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第三章
23 取引 3
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ドォーーーン!
「グワッ!」
フォマルハウトの巨体が壁に叩きつけられ、ダンッと床に倒れ込む。
全身に裂傷を負って血だらけの体‥‥
その体を、北宮の王妃のヒールがゲシゲシと踏みつける。
「‥ハァ、ハァ、‥んの、よくもッ
この私を殺そうとッ!‥ハァ、ハァ、」
フォマルハウトは全身の骨も折れている為動く事も出来ない。
だが床に倒れたまま踏みつけられながらも歓喜の声を上げる。
「‥‥クッククク‥‥素晴らしい!
今のが、古代魔術の力か!」
「はぁっ!?
あんた、何でソレ知ってんのよッ!?」
北宮の王妃はブルリと震え、踏みつけるのを止めて一歩離れる。
「私をレイプした後自分でばらしたんだろうが。
『私のペットになれば『古代魔術式レシピ集』を見せてやってもいい』と」
「‥‥ハッ!
そう言えば‥‥
フン、13才のあんたは可愛かったからね。
私はワイルドなデカい男が好き。
13才のあんたは既に一般成人より体は大きかった。
大きな逞しい体で、弱々しい子供の表情‥‥
イタズラするなと言う方が無理だったわ。
だけど今のあんたはデカすぎ!
全然可愛くないわ!」
北宮の王妃は勝ち誇った声で捲し立てるが‥‥
「それは良かった。
さあ、サッサと古代魔術で私を治癒しろ。
お互い時間を無駄に出来ないだろう?」
フォマルハウトは平然と治癒を要求する。
「‥‥ああ、やっぱりあんた、バカなのねぇ。
いい? おバカな頭じゃ分かんないだろうから教えてあげる。
今、あんたの命は風前の灯火なワケ。
古代魔術はスゴくって、死体を完全に消し去る事だって出来るのよ。
分かった?
あんたの命は私の胸一つでどうとでも出来るワケよ。
だったらあんたがするべき事ってな~~に?
謝罪して、懇願する事でしょう?
ホラ、早くしないとあんたなんか‥‥」
瀕死の大男をさらに追い詰める悦びに唾を飛ばしながら話し続ける北宮の王妃。
その言葉を遮り、フォマルハウトが低い声で告げる。
「ところが私が元気に深海宮殿に戻らなければ大変な事になる。
国民は王太子の父が誰なのか知る事になる。
‥‥私が何の保険もかけずに性悪の住処に来ると思ったか?」
しばらく凍り付いたように沈黙が続く。
蒼白になった北宮の王妃は声を潜める。
「陛下達じゃなくて国民に情報を流すと言うのッ!?
(国民じゃ‥‥手がまわせない‥‥まわしきれない‥‥)
お、王太子は陛下の子よッ!
言いがかりをつけるなら、不敬罪で訴えるわよッ!」
「フン、何が『イタズラするなと言う方が無理だった』だ。
あの頃、お前は焦っていた。
ライバルである西宮、南宮、東宮の王太子妃達と熾烈な争いを繰り広げていた。
お互い間者を忍ばせ、あの手この手で堕胎薬を飲ませようとし‥‥
だが何より必死だったのは兄上から如何に多くのお情けを頂くか。
その点でお前は圧倒的に不利だった。
兄上のお気に入りは東宮の王太子妃で、次いで西宮と南宮。
お前は後継を孕むのに一番遠い所にいた」
「へ、陛下はッ‥皆に平等にお渡り下さったわ‥‥!」
「だが、密度が違った。
北宮への訪問は一時間足らず。
東宮へ行けば翌日にならないと戻らなかった。
『殿下は北では早漏に、東では遅漏になられる』
そんな風に、側近にまで揶揄われていた」
「陛下は女の趣味が悪いのよッ!
