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第二章

29 料理人は妄想中

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遅い‥‥おかしい‥‥


既に一般的な ”夕食の時間 ”はとうに過ぎている。

それなのにまだ食事の要求が無い‥‥

主様も客人もお茶とちょっとした菓子しか口にしていない‥‥

本人達にお伺いを立てようにも、一番信頼されている従者すら近づけない様だ。

人払いした上でもう何時間も三人で一体何をやっているのだろう‥‥



‥‥はッ!



‥‥あ、いやまさかそんな‥‥三人でそんな‥‥でもソレしか‥‥

となると‥‥え?‥‥いやそれじゃ精霊王子様がハード過ぎ‥‥



う、ごほん、料理人が主のプライベートをアレコレ妄想してはいけな‥‥



「料理長ッ!」

「うわぁッ!?」



ビ、ビックリした!

今丁度、物凄くエッチなアレやコレやを妄想してしまっていた!


いやぁ、妄想とは言え精霊王子様が可哀想だ!

あんな二人がナニをソレしたら精霊王子様が壊れてしまうじゃないかッ!

いや、いかんいかん、コレはまだ俺の妄想の域を出ていない。


‥‥‥冤罪は、こんな風に作られてしまうのかもしれねえな‥‥



「‥‥料理長!?
大丈夫か?
ニヤケ顔でボーっとして‥‥」

「ニッ、ニヤケ顔で!?
う、嘘だッ!
俺ァそんな、そんな‥‥」

「頼むからシャンとしてくれ!
旦那様が、食事を、お客様二人分も合わせて三人分を用意する様にと仰っている!
でも、何と、空腹だから多めに、
だが、凄く空腹だから早めにと!」



来た!

いよいよだッ!

だけど‥‥



「‥‥おいおい、大丈夫じゃねえのはソッチじゃねえか?
何をそんなに泣いてるんだよ?」
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