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第三章
04 カペラ夫人、ぼんやりオバハンにぶつかる
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ウロウロウロ‥‥ハァァ~‥‥
10日前、エリダヌス伯爵夫人・カペラは溜息混じりに植物園をウロついていた。
エリダヌス伯爵の従者・乳母・庭師に連日土下座され、伯爵自身からは毎日山のような婚姻解消を要求する手紙を送りつけられ、流石にストレスを感じていたのかどうかは不明である。
「お願いします!
婚姻解消をご了承下さい!
そもそもこの婚姻は私達が勝手に推し進めてしまったもの!」
「シリウス様は現在、かねてより思いを寄せ捜索していた少年がやっと見つかり、ご一緒に過ごされています!
性欲ゼロであるにもかかわらず、ギラギラとまるで発情期の野生動物の如き雄々しさで少年を‥‥」
「ごほっ、と、とにかく、その生き生きとしたお幸せそうなご様子を見るにつけ、自分達の間違いを痛感しております!」
「「「ですからどうか、シリウス様を解放して差し上げて下さいッ!!」」」
だ―――ッ!!
ウルサイことよ!
本当にもう‥‥ここの所ずっとコレですからね!?
私の素晴らしさに怖気づいた夫側が婚姻解消とかギャーギャーと!
ンもォ~~~!
気にしなくていいって言ってるのにィッ!
どうせ私の素晴らしさに見合う男などこの世のどッッこにも存在しないのだから!
一体どうしたらいいのよ!?
何度『気にしないで』と言えば伝わるのよ!?
もしもーし!?
あなた達の頭には脳の代わりに何が入ってますのー!?
あーッ、もーッ!
いい加減クサクサするわッ!
クサクサしたカペラは気晴らしに今話題だという植物園にやって来たのだ。
異国の滅多に花を付けない植物が花を咲かせたらしい。
ドンッ‥‥
‥‥アラ嫌だ。
ぼんやり歩いているオバハンにぶつかってしまったわ。
面倒臭ッ‥‥でもこれは尊く生まれた者の務め。
私にぶつかれた幸運を説明してあげないとね。
そして彼女が滔々と自分の素晴らしさを説いた相手‥‥
ぼんやりオバハンは狂犬・北宮の王妃であった。
10日前、エリダヌス伯爵夫人・カペラは溜息混じりに植物園をウロついていた。
エリダヌス伯爵の従者・乳母・庭師に連日土下座され、伯爵自身からは毎日山のような婚姻解消を要求する手紙を送りつけられ、流石にストレスを感じていたのかどうかは不明である。
「お願いします!
婚姻解消をご了承下さい!
そもそもこの婚姻は私達が勝手に推し進めてしまったもの!」
「シリウス様は現在、かねてより思いを寄せ捜索していた少年がやっと見つかり、ご一緒に過ごされています!
性欲ゼロであるにもかかわらず、ギラギラとまるで発情期の野生動物の如き雄々しさで少年を‥‥」
「ごほっ、と、とにかく、その生き生きとしたお幸せそうなご様子を見るにつけ、自分達の間違いを痛感しております!」
「「「ですからどうか、シリウス様を解放して差し上げて下さいッ!!」」」
だ―――ッ!!
ウルサイことよ!
本当にもう‥‥ここの所ずっとコレですからね!?
私の素晴らしさに怖気づいた夫側が婚姻解消とかギャーギャーと!
ンもォ~~~!
気にしなくていいって言ってるのにィッ!
どうせ私の素晴らしさに見合う男などこの世のどッッこにも存在しないのだから!
一体どうしたらいいのよ!?
何度『気にしないで』と言えば伝わるのよ!?
もしもーし!?
あなた達の頭には脳の代わりに何が入ってますのー!?
あーッ、もーッ!
いい加減クサクサするわッ!
クサクサしたカペラは気晴らしに今話題だという植物園にやって来たのだ。
異国の滅多に花を付けない植物が花を咲かせたらしい。
ドンッ‥‥
‥‥アラ嫌だ。
ぼんやり歩いているオバハンにぶつかってしまったわ。
面倒臭ッ‥‥でもこれは尊く生まれた者の務め。
私にぶつかれた幸運を説明してあげないとね。
そして彼女が滔々と自分の素晴らしさを説いた相手‥‥
ぼんやりオバハンは狂犬・北宮の王妃であった。
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