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5 皇帝は求婚を無かったことにされる
104 その男、半裸
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目を開けていられない程眩しかった金色の光が淡く落ち着いた――
と思ったら?
『光の神殿』はとんでもないことになっている!?
壁と天井と床の素材であるガラスが消えている。
白い円柱状の柱も1本も残っていない。
神殿を構成していた全てが吹っ飛んで、吹きさらしの野原になってしまっている。
『跡形もない』とはこのこと。
幸い、床で伸びていた神殿騎士たちは吹き飛ばされていない。
建物だけが消失し、人的被害はゼロの様だ。
――が、
「えッ!?えッ!?」
「何コレここドコ?」
「ハッ皇帝陛‥」
「皇‥帝‥陛‥下?」
「「「「!?」」」」
「「「「‥き」」」」
きゃぁあぁあぁ~~ッ
先程の『春の庭園』での突発的局地的災害級異常気象発生時にも気丈にも声を上げなかった4公女が絶叫する!
どうやら、『春の庭園』にいた全員が、ここ『光の神殿』跡地(?)へソルと共に瞬間移動して来た様である。
「見てはなりませんッカリー様ッ」
「ダリア様ッ身を乗り出さないでくださいッ」
「ちょ‥姫様ッ口元!ヨダレッ」
「ペルシクム様ッお気を確かにッ」
だが、4公女とその侍女たちがわぁわぁ言っているのは瞬間移動が理由ではない。
瞬間移動なんてありえない事が自分の身に起こった――そんな事が吹っ飛ぶほどの目の前の状況に騒いでいるのである。
端的に言えば。
目の前の皇帝陛下が半裸なのである…
しかも。
下半身が!
白藤色のシャツに藤紫の室内着をふわりと羽織ったいかにも『セレブの休日』的なラフで素敵な上半身。
丸出しの下半身。
美貌の処女軍団(*オクサリス除く)である4公女がパニックになるのは当然の事であろう。
しかも。
「ハッ‥ソル姫!?」
グインッ!!
「「「「ひッ」」」」
ひゃぁあぁあぁ~~ッ
「はッ!?なッ!?」
「まぁッ…まぁぁぁ」
「スッ‥スゴイわ‥」
「皇‥帝‥陛‥下ッ」
「「「「姫様見てはなりません~~~ッ」」」」
ソルに気付いた皇帝のイチモツが大ッきくなっちゃったことで女性たちのパニックが最高潮に達する!
そんな『男体の神秘』に大騒ぎの女性達に神官長が我に返り――
「何故‥どうやって‥
いえ、とにかく今は一刻も早くこの神殿からお離れください!
あなた方はこの神殿に居てはいけない、許されていない方々です!
さあ、こちらへ‥
‥あ‥の?」
誰も一歩も動こうとしない…
「ちょ‥レディたち‥
ああッ、ダメだ!
パニックながらも皆陛下のスゴいアレに目が釘付けだッ!
‥たく女性は‥
ならば男性たち!
君達は宮廷騎士だね?
女性達を連れて今すぐこの神聖なる神殿から…オイ、君たち!?」
宮廷騎士達は茫然自失…微動だにしない…出来ない…
彼等は皇帝に憧れ、皇帝を守る為に近衛騎士になるのが目標の若者たち。
とは言え高い能力を要求される近衛騎士にはなかなかなれず。
憧れの陛下とは話すなどもってのほか、間近にその姿を見ることも叶わず、遥か遠くにその姿を垣間見るだけでも幸せ――な現状。
今目の前、ありえない距離に陛下がおわし、しかもありえないお姿なのである。
繊細で気品に溢れた美しく整った顔に神秘的に輝く銀眼銀髪が光を集めて――どんな絵師にもその神秘的で尊い素晴らしさを表現しきれないであろう上半身。
猛々し過ぎる下半身。
今、ソル姫と見つめ合い、目を見開き微動だにしない皇帝陛下はまるで彫像の様であるが、その下半身がそれを完全否定している‥‥
そんな状況が理解できない者、憧れを強くする者、立ったまま気絶している者――
いずれにしろ宮廷騎士達は完全停止状態に陥っている。
――大体、神官長はいまだに『神殿』と言っているが、もはや湖の真ん中の小島なのだから、『離れろ』と言われても困るだけであろう。
ソルは――
彫像っぽい男の熱い生身の息吹を目の当たりにしながら、やはり完全停止状態…
その心中はというと…
(えぇと…何が起こったのかしら…集中しすぎて意識が飛んでしまったみたいね…
瞬間移動…私よね…こんな事初めてだわ…しかもあの場に居た全員を巻き込んで…
変ね…体内に『力』は感じてもこんな風には使えなかったのに…
昨日、記憶が戻ってからよね…
そうだわ、記憶を失う前――少しずつ分かり始めていた『力の使い方』…
それを思い出したのよね…
あの頃…30年前は『力の使い方』は分かっても『力』自体がそれ程ではなかった。
あの後、記憶を失くした後も何度も何度も死にかけた事で『力』が強くなってしまったのかしら――)
…どうやら思考は現実逃避中の様だ…
「‥ッ、こんな時でも君に反応してしまう」
「‥ハッ‥」
漸く時を動かす皇帝にソルも『今じゃない思考』を止めるが、皇帝の下半身が理解不能で言葉を発することが出来ない。
8才で修道院に入ったソルは、幼い頃に『子供向け閨教育』を受けただけなので、性に関する知識が壊滅的なのだ――
「そんな死にそうな顔をしなくていい…
大丈夫、コレは――」
「‥アッ、何を!?
