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04 癖強な男
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低音の柔らかな美声。
それでいて良く通る声が静かに語る内容は。
「高校生活は少年から大人へと成長する実にエキサイティングな3年間だ」
「はい」
「爆発的な成長は爆発的なエネルギーを生み出す」
「はぁ」
「ユウト君、女性に興味は?」
「えッ!?
そ、それは勿論あります!
男子高校生になれたら女子高校生とお付き合いするのが僕の夢です!」
理事長の美声による突然の質問に、思わず素直に夢を語ってしまうユウト。
だが、桧木がキッパリと言い放つ。
「ダメ!
アイドルは恋愛禁止」
「はぁ!?
そんな横暴な!」
突然、強めの声で口を挟む桧木に、ユウトは思わず言い返す。
桧木はユルユルと首を左右に振り、穏やかな声に戻りユウトに質問する。
「ユウト君、君、推しアイドルはいるかい?」
「え――いますけど」
「その推しに恋人が出来てしまったら、君は平気でいられるかい?
僕は真剣に訊いているんだ。
『推しが幸せならそれでいい』なんて綺麗事言うなよ?
君はガッカリせずそれ迄と同じ熱量で推し続ける事が出来るかい?」
「そ、それは‥‥」
ユウトは話の内容よりも桧木の異常ともいえる圧に圧され口ごもってしまう。
穏やかで優し気なのに恐いのは何故なのか?
理事長は呆れた様に桧木に対して注意する。
「――はぁ、いい加減にし給え、桧木君!
君は我が校のアイドル制度を理解していないのかね?
アイドルの自由恋愛を禁止するなど許されない!
ユウト君、今桧木君が言った事は無視してくれていい」
「理事長ッ!
ですが――」
「話が進まない、
君は退出しなさい」
「――ッ、ですが!」
「――まぁ居てもいいが黙っている事。
今度話の腰を折ったらユウト君をアイドルにという話自体を考え直す。
生徒会が機能しないのではユウト君に危険が及びかねないからね」
「ぐッ‥‥
分かり‥ましたッ」
拳を震わせて俯く桧木にユウトは不安を感じる。
こんな癖強な男が生徒会長の学校に入学して大丈夫だろうか?
ユウトの隣にピッタリとゼロ距離で座っているのも怖すぎる。
でもまぁここしか合格してないし、理事長はマトモそうだから――
「――で、ユウト君にはアイドルとして、生徒達の暴走寸前の性欲を散らす役割を担って欲しいのだよ」
り、理事長もマトモじゃない!
この学校、マトモな人いない!
心の中でそう叫び、ユウトはゴミを見る目で理事長を見てしまう。
ユウトのその視線を受け、『ふふっ』と口角を上げる理事長はマトモかどうかは別にして、怪しげである事は間違いない。
それでいて良く通る声が静かに語る内容は。
「高校生活は少年から大人へと成長する実にエキサイティングな3年間だ」
「はい」
「爆発的な成長は爆発的なエネルギーを生み出す」
「はぁ」
「ユウト君、女性に興味は?」
「えッ!?
そ、それは勿論あります!
男子高校生になれたら女子高校生とお付き合いするのが僕の夢です!」
理事長の美声による突然の質問に、思わず素直に夢を語ってしまうユウト。
だが、桧木がキッパリと言い放つ。
「ダメ!
アイドルは恋愛禁止」
「はぁ!?
そんな横暴な!」
突然、強めの声で口を挟む桧木に、ユウトは思わず言い返す。
桧木はユルユルと首を左右に振り、穏やかな声に戻りユウトに質問する。
「ユウト君、君、推しアイドルはいるかい?」
「え――いますけど」
「その推しに恋人が出来てしまったら、君は平気でいられるかい?
僕は真剣に訊いているんだ。
『推しが幸せならそれでいい』なんて綺麗事言うなよ?
君はガッカリせずそれ迄と同じ熱量で推し続ける事が出来るかい?」
「そ、それは‥‥」
ユウトは話の内容よりも桧木の異常ともいえる圧に圧され口ごもってしまう。
穏やかで優し気なのに恐いのは何故なのか?
理事長は呆れた様に桧木に対して注意する。
「――はぁ、いい加減にし給え、桧木君!
君は我が校のアイドル制度を理解していないのかね?
アイドルの自由恋愛を禁止するなど許されない!
ユウト君、今桧木君が言った事は無視してくれていい」
「理事長ッ!
ですが――」
「話が進まない、
君は退出しなさい」
「――ッ、ですが!」
「――まぁ居てもいいが黙っている事。
今度話の腰を折ったらユウト君をアイドルにという話自体を考え直す。
生徒会が機能しないのではユウト君に危険が及びかねないからね」
「ぐッ‥‥
分かり‥ましたッ」
拳を震わせて俯く桧木にユウトは不安を感じる。
こんな癖強な男が生徒会長の学校に入学して大丈夫だろうか?
ユウトの隣にピッタリとゼロ距離で座っているのも怖すぎる。
でもまぁここしか合格してないし、理事長はマトモそうだから――
「――で、ユウト君にはアイドルとして、生徒達の暴走寸前の性欲を散らす役割を担って欲しいのだよ」
り、理事長もマトモじゃない!
この学校、マトモな人いない!
心の中でそう叫び、ユウトはゴミを見る目で理事長を見てしまう。
ユウトのその視線を受け、『ふふっ』と口角を上げる理事長はマトモかどうかは別にして、怪しげである事は間違いない。
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