上 下
98 / 217
シリウス・エリダヌス

07 廃王子様はご機嫌斜め

しおりを挟む
最近は、王都中心街に近い屋敷にいる事が多い。

エリダヌス領に関わる書類関係で王宮文官からの呼び出しが増えている。

こんな事は初めてで、何かしらの意図を感じるが‥‥

というか、王宮に居ると王からお茶だのお散歩だの乗馬だの何だの誘いが来る。

もちろん相手にせず、用事が済んだらサッサと帰る事にしている。

私はヒマではない。

大体、20年も昔に捨てた息子に何の用があるのか‥‥

私の方には何の用も無い。


不快だ。

まとわりついて来るな。



もう、不便にはなるが、王都の西の端、西の屋敷へ移動しようかと思っている。

やたら増えて騒がしい来訪者達も、辺鄙な西の屋敷までは来れないだろう。



私も迂闊だった。

私が元気いっぱいになった事が広く知られてしまった。

その噂を確かめに何やかやと理由を付けて貴族たちがやって来る。

私がお茶会だのパーティーだのの誘いに一切応じないからか‥‥

今まで私など存在しないものとして、完全無視していた貴族たち。

娘だの親戚の娘だの妹だの何やかの娘だのを連れてやって来る。


ふざけるな。

門前払いだ。



さらに、魔力がある事までバレ始めている。

出来れば一生隠し通そうと思っていたのだが‥‥



北宮の王妃のせいだ。

何だあのクソは。

ちょいちょい刺客を送って来る。

送られてくる刺客もどんどんレベルアップしてくる。

とうとう魔法を使わないと蹴散らせなくなった。

使えば知られることになる。


‥‥ん?

そのせいか?

最近王がやたら私に接触しようとして来るのは。

魔力無し故に捨てた子供に実は魔力があった‥‥


だから?


だから何だと言うのだ。

今更何も変わらない、変えようがない、

変えてはいけないのだ。


1才の時、王太子は決定した。

その決定を変えてはいけない。

廃王子は廃王子のまま、臣下であり続ける。



まぁどうしてもと言うなら、私なんかより煌煌キラキラしい人がいる。

プロキオン公爵、デネブ・プロキオン殿。


一度も会った事は無い異母兄弟だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

薬師は語る、その・・・

香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。 目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、 そして多くの民の怒号。 最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・ 私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中

モブオメガはただの脇役でいたかった!

天災
BL
 モブオメガは脇役でいたかった!

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

溺愛

papiko
BL
長い間、地下に名目上の幽閉、実際は監禁されていたルートベルト。今年で20年目になる檻の中での生活。――――――――ついに動き出す。 ※やってないです。 ※オメガバースではないです。 【リクエストがあれば執筆します。】

あなたが好きでした

オゾン層
BL
 私はあなたが好きでした。  ずっとずっと前から、あなたのことをお慕いしておりました。  これからもずっと、このままだと、その時の私は信じて止まなかったのです。

処理中です...