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第一章
19 少しずつ
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「ウオォォォ――――ッッッ」
「グギャァァァ――――ッッッ」
僕の眼の前で、強力魔法に苦しむ2人。
その奥に、あぁっ‥‥!!
ベテルとギウスがこっちを必死に覗き込む様にして‥‥‥
「ア、アル様ッ!」
「よかった、ご無事ですね、アル様ッ!!」
元気そうな声!
よかった!!
「ベテルとギウスは!?
怪我してない!?
痛い所、無い!?」
ヨロヨロと立ち上がると、フワリと後ろから肩を掴まれます。
「君は他人の為なら ”助けて ”と言えるんだな。
自分が狙われていると知っても、一切言わなかったのに。
‥‥‥君って人は、何て‥‥‥」
「え?
あ、伯爵様!
ありがとうございます!
あいつ等が攻撃魔法を放っていたらと思うとゾッとします!」
侵入者が攻撃魔法を放つ一瞬前に伯爵様の強力魔法が炸裂したのです。
眩しい光に包まれ苦しむ侵入者達。
もし間に合わなかったら、ベテルとギウスは ―――
今頃ガクガク震えて来ました‥‥
バタリッ
魔力の少ない方が倒れます。
‥‥あー、これは‥‥‥
「すごいですね、伯爵様。
詠唱で細かく構築する魔術でしかこんな複雑な事、出来ないと思っていました。」
「君はどれだけ詳細に魔力が見えているんだ?
君の目に映る世界は私には想像できないな‥‥‥」
「‥‥はッ‥‥」
あ‥‥‥あれ?
いつの間に?
何で僕、伯爵様に後ろから抱きしめられているんですか?
ヨロヨロしてたから?
ガクガク震えてたから?
ど‥‥どーしよう。
顔が熱い‥‥‥
ドキドキしてる‥‥
「――― これは一体どういった事態ですか?
説明の前にとにかくアルを放してください、伯爵!」
デネブ様は拘束済みの3人を事務所正面入り口に放り、こちらへ駆け寄ってきます。
3人に目立った外傷は無いようですが、ピクリとも動きません。
‥‥‥気絶してるんですよね?
「ヒギャアァァァァァ――――ッッッ、」
「グギャアァァァァァ――――ッッッ、」
階段の途中で、いまだに侵入者の一人が苦しんでいます。
デネブ様はその横を事もなげに通り、僕と伯爵様の目の前に。
あ、ベテルとギウスもデネブ様の後ろをついて来た。
あぁそうか、何でこっちに来ないんだろうと思っていたけど‥‥‥
階段いっぱいに侵入者が光に包まれ苦しんでいるから、通れなかったのか‥‥
それでデネブ様のスリップストリームに入り、やっと目の前に来たんだね。
「伯爵様、もう大丈夫です。
支えて下さり、ありがとうございました。」
後ろを見上げながらそう言‥‥‥え?
‥‥‥見間違い?
伯爵様‥‥‥無表情じゃ‥‥‥ない。
「ん? ――― あ、」
なんだかぼんやりそう言うと、
「うん‥‥」
と言って伯爵様はそろりと僕に回していた手をほどき、体を離します。
「‥‥ッ‥‥」
何か急に寂しい感じがして、
残念な気がして、
‥‥離れたく‥ない‥‥
‥‥‥これ‥‥この気持ちって?
「グギャァァァ――――ッッッ」
僕の眼の前で、強力魔法に苦しむ2人。
その奥に、あぁっ‥‥!!
ベテルとギウスがこっちを必死に覗き込む様にして‥‥‥
「ア、アル様ッ!」
「よかった、ご無事ですね、アル様ッ!!」
元気そうな声!
よかった!!
「ベテルとギウスは!?
怪我してない!?
痛い所、無い!?」
ヨロヨロと立ち上がると、フワリと後ろから肩を掴まれます。
「君は他人の為なら ”助けて ”と言えるんだな。
自分が狙われていると知っても、一切言わなかったのに。
‥‥‥君って人は、何て‥‥‥」
「え?
あ、伯爵様!
ありがとうございます!
あいつ等が攻撃魔法を放っていたらと思うとゾッとします!」
侵入者が攻撃魔法を放つ一瞬前に伯爵様の強力魔法が炸裂したのです。
眩しい光に包まれ苦しむ侵入者達。
もし間に合わなかったら、ベテルとギウスは ―――
今頃ガクガク震えて来ました‥‥
バタリッ
魔力の少ない方が倒れます。
‥‥あー、これは‥‥‥
「すごいですね、伯爵様。
詠唱で細かく構築する魔術でしかこんな複雑な事、出来ないと思っていました。」
「君はどれだけ詳細に魔力が見えているんだ?
君の目に映る世界は私には想像できないな‥‥‥」
「‥‥はッ‥‥」
あ‥‥‥あれ?
いつの間に?
何で僕、伯爵様に後ろから抱きしめられているんですか?
ヨロヨロしてたから?
ガクガク震えてたから?
ど‥‥どーしよう。
顔が熱い‥‥‥
ドキドキしてる‥‥
「――― これは一体どういった事態ですか?
説明の前にとにかくアルを放してください、伯爵!」
デネブ様は拘束済みの3人を事務所正面入り口に放り、こちらへ駆け寄ってきます。
3人に目立った外傷は無いようですが、ピクリとも動きません。
‥‥‥気絶してるんですよね?
「ヒギャアァァァァァ――――ッッッ、」
「グギャアァァァァァ――――ッッッ、」
階段の途中で、いまだに侵入者の一人が苦しんでいます。
デネブ様はその横を事もなげに通り、僕と伯爵様の目の前に。
あ、ベテルとギウスもデネブ様の後ろをついて来た。
あぁそうか、何でこっちに来ないんだろうと思っていたけど‥‥‥
階段いっぱいに侵入者が光に包まれ苦しんでいるから、通れなかったのか‥‥
それでデネブ様のスリップストリームに入り、やっと目の前に来たんだね。
「伯爵様、もう大丈夫です。
支えて下さり、ありがとうございました。」
後ろを見上げながらそう言‥‥‥え?
‥‥‥見間違い?
伯爵様‥‥‥無表情じゃ‥‥‥ない。
「ん? ――― あ、」
なんだかぼんやりそう言うと、
「うん‥‥」
と言って伯爵様はそろりと僕に回していた手をほどき、体を離します。
「‥‥ッ‥‥」
何か急に寂しい感じがして、
残念な気がして、
‥‥離れたく‥ない‥‥
‥‥‥これ‥‥この気持ちって?
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