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第四章
10 古代魔道具、毒扇! 1
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北宮の王妃の実家である侯爵家の地下にある秘密の宝物庫‥‥
そこには古代魔術に関するお宝が収蔵されている。
王弟フォマルハウトに五日間だけ貸した古代魔術式レシピ集も元々はそこにあった物で、今では家督を継いでいる兄に頼んで譲ってもらった物だ。
父の代だったら絶対許されなかった事だが、血の繋がった現侯爵は北宮の王妃が最初の相手。
北宮の王妃が12才の時1才年上の兄を誘惑し関係を結んだ後は、家でも外でも兄が最大の味方となり、彼女を支えて来た。
妹に異常な執着をする兄は今でも妻子より妹を優先させる。
それは二人の異常な関係が今でも続いている事を意味している。
(それにしても、『パクって来た』とか人聞きの悪い‥‥
私は与えたお礼を貰って来ただけよ)
「何? 扇を開ききったら、何が起こるの?」
「相当ヤバい事が起こるんでしょ?
だって、ヤバ過ぎるから古代魔術は禁止されたんでしょ?
今では知ってる人が居ないぐらいに‥‥」
北宮の王妃がちょっとムッとしているのに気付いているのかいないのか‥‥
男爵夫人たちは無邪気に扇の効果を質問する。
「クスッ(二人とも、醜い笑顔ねぇ)‥‥そうよ。
古代、人間がまだ魔力を持たなかった頃、古代魔術や魔道具を魔物に貰った‥‥
古代魔術は今の魔法や魔術なんて目じゃないぐらいスゴイし、魔物が造った魔道具だって人間の想像を絶するヤバいものばかり‥‥」
自分はそんな古代魔術に精通していて、北宮の王妃で、未来の国王の母‥‥
そしていまだに若く美しいレディ‥‥私から見たら、あんた達、ゴミよ‥‥
そんな優越感まみれの本心に浸りながら、もう何度も繰り返した説明を繰り返す。
「「でっ!? その扇はどうなるのよッ?」」
「実は説明書の効果の部分には現代α語訳が無かったから分かんないのよ。
使い方はバッチリだから、問題ないけどね。
『効果範囲』は『三人』に設定済みだから、後はあの三人の前で扇を広げるだけ。
扇を広げると、扇から何らかの毒が噴射されて、設定された三人に浴びせられる。
毒は空気中に広がったりせず設定された三人にのみ浴びせられるから、近くに居ても大丈夫だし、他に被害が出ないから、毒が噴射されたなんてバレないワケ。
どんな毒かは分からないけど、拷問具の棚ではなかったから大した事ないでしょ。
お綺麗な顔が焼け爛れるぐらいで、死ぬワケじゃないと思うわ」
「「えぇ~~、なぁ~んだぁ~‥‥そんなもんかぁ~~‥‥」」
(全く‥‥この二人、ホント他人の不幸が大好きよね。
ま、私もだけど。
でも今は王太子の婚約、結婚を速やかに成立させるのが大事だからね。
殺すのは後でゆっくり、楽しみながら‥‥)
キラキラキラ‥‥キラキラキラ‥‥
「「「‥ハッ!!」」」
(小声)「ききき来たわよ、嘘ッ、スゴイ素敵ッ、ヤダ、腰抜けそうッ‥‥」
(小声)「ほほほ本当ッ、な、何なの? 廃王子達はカッコ良過ぎ、精霊王子は美し過ぎッ‥‥!」
(小声)「「さっきは遠目で分かんなかったけどダメッ! あの顔潰すなんて!」」
(フンッ、何なのよ、男爵夫人たち‥‥
おばさんのクセに乙女みたいに胸の前で手なんか組んじゃって!
この二人までこんなに簡単に籠絡されるんなら、ますますやらなきゃだわ!
愛する王太子の為に、邪魔になりそうな奴らは潰しとかなきゃね!)
背後に三人の足音、気配、キラキラキラという謎音が少しずつ近付いて来る。
男爵夫人2人は、何とか北宮の王妃を止めようと手をバタバタさせているが、完全無視される。
北宮の王妃はカチカチカチと少しずつ扇を開きながらゆっくり振り返る。
こちらへ向かって来る三人が自分の所へ到達した時に、自分も丁度振り返り終わる様に。
自分と三人が真正面で向き合う瞬間、同時に扇を開ききる様に。
全神経を集中して、完璧なタイミングを計りながらミッションを遂行中である。
コツ、コツ、コツ‥フワリフワァ(香しい香り)‥キラキラキラ‥キラキラキラ‥
カチ‥カチ‥カチ‥カチ‥カチ‥カチ‥
コツ、コツ‥フワリ‥キラキラキラ‥
カチ‥カチ‥カチ‥
コツッ
カチッ(今だわ!完璧なタイミング!‥ハッ!?)
「△☆●◎○☆」
カチッ!
