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16 最終話『勝利ポエムはコレだ!』
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(何だかおかしな事になってしまった)
私はモーブ。
大魔法師をしている25才――微妙な年齢の独身男性である。
そんな私が思わず目を細めてしまうのは、自分がオジサンか否かに悩んでいるからではない。
今のこの状況だ。
目の前で青褪めた顔で自作ポエムを発表する高位貴族御令息たち(20歳未満)
私自身も発表する側なのに、まるで審査員であるかのように審査員長であるショコラ公爵令嬢の隣に座り、ライバルたちのポエムを聞かされている。
問題はそれだけではない。
ショコラ公爵令嬢だ。
彼女のダンスの相手を決める為のポエムバトルなのに全くポエムを聞いてない。
現在発表中の者から視線を逸らせるだけでも不適切なのに、ショコラ公爵令嬢は顔ごと私に向けて、ウットリと蕩ける様な目で見つめて来るのだ。
ライバルとはいえ発表者に同情を禁じ得ない――事は無い。
彼等はショコラ公爵令嬢が自分のポエムに上の空だという事に気付いていない。
何故ならどいつもこいつも青褪めて俯いているからだ。
ショコラ公爵令嬢を見つめながらポエムを披露するのが恥ずかしくて下を向いてしまう気持ちは分からないでもない。
だがそれでは、ショコラ公爵令嬢のドレスの下の方と床しか見えないだろう。
モーブ色のドレスは彼女にとても似合っているのに一部しか見ないのは勿体ない。
ん?
そう言えば私の目と同じ色のドレスか――
そう言えばパーティー会場にも多くのモーブ色のドレスのレディ達を見掛けた…
第三王女も精霊姫もそうだったな…
流行っているのだな。
それにしても令息達、青褪めているのは頂けない。
まるで私を恐れているかの様にチラチラと私の顔色を窺う視線も不快だ。
これでは私は誰がどう見ても『娘の彼氏を値踏みする恐いお父さん』ポジション。
納得できない!
そこまでオジサンじゃないッ!
――まぁ、無造作に足に置いた私の手の上にショコラ公爵令嬢が手を乗せたので、いわゆる『恋人繋ぎ』してみたらキュッと握り返して来たから、まぁ、まぁまぁ…
もうハッキリ言う!
ポエムバトルの優勝者、私だろう!?
私はまだポエムを発表してない――
どころか構想すら浮かんでいないが。
イヤ、油断は禁物か…
大体、告白でも就職試験でもバイトの面接でも『いい感触だった。イケるだろう』と感じた時ほどダメだったりするものだ。
人生は試練の連続、
油断すれば足元をすくわれるものだ――
などと思っていたが、やはり私が勝利した!
ショコラ公爵令嬢が私がポエムを発表する直前に私を優勝者だと発表してしまうというハプニングを経て、見事私が優勝となった!
これで、社交界一のレディとダンスする権利を得たワケだ。
幾ら積まれようとこの権利を転売する気は無い。
では、私が勝利したポエムの一部を紹介しよう。
私は君にヤッちんちん
出会った時からヤッちんちん
妄想の中でヤッちんちん
朝昼晩とヤッちんちん
出来ればリアルでヤッちんちん‥‥
こんな調子の100行詩を披露した。
バトル参加者たちは目を真ん丸にして、耳の調子がおかしいのか、聞き間違えではないかという顔をしていた。
ショコラ公爵令嬢が一切迷わず瞬で私のポエムを選んだ時は、ライバルたちはその場で頽れ、気を失う者も多かった。
ショコラ公爵令嬢は、嬉しそうに頬を染め、しかし遠慮がちに聞いて来た。
「実は私、不勉強で、『ヤッちんちん』という単語は初めて聞きました。
どういう意味‥‥」
「フッ‥‥
ショコラ公爵令嬢、
笑うところだよ?」
「えッ!?
まぁ‥‥!
気が利かなくて申し訳‥‥ンッ‥」
もう、可愛い過ぎるから唇で唇を塞いだ。
――ごめんね?
