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第二章

22 僕に出来る事

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「‥‥クッ‥‥」


「「アルッ!?」」


「どうした? 泣くなんて‥‥
そんなに空腹が辛いのか?」

「今、厨房の連中が頑張ってくれているはずだ!
きっともうすぐだ!
そうだ、もう食堂に移動しておこうか?」


堪えきれずに涙を流してしまった僕を、お二方が慰めてくれます。

優しくて、あたたかで、素敵な人達‥‥

お二方の前世様にコンタクトが取れない以上、僕に出来る事は‥‥


「ぼ、僕ッ、いっぱい食べますッ!」


いっぱい食べて、出来るだけ早く本来の年齢に見合った体に成長する!

大人の体になる!

そうすれば、呪いが解けるはずだから!

お二方を解放出来るはずだから!!


本来ヒトは、欲望に苦しみ、制御を学習し、手放していくものなのかもしれない。

だから欲望を手に入れる事が”解放”だなんて随分とおかしな事ではあるけど‥‥


「頑張ってお腹がパンパンにはち切れそうになるまで食べます!
そして一刻も早く大人になって、お二人の呪いを解きますから‥‥」


「「‥‥アル!」」

「フッ‥‥バカだな‥‥
無理しなくても、これからはグングン成長する。
アルは何も心配せず、普通にしてればいいんだ」

「本当に、君って人は‥‥
頼むから、無理だけはしないでほしい。
食べ過ぎてお腹を壊されたりしたら、辛いからな」


「‥‥は、はい‥‥そういえばそう‥‥え?」



えぇぇぇぇッ!?


左頬にデネブ様が‥‥右頬にシリウス様が‥‥



CHU・CHU・CHUッ!?
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