもキチンと着て体に斜めに掛けていたリュックも掛けている。
つまり、
「帰るよ。
今日は本当にありがとう!」
バタン
ユウトを通す事無く玄関ドアを閉めるナイト。
カチャリ
更に鍵。
「――ナイト?」
「話がある」
☆
居間に場所を移して。
ユウトはお茶を淹れている。
日本茶を淹れる所作の美しさに見入るナイト。
ソファに座ってお茶を待つ自分の方が客の様だと思う。
「炊飯器も無いのに急須とお茶葉があるのが不思議だよね。
それにフィカスさん。
完璧なのにお茶を淹れるのメチャメチャ下手なのがギャップ?
女子なら萌えるんだろうね。
ハイどうぞ。
熱いから気を付けて」
「ズズッ
熱い。美味い」
「火傷しないようにね
――さっき、そこの窓から星を見てた。
ウジャウジャとたくさんあって恐いよね」
「『恐い』
珍しい意見だ。
だが俺もそう思う」
(だろうね)
「話って?」
ナイトの向かい側に腰かけたユウトからは、ついさっき開けてそのままになっているカーテンの隙間から星空が見える。
ギラギラと何かを主張して来るような星の瞬き。
ユウトはツイと立ち上がりカーテンをしっかり閉めてホッと息をつく。
「言いづらい。
が言う。
ここに住まないか?」
「ゴクッ
ぅあつッ熱い、あッ」
「大丈夫か?
火傷か?」
「大丈夫、うん。
僕喉はメチャメチャ強いから直ぐに治る。
――で?
僕がここに住むってどういう事?
ナイト?」
ナイトは台所からミネラルウォーターのペットボトルを持って戻って来る。
「とりあえず水飲んで冷やせ。
冷蔵庫に入れてないからあまり冷えてないが。
ウチは氷を作ってないフィカスに氷が無いか聞いてみ――」
スマホを操作しようとするナイトの手にユウトの手が重なる。
視線を向けるナイトにユウトは『優し過ぎ』と言って困った様に笑う。
カッ
上気するナイトの頬。
何故かフリーズしたナイトにユウトは質問する。
「ありがとう。
喉は大丈夫だよ。
本当に強いんだ。
それより、本気?
僕がここに住むって、ナイトと同居するって事でしょ?
ナイトは他人と暮らせないってフィカスさん言ってたよ?
その執事のフィカスさんですら一緒に住めないのに、僕と住めるの?」
「住めると思う」
「うん――
やってみなきゃ分かんないよね。
でも何で僕にここに住む様勧めるの?」
「守りやすい。
今日みたいな事には二度とならない様に、出来るだけ側に居て守りたい。
一緒に暮らせば、一緒に学校行けるし、登下校の守りは完璧になる。
校内に関しては理事長に直談判するつもり――」
「ちょちょちょっと待って!
何で僕がナイトの護衛対象になってるの!?
大体、根本的なところが間違ってるよ?
僕とナイトは別々の高校なんだから――」
「俺も橘高へ行く」
「―――はあぁ!?」
『はあぁ!?』の口のまま。
今度はユウトがフリーズするのだった。
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