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47.つかめない犯人像
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郷里 トモヤは謎の人物である。
なぜなら、泉 サラの親衛隊として、ともに活動していた瑛子さん達の誰一人として、彼を語る事が出来ないのだ。
ふつう・・・何もかもが普通で、これといった特徴が無いという。
10人の中に居れば、10人に紛れてしまうと。
「あ・・でも、調査能力は凄かったわよね。 サラの為に、泉一族を調べた時、」
「そうそう、殆ど彼がやったのよ。 謎の一族の秘密を調べるなんて事、学生の私達には何をどうしていいのか分からなくて・・・そしたら彼がポンと調査報告書を出してきた・・」
「・・ああそうよ・・・あの時は驚いたわ・・・忘れてたなぁ・・・」
「アイツはプロを雇って調べさせたんだよ。 そう言ってた。 その道のプロに任せるのが一番だって・・何かそんなこと言ってたな・・。」
「プロを雇って調査するって・・何か真空もそんな発言、普通にしてたなぁ・・・(吉田君に対して)。 その感覚、普通なんですか? 収入の無い学生が、プロを雇うって、不可能な気がしますけど。」
「・・ああ・・子供達には、俺がそう教えたと思う・・。 な、何か嫌だな。 俺、郷里に影響されていたのかな・・。 それって、恐い事だな・・・」
田中氏は、ちゃんと陸城達とコミュニケーション取ってるみたいだな。 陸城達から父親の話が出た事なかったから心配してたんだけど、良かった・・。
「そう言えばあの時、あいつがサラを拉致監禁した時も、見張りにプロの男達、雇ってたわね! 3人も!」
「そう! あいつ等、ただの格闘好きとかじゃなかったわ! 確実に急所目がけて攻撃して来た・・・あんなに真剣に闘ったの、後にも先にもあの時だけよ!」
「だけどあいつ等、あたし達が女だと思ってバカにして、最初余裕かましてたじゃない? ぶっ倒れる時、涙目で『う、嘘だろ・・』って言ってたわよね!」
3人の大人女子は、その時の事を思い出したんだろう、興奮気味にやけに生き生きとした表情だ。 いや、闘った!? 瑛子さんはさすがに芸術家だけあって特徴的だけど、他の二人は普通の主婦にしか見えない。 ていうか、3人とも体育会系に見えない!
「えぇ!? おばさん達が闘ったんですか!? プロの男達と!?」
「勿論よ! 私達、サラを守る為に、恭介に武術を習ってたの! お遊びじゃなく、本気のやつよ! あの頃は、私達筋骨隆々だったわね! 充実してたわ!
あ、でも私達は3人で一人倒しただけ。 あとの二人は、恭介がやったのよね!」
「ハハ・・本当は俺一人で3人倒したかったけどね・・」
うわぁ・・・「4人とも、カッコイイ・・・」
思わず前のめりになって感心していると、後ろから美しい手に引き寄せられる。
一人掛けソファに座っているので、ソファの後ろから、だけど。 いや、いつの間に背後に来た?
「ぐぇっ・・」
「あれん、俺なら3人一気に吹き飛ばせる。 何なら息の根を止める事も出来る。」
「フフ、息の根を止めちゃ、ダメだよ?」
と、困惑顔で後ろを見上げると、拗ねたような表情の吉田君。
超絶カワイイんだけど・・それにしても、誰に対しても、もれなく対抗意識を見せてくる・・子供なのかクールなのか、君も複雑な男だね?