私はモーブ。
大魔法師をしている25才――微妙な年齢の独身男性である。
そんな私が思わず目を細めてしまうのは、自分がオジサンか否かに悩んでいるからではない。
今のこの状況だ。
目の前で青褪めた顔で自作ポエムを発表する高位貴族御令息たち(20歳未満)
私自身も発表する側なのに、まるで審査員であるかのように審査員長であるショコラ公爵令嬢の隣に座り、ライバルたちのポエムを聞かされている。
問題はそれだけではない。
ショコラ公爵令嬢だ。
彼女のダンスの相手を決める為のポエムバトルなのに全くポエムを聞いてない。
現在発表中の者から視線を逸らせるだけでも不適切なのに、ショコラ公爵令嬢は顔ごと私に向けて、ウットリと蕩ける様な目で見つめて来るのだ。
ライバルとはいえ発表者に同情を禁じ得ない――事は無い。
彼等はショコラ公爵令嬢が自分のポエムに上の空だという事に気付いていない。
何故ならどいつもこいつも青褪めて俯いているからだ。
ショコラ公爵令嬢を見つめながらポエムを披露するのが恥ずかしくて下を向いてしまう気持ちは分からないでもない。
だがそれでは、ショコラ公爵令嬢のドレスの下の方と床しか見えないだろう。
モーブ色のドレスは彼女にとても似合っているのに一部しか見ないのは勿体ない。
ん?
そう言えば私の目と同じ色のドレスか――
そう言えばパーティー会場にも多くのモーブ色のドレスのレディ達を見掛けた…
第三王女も精霊姫もそうだったな…
流行っているのだな。
それにしても令息達、青褪めているのは頂けない。
まるで私を恐れているかの様にチラチラと私の顔色を窺う視線も不快だ。
これでは私は誰がどう見ても『娘の彼氏を値踏みする恐いお父さん』ポジション。
納得できない!
そこまでオジサンじゃないッ!
――まぁ、無造作に足に置いた私の手の上にショコラ公爵令嬢が手を乗せたので、いわゆる『恋人繋ぎ』してみたらキュッと握り返して来たから、まぁ、まぁまぁ…
もうハッキリ言う!
ポエムバトルの優勝者、私だろう!?
私はまだポエムを発表してない――
どころか構想すら浮かんでいないが。
イヤ、油断は禁物か…
大体、告白でも就職試験でもバイトの面接でも『いい感触だった。イケるだろう』と感じた時ほどダメだったりするものだ。
人生は試練の連続、
油断すれば足元をすくわれるものだ――
などと思っていたが、やはり私が勝利した!
ショコラ公爵令嬢が私がポエムを発表する直前に私を優勝者だと発表してしまうというハプニングを経て、見事私が優勝となった!
これで、社交界一のレディとダンスする権利を得たワケだ。
幾ら積まれようとこの権利を転売する気は無い。
では、私が勝利したポエムの一部を紹介しよう。
私は君にヤッちんちん
出会った時からヤッちんちん
妄想の中でヤッちんちん
朝昼晩とヤッちんちん
出来ればリアルでヤッちんちん‥‥
こんな調子の100行詩を披露した。
バトル参加者たちは目を真ん丸にして、耳の調子がおかしいのか、聞き間違えではないかという顔をしていた。
ショコラ公爵令嬢が一切迷わず瞬で私のポエムを選んだ時は、ライバルたちはその場で頽れ、気を失う者も多かった。
ショコラ公爵令嬢は、嬉しそうに頬を染め、しかし遠慮がちに聞いて来た。
「実は私、不勉強で、『ヤッちんちん』という単語は初めて聞きました。
どういう意味‥‥」
「フッ‥‥
ショコラ公爵令嬢、
笑うところだよ?」
「えッ!?
まぁ‥‥!
気が利かなくて申し訳‥‥ンッ‥」
もう、可愛い過ぎるから唇で唇を塞いだ。
――ごめんね?
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