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ハートリオ

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10 一年前の事件2『助けて』

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アシェットデセール王国第一王子ボンボン殿下39才。

彼はショコラ公爵家にとって要注意人物、いや ”敵 ”である。

その理由を端的に言えば、彼はショコラ公爵夫人(39才)に懸想しているのである。


ショコラ公爵夫人は隣国の第二王女として生まれた。

現ショコラ公爵――当時の王弟に嫁ぐためにここ、アシェットデセール王国へやって来たのだ。

二人は現ショコラ公爵が隣国へ留学した際に出会って恋に落ちた両想い同士。

何の問題も無かったはずなのに第一王子が横恋慕し、2才年上なだけの叔父から奪おうと動いた。

結局第一王子の望みは叶わなかった。

当然である。

当時19才だった第一王子は既に正妃の他に第三側妃まで娶っており、”妃 ”の枠は残っておらず、隣国の第二王女を ”愛妾 ”とするわけにはいかないと、母である王妃を除く全員に反対されたのだ。

『愛があればそんな事』と寝言を言ってショコラ公爵夫人に大ヒンシュクを買い、『永遠の敵』認定されているのだが。

性懲りもない第一王子は手紙やプレゼントを送り付け続けショコラ公爵家を悩まし続けて来た。

そういった奇行がようやく無くなりやっと諦めたかと公爵家側がホッとしていたところで今度は公爵令嬢プラリネのデビュタント直前に彼女をを寄越せと言って来た。

母であるショコラ公爵夫人によく似た美しい娘プラリネは第一王子からすれば21才年下の従妹。

デビュタント前だというのに既に周辺諸国の王家や高位貴族からの縁談が殺到している世界一注目されている令嬢。

そのまだ17才の前途洋々たる公爵令嬢を親と同年代の従兄が ”愛妾 ”として差し出せと言って来たのだ。

それで19年前の ”不敬 ”は許してやると。

ショコラ公爵家は怒りの抗議と共に断った。

第一王子に甘すぎる国王も流石に今回は厳しく注意すると言っていたのだが‥‥


「本当にね、何て生意気なのかしら?
ショコラ公爵家側は。
臣下であるにもかかわらず王家からの縁談を2度も断るだなんて!
私の可愛い坊やがお前みたいな子供を可愛がってやるというのに、何が不満なんだか理解に苦しむわ!
まぁ、それでも私の可愛い坊やはお前が欲しいと言うのだから仕方ないわね。
キッチリとした既成事実を作って、ショコラ公爵家を黙らせる他ないわ!」


吐き捨てる様な王妃の言葉にプラリネは絶望を濃くする。

やはりプラリネが飲まされたのは媚薬。

第一王子と既成事実を作る為にあんな形で飲まされたのだ。

いつの間にか庭園ではなく建物内の廊下を歩いている様だがどこか分からない。

吐き気を伴う暴力的な性欲求がプラリネを攻め立て全身がガクガクと震えている。

薬のせいで殆ど何も考えられなくなっている頭は、嫌悪感でいっぱいだ。


「た、助‥け‥」


荒く乱れる呼吸のなか、必死に助けを願う言葉は王妃に遮られる。


「助けてあげるわよ!
私の可愛い坊やがね!
開けなさい!」


暗い廊下でそう叫ぶと侍女が二人掛かりで一つの重厚なドアを開け、王妃はその薄暗い部屋にプラリネの背中を突き飛ばす。


「‥‥アッッ‥」


室内に倒れ込んだプラリネ。

震える体にはまるで力が入らない。


(判断ミスだった――グラスに口を付けるべきではなかった――入っていた液体は飲んでいない――グラスに媚薬が塗られていたのだ――不敬を問われても口を付けるべきではなかった――だけどあの時は他にどうしようもないと思った――私はどうするべきだったのか――分からないけど、判断ミスは間違いない…)


情けなさと悔しさと苦しさでもうワケが分からない。

プラリネはもう自力で起き上がる事も出来ずに、容赦なく襲い来る性衝動にほてった身を狂おしくよじって――
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