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22 穴があるので落ちるしかない
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道の片側には雑木林、その反対側には荒れ地。
田舎の、地元の人も滅多に通らないとある小道に人影一つ。
「おっそいなぁ~~?
まさか、入学式バックレるつもり!?
フザケンナだよ…あ」
御花畑すももは下僕‥いやファンであるモブ田が走って来るのを見て、『やっと来たか』と息を吐くが、どうもモブ田の様子がおかしい。
「どうした?
八桐ユウトが来たんでしょ?
まさか今日に限って別の道を行ったんじゃないでしょ?」
「いや、来るよ、ちゃんと来る。
で、でも、生徒会と運動部主将たちが一緒なんだよ!
ゆーとりんを護衛しているみたいだ」
「…はぁ!?」
そんな話は聞いてない!
去年1年間アイドルだったすももは一度も護衛されて通学した日なんて無い!
前例のない特別扱いにカッとするすももだが、直ぐに青褪める。
すももの背後には、昨夜深夜過ぎまでかかって作った(モブ田に作らせた)落とし穴がある。
八桐ユウトは駅に行く際、必ずこの地元民しか知らない舗装されていない細道を使うと知って、入学式の晴れの日に痛い目を見させてやろうとわざわざ今日準備を整え、今か今かとユウトが来るのを待ち構えていたのだ。
「くッ‥‥
穴に落ちた八桐ユウトにションベンかけて嘲笑ってやろうと思ってたのに!」
「す、すももちゃん、
ソレ、酷い!」
「うるさい!
それよりどーしよう?
昨夜使った進入禁止の看板は…」
「草むらに隠しちゃったし、今から設置しようったって間に合わないよ!
看板を隠した場所はもう過ぎちゃってた!
ホラ、もう声が‥」
「‥ですか。
僕は駅に行く時はいつもこの道を使います」
「へぇ、こんな近道があったんだね」
!!!
「こ、こ、この声は!
富クンの声!
な、何で生徒会長自ら護衛するんだよ!?
くっそ~~~~!」
「もう、白状して謝るしかないよ!
ね、二人で謝ろう?」
「僕が?
何で僕が謝るんだよ?
絶対ヤダね!」
「…じゃあ俺が謝る。
すももちゃんはどこかに隠れてて」
「そうしたいけどさ、ムリなんだよ。
穴の中に僕と富クンのラブラブツーショット写真をいっぱい仕込んであるんだ。
穴を調べられたら僕が絡んでるってバレちゃうの!
う~~~~ッ」
「じゃあ俺が穴に落ちて写真を回収する!」
「モブ田じゃどこにどんな風に仕込んであるか分かんないでしょ!
くそっ、やっぱ僕が落ちて回収するしかない!
あぁもう最悪だよ!」
そう言って覚悟を決めた御花畑すももが本当の『最悪』は自ら作った穴に落ちるだけなんて生易しいものじゃないと知るのはもう少し後である。
田舎の、地元の人も滅多に通らないとある小道に人影一つ。
「おっそいなぁ~~?
まさか、入学式バックレるつもり!?
フザケンナだよ…あ」
御花畑すももは下僕‥いやファンであるモブ田が走って来るのを見て、『やっと来たか』と息を吐くが、どうもモブ田の様子がおかしい。
「どうした?
八桐ユウトが来たんでしょ?
まさか今日に限って別の道を行ったんじゃないでしょ?」
「いや、来るよ、ちゃんと来る。
で、でも、生徒会と運動部主将たちが一緒なんだよ!
ゆーとりんを護衛しているみたいだ」
「…はぁ!?」
そんな話は聞いてない!
去年1年間アイドルだったすももは一度も護衛されて通学した日なんて無い!
前例のない特別扱いにカッとするすももだが、直ぐに青褪める。
すももの背後には、昨夜深夜過ぎまでかかって作った(モブ田に作らせた)落とし穴がある。
八桐ユウトは駅に行く際、必ずこの地元民しか知らない舗装されていない細道を使うと知って、入学式の晴れの日に痛い目を見させてやろうとわざわざ今日準備を整え、今か今かとユウトが来るのを待ち構えていたのだ。
「くッ‥‥
穴に落ちた八桐ユウトにションベンかけて嘲笑ってやろうと思ってたのに!」
「す、すももちゃん、
ソレ、酷い!」
「うるさい!
それよりどーしよう?
昨夜使った進入禁止の看板は…」
「草むらに隠しちゃったし、今から設置しようったって間に合わないよ!
看板を隠した場所はもう過ぎちゃってた!
ホラ、もう声が‥」
「‥ですか。
僕は駅に行く時はいつもこの道を使います」
「へぇ、こんな近道があったんだね」
!!!
「こ、こ、この声は!
富クンの声!
な、何で生徒会長自ら護衛するんだよ!?
くっそ~~~~!」
「もう、白状して謝るしかないよ!
ね、二人で謝ろう?」
「僕が?
何で僕が謝るんだよ?
絶対ヤダね!」
「…じゃあ俺が謝る。
すももちゃんはどこかに隠れてて」
「そうしたいけどさ、ムリなんだよ。
穴の中に僕と富クンのラブラブツーショット写真をいっぱい仕込んであるんだ。
穴を調べられたら僕が絡んでるってバレちゃうの!
う~~~~ッ」
「じゃあ俺が穴に落ちて写真を回収する!」
「モブ田じゃどこにどんな風に仕込んであるか分かんないでしょ!
くそっ、やっぱ僕が落ちて回収するしかない!
あぁもう最悪だよ!」
そう言って覚悟を決めた御花畑すももが本当の『最悪』は自ら作った穴に落ちるだけなんて生易しいものじゃないと知るのはもう少し後である。
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