私の方が美人だし、胸も、お尻も大きいのにッ
あんな地味な痩せっぽち抱いて、何が面白いっていうのよッ!?」
「‥‥だからお前は、兄上に頼らず孕む方法を考えたんだな‥‥」
「グワッ!」
フォマルハウトの巨体が壁に叩きつけられ、ダンッと床に倒れ込む。
全身に裂傷を負って血だらけの体‥‥
その体を、北宮の王妃のヒールがゲシゲシと踏みつける。
「‥ハァ、ハァ、‥んの、よくもッ
この私を殺そうとッ!‥ハァ、ハァ、」
フォマルハウトは全身の骨も折れている為動く事も出来ない。
だが床に倒れたまま踏みつけられながらも歓喜の声を上げる。
「‥‥クッククク‥‥素晴らしい!
今のが、古代魔術の力か!」
「はぁっ!?
あんた、何でソレ知ってんのよッ!?」
北宮の王妃はブルリと震え、踏みつけるのを止めて一歩離れる。
「私をレイプした後自分でばらしたんだろうが。
『私のペットになれば『古代魔術式レシピ集』を見せてやってもいい』と」
「‥‥ハッ!
そう言えば‥‥
フン、13才のあんたは可愛かったからね。
私はワイルドなデカい男が好き。
13才のあんたは既に一般成人より体は大きかった。
大きな逞しい体で、弱々しい子供の表情‥‥
イタズラするなと言う方が無理だったわ。
だけど今のあんたはデカすぎ!
全然可愛くないわ!」
北宮の王妃は勝ち誇った声で捲し立てるが‥‥
「それは良かった。
さあ、サッサと古代魔術で私を治癒しろ。
お互い時間を無駄に出来ないだろう?」
フォマルハウトは平然と治癒を要求する。
「‥‥ああ、やっぱりあんた、バカなのねぇ。
いい? おバカな頭じゃ分かんないだろうから教えてあげる。
今、あんたの命は風前の灯火なワケ。
古代魔術はスゴくって、死体を完全に消し去る事だって出来るのよ。
分かった?
あんたの命は私の胸一つでどうとでも出来るワケよ。
だったらあんたがするべき事ってな~~に?
謝罪して、懇願する事でしょう?
ホラ、早くしないとあんたなんか‥‥」
瀕死の大男をさらに追い詰める悦びに唾を飛ばしながら話し続ける北宮の王妃。
その言葉を遮り、フォマルハウトが低い声で告げる。
「ところが私が元気に深海宮殿に戻らなければ大変な事になる。
国民は王太子の父が誰なのか知る事になる。
‥‥私が何の保険もかけずに性悪の住処に来ると思ったか?」
しばらく凍り付いたように沈黙が続く。
蒼白になった北宮の王妃は声を潜める。
「陛下達じゃなくて国民に情報を流すと言うのッ!?
(国民じゃ‥‥手がまわせない‥‥まわしきれない‥‥)
お、王太子は陛下の子よッ!
言いがかりをつけるなら、不敬罪で訴えるわよッ!」
「フン、何が『イタズラするなと言う方が無理だった』だ。
あの頃、お前は焦っていた。
ライバルである西宮、南宮、東宮の王太子妃達と熾烈な争いを繰り広げていた。
お互い間者を忍ばせ、あの手この手で堕胎薬を飲ませようとし‥‥
だが何より必死だったのは兄上から如何に多くのお情けを頂くか。
その点でお前は圧倒的に不利だった。
兄上のお気に入りは東宮の王太子妃で、次いで西宮と南宮。
お前は後継を孕むのに一番遠い所にいた」
「へ、陛下はッ‥皆に平等にお渡り下さったわ‥‥!」
「だが、密度が違った。
北宮への訪問は一時間足らず。
東宮へ行けば翌日にならないと戻らなかった。
『殿下は北では早漏に、東では遅漏になられる』
そんな風に、側近にまで揶揄われていた」
「陛下は女の趣味が悪いのよッ!
私の方が美人だし、胸も、お尻も大きいのにッ
あんな地味な痩せっぽち抱いて、何が面白いっていうのよッ!?」
「‥‥だからお前は、兄上に頼らず孕む方法を考えたんだな‥‥」
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