上 下
129 / 217
第二章

18 消えないで、前世様

しおりを挟む
「「アル? どうかしたか?」」


【‥‥ほっといてあげて‥‥
さて、どうやら私に出来るのはここまで。
また元の曖昧で断片的な記憶に戻る様だね‥‥】


そう言いながら前世様の体が薄く透けていき‥‥


「「「えっ!? そんなっ‥‥」」」


【大丈夫だよ、成長を阻害するモノは消え去った。
アルが順調に成長すれば、3人の呪いは無くなる。
君達の、本来の人生が始まるんだ。
私達‥‥前世に遠慮する必要は無いからね?
愛し合うのも、別れるのも君達の自由だよ。
3人共、存分に君達の今世の人生を楽しんで生きてね。
フフ、3人共、そんな顔しないの。
分かっているね?
君達の人生だからね‥‥‥】


僕もデネブ様もシリウス様も寂しさと戸惑いを隠せません。

前世様は困った様にやさしく微笑みながら消えてしまいました。


そんな‥‥ずっと一緒に居てくれると思ってしまっていた。

どうしよう‥‥

こんなに強烈な思慕は母上にすら感じた事はなくって‥‥

どうしよう‥‥どうしよう‥‥



‥‥ル‥‥‥アル‥‥

「「‥‥アル‥‥」」


はっ‥‥!


心配そうに見つめる4つの瞳‥‥

デネブ様、シリウス様‥‥


「「私がいる‥‥私達がいる。
アルの前世はいなくなったんじゃない。
元々アルの一部‥‥アル自身なんだ。
だから寂しく思う事は無い。
それに私‥‥私達が傍に居る」」


私‥‥と言った後お互い顔を見合わせて少し不服そうに私達と言い直す。

動作も表情も一言一句も完全シンクロするお二方。


「そんな事を言って‥‥‥
お二方だって寂しそうですよ?」


「「えッ!?」」


微笑マスクと無表情は何処へ‥‥

真っ赤な顔をして顔を見合わせる美青年貴族たち。

焦る姿が可愛過ぎですっ!


「いや、違う、アル!
私は‥‥私達はっ‥‥」


「いいのです。
一緒に寂しく思ってくれる方が嬉しいです。
ところで、お二方は御自分の前世様を感じないのですか?」


僕の前世様が ”彼 ”と呼んでいたお二方の前世様。

どんな方なのでしょう?

興味津々です!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

薬師は語る、その・・・

香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。 目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、 そして多くの民の怒号。 最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・ 私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中

モブオメガはただの脇役でいたかった!

天災
BL
 モブオメガは脇役でいたかった!

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

あなたが好きでした

オゾン層
BL
 私はあなたが好きでした。  ずっとずっと前から、あなたのことをお慕いしておりました。  これからもずっと、このままだと、その時の私は信じて止まなかったのです。

とある隠密の受難

nionea
BL
 普通に仕事してたら突然訳の解らない魔法で王子の前に引きずり出された隠密が、必死に自分の貞操を守ろうとするお話。  銀髪碧眼の美丈夫な絶倫王子 と 彼を観察するのが仕事の中肉中背平凡顔の隠密  果たして隠密は無事貞操を守れるのか。  頑張れ隠密。  負けるな隠密。  読者さんは解らないが作者はお前を応援しているぞ。たぶん。    ※プロローグだけ隠密一人称ですが、本文は三人称です。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

処理中です...