束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

シリウス・エリダヌス

14 幸せって何だっけ？

幸せとは‥‥？

人それぞれである。


100人いれば、100人の幸せがある。



――― と、常日頃思っていても。


「坊ちゃまには絶対、誰よりも幸せになってもらわなきゃ！」

「そうだな。
まずは嫁さんだな。
今まで『性欲が無い』なんて言って、結婚を考えてない様だったけど‥‥」

「旦那様は、ずっと体調が悪かったから‥‥
それで諦めてしまっていたんじゃないかなぁ。
でも、今ではすっかり良くなったんだから、」

「そうだよ！
本当は可愛いお嫁さんが欲しいに決まってるよ！」

「「「そして可愛い子供をたくさん作って、嫁さんと子供達に囲まれる！」」」



これは、エリダヌス伯爵に仕える親子‥‥

伯爵の元乳母、その夫（庭師）、息子（従者）の3人の会話である。



伯爵に一番近いと言える3人。

伯爵が何を幸せとするかを知っているはずなのだが‥‥



『何としても3年前に救ってくれた少年に会いたい。
恋愛とはいかないが、その少年とずっと一緒に居たい』



伯爵がちょいちょい口にするこの願い。

このシンプルな願いを叶える事。

それこそが伯爵の幸せに他ならない。



知っているはずなのだが‥‥！



彼等は何かをリセットし、よくある正解とされるものを手に取った。


『幸せ＝男女が結婚してたくさん子孫をつくる事』


既に間違えているのに彼等はさらに ”普通 ”に捉われ根本を見失って行く。


「素晴らし過ぎる坊ちゃまのお相手に相応しいのは高位貴族のレディだろう！」


なにせ、伯爵ではあるが実は国王陛下の愛息子なのだ。

もちろん、血筋だけでなく、何よりご本人が素晴らし過ぎるのだから！！