‥駄目ッ!」
ソルの叫びを無視して、皇帝は握っていた短刀を己のイチモツへと振り下ろす――
と思ったら?
『光の神殿』はとんでもないことになっている!?
壁と天井と床の素材であるガラスが消えている。
白い円柱状の柱も1本も残っていない。
神殿を構成していた全てが吹っ飛んで、吹きさらしの野原になってしまっている。
『跡形もない』とはこのこと。
幸い、床で伸びていた神殿騎士たちは吹き飛ばされていない。
建物だけが消失し、人的被害はゼロの様だ。
――が、
「えッ!?えッ!?」
「何コレここドコ?」
「ハッ皇帝陛‥」
「皇‥帝‥陛‥下?」
「「「「!?」」」」
「「「「‥き」」」」
きゃぁあぁあぁ~~ッ
先程の『春の庭園』での突発的局地的災害級異常気象発生時にも気丈にも声を上げなかった4公女が絶叫する!
どうやら、『春の庭園』にいた全員が、ここ『光の神殿』跡地(?)へソルと共に瞬間移動して来た様である。
「見てはなりませんッカリー様ッ」
「ダリア様ッ身を乗り出さないでくださいッ」
「ちょ‥姫様ッ口元!ヨダレッ」
「ペルシクム様ッお気を確かにッ」
だが、4公女とその侍女たちがわぁわぁ言っているのは瞬間移動が理由ではない。
瞬間移動なんてありえない事が自分の身に起こった――そんな事が吹っ飛ぶほどの目の前の状況に騒いでいるのである。
端的に言えば。
目の前の皇帝陛下が半裸なのである…
しかも。
下半身が!
白藤色のシャツに藤紫の室内着をふわりと羽織ったいかにも『セレブの休日』的なラフで素敵な上半身。
丸出しの下半身。
美貌の処女軍団(*オクサリス除く)である4公女がパニックになるのは当然の事であろう。
しかも。
「ハッ‥ソル姫!?」
グインッ!!
「「「「ひッ」」」」
ひゃぁあぁあぁ~~ッ
「はッ!?なッ!?」
「まぁッ…まぁぁぁ」
「スッ‥スゴイわ‥」
「皇‥帝‥陛‥下ッ」
「「「「姫様見てはなりません~~~ッ」」」」
ソルに気付いた皇帝のイチモツが大ッきくなっちゃったことで女性たちのパニックが最高潮に達する!
そんな『男体の神秘』に大騒ぎの女性達に神官長が我に返り――
「何故‥どうやって‥
いえ、とにかく今は一刻も早くこの神殿からお離れください!
あなた方はこの神殿に居てはいけない、許されていない方々です!
さあ、こちらへ‥
‥あ‥の?」
誰も一歩も動こうとしない…
「ちょ‥レディたち‥
ああッ、ダメだ!
パニックながらも皆陛下のスゴいアレに目が釘付けだッ!
‥たく女性は‥
ならば男性たち!
君達は宮廷騎士だね?
女性達を連れて今すぐこの神聖なる神殿から…オイ、君たち!?」
宮廷騎士達は茫然自失…微動だにしない…出来ない…
彼等は皇帝に憧れ、皇帝を守る為に近衛騎士になるのが目標の若者たち。
とは言え高い能力を要求される近衛騎士にはなかなかなれず。
憧れの陛下とは話すなどもってのほか、間近にその姿を見ることも叶わず、遥か遠くにその姿を垣間見るだけでも幸せ――な現状。
今目の前、ありえない距離に陛下がおわし、しかもありえないお姿なのである。
繊細で気品に溢れた美しく整った顔に神秘的に輝く銀眼銀髪が光を集めて――どんな絵師にもその神秘的で尊い素晴らしさを表現しきれないであろう上半身。
猛々し過ぎる下半身。
今、ソル姫と見つめ合い、目を見開き微動だにしない皇帝陛下はまるで彫像の様であるが、その下半身がそれを完全否定している‥‥
そんな状況が理解できない者、憧れを強くする者、立ったまま気絶している者――
いずれにしろ宮廷騎士達は完全停止状態に陥っている。
――大体、神官長はいまだに『神殿』と言っているが、もはや湖の真ん中の小島なのだから、『離れろ』と言われても困るだけであろう。
ソルは――
彫像っぽい男の熱い生身の息吹を目の当たりにしながら、やはり完全停止状態…
その心中はというと…
(えぇと…何が起こったのかしら…集中しすぎて意識が飛んでしまったみたいね…
瞬間移動…私よね…こんな事初めてだわ…しかもあの場に居た全員を巻き込んで…
変ね…体内に『力』は感じてもこんな風には使えなかったのに…
昨日、記憶が戻ってからよね…
そうだわ、記憶を失う前――少しずつ分かり始めていた『力の使い方』…
それを思い出したのよね…
あの頃…30年前は『力の使い方』は分かっても『力』自体がそれ程ではなかった。
あの後、記憶を失くした後も何度も何度も死にかけた事で『力』が強くなってしまったのかしら――)
…どうやら思考は現実逃避中の様だ…
「‥ッ、こんな時でも君に反応してしまう」
「‥ハッ‥」
漸く時を動かす皇帝にソルも『今じゃない思考』を止めるが、皇帝の下半身が理解不能で言葉を発することが出来ない。
8才で修道院に入ったソルは、幼い頃に『子供向け閨教育』を受けただけなので、性に関する知識が壊滅的なのだ――
「そんな死にそうな顔をしなくていい…
大丈夫、コレは――」
「‥アッ、何を!?
‥駄目ッ!」
ソルの叫びを無視して、皇帝は握っていた短刀を己のイチモツへと振り下ろす――
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