17 / 104
17 夕刻、其々の企み2
しおりを挟む
「ちょっと!
困りますよ!
ドアは静かに開け閉めしてもらわないと!」
古い喫茶店を買い取ってそのまま古さを生かしてカフェとして経営しているオーナーが声を荒げる。
注意した相手がガッシリとした大きな体の男だと分かって一瞬怯むが、強い視線を変える事は無い。
二十代の美女は無敵だ。
大抵の男は恐れる必要がない。
秒で下僕化させる自信があるのだ。
「すみません、気を付けます」
意外にも礼儀正しく頭を下げた男は近くの男子校の制服を着ている。
(橘高生――あそこの男って、ちょっと調子狂うのよね‥‥)
普通、男が自分に向けて来るチヤホヤ感が橘高生には無い様な気がする。
自分が魅力的過ぎて刺激が強すぎて逆に無反応なのかしらと分析しているが。
丁度いい、コイツでちょっと確かめてみようかな。
そんな風に決めて、カフェオーナーは蠱惑的に微笑み、艶のある声を出す。
「あぁ、いいのよ。
こちらこそ、強く言ってしまってご免ね?
大きな音にビックリしてしまって‥‥」
「コーヒーお願いします」
「――え?…え!?」
注文してサッサと奥の席に向かった橘高生は、自分に向けるべきメロメロな表情を微妙な容姿の金髪ロン毛男子に向けて声を弾ませる。
「連絡くれてありがとう、すももちゃん!
俺、最高にうれしいよ!
でもいいのかな‥‥アイドルと二人きりで会うなんて、禁止事項のはず‥」
「声デカい。
早く座って」
「わ、分かった。
…ソレ食べてるんだ。
やっぱりアイドルは可愛いなぁ」
「コレは僕と同じだからね」
「え?」
「栗スイーツはもうすぐお役御免なのさ。
春になればフレッシュな苺ちゃんが主役になって、渋皮付きの茶色いコイツはみんなに忘れ去られるのさ」
「すももちゃん!
俺は、ずっとすももちゃんを応援し続けるよ!
確かにみんなはもう『ゆーとりん』の話題でもちきりだけど、俺は違う!
すももちゃんはいつまでも俺のアイドルだよ!」
「本当? 信じていいの?」
「もちろん! 俺、すももちゃんの為なら何だってやるよ!」
「ありがとう、実はね、やって欲しい事があるんだ‥‥」
「もちろん!‥‥えッ‥‥」
アー、ソッチか、ナルホド、ナルホド‥‥
カフェオーナーは深く納得し、注文されたコーヒーに鼻クソでも入れてやろうかしらと眉を吊り上げる。
自分の魅力が通用しない種族は彼女にとっては敵である様で。
時代と逆行する感覚は、彼女が美人で、小さな頃から他の女子に対して圧倒的優位を保ち続けて来たからか。
(『男族』は『女族』のものよ!
得体の知れない種族にハイスペックな男を持ってかれるなんて絶対イヤ!)
女族の中に敵はいない。
一人勝ちのはずの猟場で彼女には理解出来ない魅力で猟場を荒らし何故か良質な獲物を奪っていく種族に危機感を募らせる彼女もまた優秀なハンターではある?
困りますよ!
ドアは静かに開け閉めしてもらわないと!」
古い喫茶店を買い取ってそのまま古さを生かしてカフェとして経営しているオーナーが声を荒げる。
注意した相手がガッシリとした大きな体の男だと分かって一瞬怯むが、強い視線を変える事は無い。
二十代の美女は無敵だ。
大抵の男は恐れる必要がない。
秒で下僕化させる自信があるのだ。
「すみません、気を付けます」
意外にも礼儀正しく頭を下げた男は近くの男子校の制服を着ている。
(橘高生――あそこの男って、ちょっと調子狂うのよね‥‥)
普通、男が自分に向けて来るチヤホヤ感が橘高生には無い様な気がする。
自分が魅力的過ぎて刺激が強すぎて逆に無反応なのかしらと分析しているが。
丁度いい、コイツでちょっと確かめてみようかな。
そんな風に決めて、カフェオーナーは蠱惑的に微笑み、艶のある声を出す。
「あぁ、いいのよ。
こちらこそ、強く言ってしまってご免ね?