「ゴ、ゴホン! 話を戻そうか! 郷里は、母親から幾らでも金を引き出せると言っていた・・それで、学生でバイトもしてなかったのに、簡単に人を雇えたんだろう。あの時だって、あいつ、拳銃まで用意してた・・あれ、本物で、弾も込められていたそうだ・・・」
「「!!」」 俺と吉田君は、郷里という男がいかに危険かを認識する。
「・・そう言えば、さっき、電話の男も、睡眠薬と体の自由を奪う薬を都合した、
“出来るだけ長い時間苦しみ、死に至る毒”も入手出来そうな人を紹介した――という事を言ってた・・郷里は、確実に使うつもりで、それらを準備してる・・・
吉田君、とりあえず、空き巣事件は誰も被害を受けずに済んで、良かった・・でも、」
「ああ、行動力が凄まじいのに、他人に紛れる事が出来る狂人か・・厄介だな。
・・あれんの方は、最近1ヶ月ぐらいの間に、何か変わった事は無かったか?」
俺的にはダントツで吉田君が一番の事件だけど・・・何か変わった事・・いつもと違う事・・はっ・・・
俺はある男の事を思い出した・・・
なぜなら、泉 サラの親衛隊として、ともに活動していた瑛子さん達の誰一人として、彼を語る事が出来ないのだ。
ふつう・・・何もかもが普通で、これといった特徴が無いという。
10人の中に居れば、10人に紛れてしまうと。
「あ・・でも、調査能力は凄かったわよね。 サラの為に、泉一族を調べた時、」
「そうそう、殆ど彼がやったのよ。 謎の一族の秘密を調べるなんて事、学生の私達には何をどうしていいのか分からなくて・・・そしたら彼がポンと調査報告書を出してきた・・」
「・・ああそうよ・・・あの時は驚いたわ・・・忘れてたなぁ・・・」
「アイツはプロを雇って調べさせたんだよ。 そう言ってた。 その道のプロに任せるのが一番だって・・何かそんなこと言ってたな・・。」
「プロを雇って調査するって・・何か真空もそんな発言、普通にしてたなぁ・・・(吉田君に対して)。 その感覚、普通なんですか? 収入の無い学生が、プロを雇うって、不可能な気がしますけど。」
「・・ああ・・子供達には、俺がそう教えたと思う・・。 な、何か嫌だな。 俺、郷里に影響されていたのかな・・。 それって、恐い事だな・・・」
田中氏は、ちゃんと陸城達とコミュニケーション取ってるみたいだな。 陸城達から父親の話が出た事なかったから心配してたんだけど、良かった・・。
「そう言えばあの時、あいつがサラを拉致監禁した時も、見張りにプロの男達、雇ってたわね! 3人も!」
「そう! あいつ等、ただの格闘好きとかじゃなかったわ! 確実に急所目がけて攻撃して来た・・・あんなに真剣に闘ったの、後にも先にもあの時だけよ!」
「だけどあいつ等、あたし達が女だと思ってバカにして、最初余裕かましてたじゃない? ぶっ倒れる時、涙目で『う、嘘だろ・・』って言ってたわよね!」
3人の大人女子は、その時の事を思い出したんだろう、興奮気味にやけに生き生きとした表情だ。 いや、闘った!? 瑛子さんはさすがに芸術家だけあって特徴的だけど、他の二人は普通の主婦にしか見えない。 ていうか、3人とも体育会系に見えない!
「えぇ!? おばさん達が闘ったんですか!? プロの男達と!?」
「勿論よ! 私達、サラを守る為に、恭介に武術を習ってたの! お遊びじゃなく、本気のやつよ! あの頃は、私達筋骨隆々だったわね! 充実してたわ!
あ、でも私達は3人で一人倒しただけ。 あとの二人は、恭介がやったのよね!」
「ハハ・・本当は俺一人で3人倒したかったけどね・・」
うわぁ・・・「4人とも、カッコイイ・・・」
思わず前のめりになって感心していると、後ろから美しい手に引き寄せられる。
一人掛けソファに座っているので、ソファの後ろから、だけど。 いや、いつの間に背後に来た?
「ぐぇっ・・」
「あれん、俺なら3人一気に吹き飛ばせる。 何なら息の根を止める事も出来る。」
「フフ、息の根を止めちゃ、ダメだよ?」
と、困惑顔で後ろを見上げると、拗ねたような表情の吉田君。
超絶カワイイんだけど・・それにしても、誰に対しても、もれなく対抗意識を見せてくる・・子供なのかクールなのか、君も複雑な男だね?
「ゴ、ゴホン! 話を戻そうか! 郷里は、母親から幾らでも金を引き出せると言っていた・・それで、学生でバイトもしてなかったのに、簡単に人を雇えたんだろう。あの時だって、あいつ、拳銃まで用意してた・・あれ、本物で、弾も込められていたそうだ・・・」
「「!!」」 俺と吉田君は、郷里という男がいかに危険かを認識する。
「・・そう言えば、さっき、電話の男も、睡眠薬と体の自由を奪う薬を都合した、
“出来るだけ長い時間苦しみ、死に至る毒”も入手出来そうな人を紹介した――という事を言ってた・・郷里は、確実に使うつもりで、それらを準備してる・・・
吉田君、とりあえず、空き巣事件は誰も被害を受けずに済んで、良かった・・でも、」
「ああ、行動力が凄まじいのに、他人に紛れる事が出来る狂人か・・厄介だな。
・・あれんの方は、最近1ヶ月ぐらいの間に、何か変わった事は無かったか?」
俺的にはダントツで吉田君が一番の事件だけど・・・何か変わった事・・いつもと違う事・・はっ・・・
俺はある男の事を思い出した・・・
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