その瞬間、扇から何かがブワッと噴射され、無防備な三人に浴びせられた。
そこには古代魔術に関するお宝が収蔵されている。
王弟フォマルハウトに五日間だけ貸した古代魔術式レシピ集も元々はそこにあった物で、今では家督を継いでいる兄に頼んで譲ってもらった物だ。
父の代だったら絶対許されなかった事だが、血の繋がった現侯爵は北宮の王妃が最初の相手。
北宮の王妃が12才の時1才年上の兄を誘惑し関係を結んだ後は、家でも外でも兄が最大の味方となり、彼女を支えて来た。
妹に異常な執着をする兄は今でも妻子より妹を優先させる。
それは二人の異常な関係が今でも続いている事を意味している。
(それにしても、『パクって来た』とか人聞きの悪い‥‥
私は与えたお礼を貰って来ただけよ)
「何? 扇を開ききったら、何が起こるの?」
「相当ヤバい事が起こるんでしょ?
だって、ヤバ過ぎるから古代魔術は禁止されたんでしょ?
今では知ってる人が居ないぐらいに‥‥」
北宮の王妃がちょっとムッとしているのに気付いているのかいないのか‥‥
男爵夫人たちは無邪気に扇の効果を質問する。
「クスッ(二人とも、醜い笑顔ねぇ)‥‥そうよ。
古代、人間がまだ魔力を持たなかった頃、古代魔術や魔道具を魔物に貰った‥‥
古代魔術は今の魔法や魔術なんて目じゃないぐらいスゴイし、魔物が造った魔道具だって人間の想像を絶するヤバいものばかり‥‥」
自分はそんな古代魔術に精通していて、北宮の王妃で、未来の国王の母‥‥
そしていまだに若く美しいレディ‥‥私から見たら、あんた達、ゴミよ‥‥
そんな優越感まみれの本心に浸りながら、もう何度も繰り返した説明を繰り返す。
「「でっ!? その扇はどうなるのよッ?」」
「実は説明書の効果の部分には現代α語訳が無かったから分かんないのよ。
使い方はバッチリだから、問題ないけどね。
『効果範囲』は『三人』に設定済みだから、後はあの三人の前で扇を広げるだけ。
扇を広げると、扇から何らかの毒が噴射されて、設定された三人に浴びせられる。
毒は空気中に広がったりせず設定された三人にのみ浴びせられるから、近くに居ても大丈夫だし、他に被害が出ないから、毒が噴射されたなんてバレないワケ。
どんな毒かは分からないけど、拷問具の棚ではなかったから大した事ないでしょ。
お綺麗な顔が焼け爛れるぐらいで、死ぬワケじゃないと思うわ」
「「えぇ~~、なぁ~んだぁ~‥‥そんなもんかぁ~~‥‥」」
(全く‥‥この二人、ホント他人の不幸が大好きよね。
ま、私もだけど。
でも今は王太子の婚約、結婚を速やかに成立させるのが大事だからね。
殺すのは後でゆっくり、楽しみながら‥‥)
キラキラキラ‥‥キラキラキラ‥‥
「「「‥ハッ!!」」」
(小声)「ききき来たわよ、嘘ッ、スゴイ素敵ッ、ヤダ、腰抜けそうッ‥‥」
(小声)「ほほほ本当ッ、な、何なの? 廃王子達はカッコ良過ぎ、精霊王子は美し過ぎッ‥‥!」
(小声)「「さっきは遠目で分かんなかったけどダメッ! あの顔潰すなんて!」」
(フンッ、何なのよ、男爵夫人たち‥‥
おばさんのクセに乙女みたいに胸の前で手なんか組んじゃって!
この二人までこんなに簡単に籠絡されるんなら、ますますやらなきゃだわ!
愛する王太子の為に、邪魔になりそうな奴らは潰しとかなきゃね!)
背後に三人の足音、気配、キラキラキラという謎音が少しずつ近付いて来る。
男爵夫人2人は、何とか北宮の王妃を止めようと手をバタバタさせているが、完全無視される。
北宮の王妃はカチカチカチと少しずつ扇を開きながらゆっくり振り返る。
こちらへ向かって来る三人が自分の所へ到達した時に、自分も丁度振り返り終わる様に。
自分と三人が真正面で向き合う瞬間、同時に扇を開ききる様に。
全神経を集中して、完璧なタイミングを計りながらミッションを遂行中である。
コツ、コツ、コツ‥フワリフワァ(香しい香り)‥キラキラキラ‥キラキラキラ‥
カチ‥カチ‥カチ‥カチ‥カチ‥カチ‥
コツ、コツ‥フワリ‥キラキラキラ‥
カチ‥カチ‥カチ‥
コツッ
カチッ(今だわ!完璧なタイミング!‥ハッ!?)
「△☆●◎○☆」
カチッ!
その瞬間、扇から何かがブワッと噴射され、無防備な三人に浴びせられた。
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