大きな音にビックリしてしまって‥‥」
「コーヒーお願いします」
「――え?…え!?」
注文してサッサと奥の席に向かった橘高生は、自分に向けるべきメロメロな表情を微妙な容姿の金髪ロン毛男子に向けて声を弾ませる。
「連絡くれてありがとう、すももちゃん!
俺、最高にうれしいよ!
でもいいのかな‥‥アイドルと二人きりで会うなんて、禁止事項のはず‥」
「声デカい。
早く座って」
「わ、分かった。
…ソレ食べてるんだ。
やっぱりアイドルは可愛いなぁ」
「コレは僕と同じだからね」
「え?」
「栗スイーツはもうすぐお役御免なのさ。
春になればフレッシュな苺ちゃんが主役になって、渋皮付きの茶色いコイツはみんなに忘れ去られるのさ」
「すももちゃん!
俺は、ずっとすももちゃんを応援し続けるよ!
確かにみんなはもう『ゆーとりん』の話題でもちきりだけど、俺は違う!
すももちゃんはいつまでも俺のアイドルだよ!」
「本当? 信じていいの?」
「もちろん! 俺、すももちゃんの為なら何だってやるよ!」
「ありがとう、実はね、やって欲しい事があるんだ‥‥」
「もちろん!‥‥えッ‥‥」
アー、ソッチか、ナルホド、ナルホド‥‥
カフェオーナーは深く納得し、注文されたコーヒーに鼻クソでも入れてやろうかしらと眉を吊り上げる。
自分の魅力が通用しない種族は彼女にとっては敵である様で。
時代と逆行する感覚は、彼女が美人で、小さな頃から他の女子に対して圧倒的優位を保ち続けて来たからか。
(『男族』は『女族』のものよ!
得体の知れない種族にハイスペックな男を持ってかれるなんて絶対イヤ!)
女族の中に敵はいない。
一人勝ちのはずの猟場で彼女には理解出来ない魅力で猟場を荒らし何故か良質な獲物を奪っていく種族に危機感を募らせる彼女もまた優秀なハンターではある?
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
My heart in your hand.
津秋
BL
冷静で公平と評される風紀委員長の三年生と、排他的で顔も性格もキツめな一年生がゆっくり距離を縮めて、お互いが特別な人になっていく話。自サイトからの転載です。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ボクの推しアイドルに会える方法
たっぷりチョコ
BL
アイドル好きの姉4人の影響で男性アイドル好きに成長した主人公、雨野明(あめのあきら)。(高2)
学校にバイトに毎日頑張る明が今推しているアイドルは、「ラヴ→ズ」という男性アイドルグループのメンバー、トモセ。
そんなトモセのことが好きすぎて夢の中で毎日会えるようになって・・・。
攻めアイドル×受け乙男 ラブコメファンタジー
バズる間取り
福澤ゆき
BL
元人気子役&アイドルだった伊織は成長すると「劣化した」と叩かれて人気が急落し、世間から忘れられかけていた。ある日、「事故物件に住む」というネットTVの企画の仕事が舞い込んでくる。仕事を選べない伊織は事故物件に住むことになるが、配信中に本当に怪奇現象が起こったことにより、一気にバズり、再び注目を浴びることに。
自称視える隣人イケメン大学生狗飼に「これ以上住まない方がいい」と忠告を受けるが、伊織は芸能界生き残りをかけて、この企画を続行する。やがて怪異はエスカレートしていき……
すでに完結済みの話のため一気に投稿させていただきますmm
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる