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2 四花繚乱
46 晩餐会直前騒動 3
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ビリッ!
「ひぇぇッ!?」
ビリビリビリリーー!
「な、何!?」
室内に居るのはカリステプス、母公妃の他は侍女5名に女性護衛騎士数名と『ドレスレド』のお針子達5名――つまり男性はいない。
とは言え、公妃は悪夢を見ている様。
何が起こっているか理解するのに時間が掛かっている内に娘にドレスをビリビリに破かれてほぼ下着姿になってしまった。
皇帝陛下を誘惑する為に完璧に着飾って、後は晩餐会で熱い視線を送ればいいだけ
…のはずだったのに…
ショックのあまりグワングワン鳴る頭…
目の前の娘は今度は自分が着ているドレスをビリビリと破いている。
「‥ハッ!?
ちょっとあなた何するのよ!?
何してるのよ!?
あ、頭おかしくなっちゃったの!?」
カリステプスは自分も殆ど下着姿状態でキッと母を見据える。
「頭がおかしいのはお母様でしょ!?
こんな破廉恥なドレスで晩餐会に臨んだらその場で切り捨てられてしまうかもしれないわよ!?
大体ね、娘の縁談を邪魔する愚母がどこにいるのよ?」
「邪魔ですって!?
逆でしょうよ!
あなたはわたくしに似て顔は素晴らしく美しいけど体がしみったれてるのよ!
お子ちゃまハート公女は論外として、ダイヤ公女もクローバー公女も女として充分魅力的な体をしていたわ!
トータルで勝ち目がない分、このまだまだ美しく女盛りのわたくしが補ってやろうとしているのに…どうしてくれるのよ!?
もう直ぐに晩餐会なのに!?」
「お母様のアバズレ・アピールがわたくしの貧乳をどう補うというの!?
わたくしの足を引っ張るだけでしょうが!」
「いい?…皇帝陛下がわたくしの魅力に落ちれば、わたくし欲しさにあなたを選ぶに違いないのよ!――ね、ステキでしょ?
あなたは得意のお勉強を生かして公務で皇帝陛下を支えて、わたくしは寝所で満足させて差し上げるの…んふッ、皇帝陛下に熟女閨沼にハマっていただくのよ!」
「‥わたくしが選ばれなかった場合、皇帝陛下がお選びになるのは他の3公女の誰かで、天地がひっくり返ってもお母様ではないわ。
あり得ない夢を見るのはもう終わりにして、帰る準備をして頂戴」
其々の侍女からマントを渡され、下着姿からマント姿になった母娘。
頭の中で次にセクシーなドレスは何だったか検索中だった母公妃は娘が何を言い出したのか理解出来ない。
「いつわたくしが帰ると言ったのよ?
それより早くドレスを――」
「わたくしが帰れと言ってるの。
これは命令よ。
スペード公国の品位を下げカード皇帝陛下の御怒りを買う恐れしかないあなたには今すぐ帰って頂きます!」
本気の眼でキッパリと言い放つ娘に、母は怒りや焦りや絶望などの感情が一気に湧き出して――
「命令ですって!?
お前がこのわたくしに!?――あぁそうね、
成人を迎えた瞬間からお前の方がわたくしより身分が上になったんだったわね。
だけど、それが何!?
お前はわたくしの娘!
子が親に命令するだなんてお前はどれだけ恩知らずの恥知らずの世間知らずなの」
「わたくしはスペード公女として国の為に言ってます。
親子のしがらみなど国益の前には無いも同然。
それが公女として生まれた者の務めですわ」
マントの下は下着姿とは思えないほど毅然とした娘の態度に母は子供の様な本音をぶちまける。
「だってッ‥本当は皇帝陛下の妃になるのはわたくし世代なのよッ!
わたくしは20年前お后候補の筆頭だったんだから!」
――どこかで聞いた主張である。
「ひぇぇッ!?」
ビリビリビリリーー!
「な、何!?」
室内に居るのはカリステプス、母公妃の他は侍女5名に女性護衛騎士数名と『ドレスレド』のお針子達5名――つまり男性はいない。
とは言え、公妃は悪夢を見ている様。
何が起こっているか理解するのに時間が掛かっている内に娘にドレスをビリビリに破かれてほぼ下着姿になってしまった。
皇帝陛下を誘惑する為に完璧に着飾って、後は晩餐会で熱い視線を送ればいいだけ
…のはずだったのに…
ショックのあまりグワングワン鳴る頭…
目の前の娘は今度は自分が着ているドレスをビリビリと破いている。
「‥ハッ!?
ちょっとあなた何するのよ!?
何してるのよ!?
あ、頭おかしくなっちゃったの!?」
カリステプスは自分も殆ど下着姿状態でキッと母を見据える。
「頭がおかしいのはお母様でしょ!?
こんな破廉恥なドレスで晩餐会に臨んだらその場で切り捨てられてしまうかもしれないわよ!?
大体ね、娘の縁談を邪魔する愚母がどこにいるのよ?」
「邪魔ですって!?
逆でしょうよ!
あなたはわたくしに似て顔は素晴らしく美しいけど体がしみったれてるのよ!
お子ちゃまハート公女は論外として、ダイヤ公女もクローバー公女も女として充分魅力的な体をしていたわ!
トータルで勝ち目がない分、このまだまだ美しく女盛りのわたくしが補ってやろうとしているのに…どうしてくれるのよ!?
もう直ぐに晩餐会なのに!?」
「お母様のアバズレ・アピールがわたくしの貧乳をどう補うというの!?
わたくしの足を引っ張るだけでしょうが!」
「いい?…皇帝陛下がわたくしの魅力に落ちれば、わたくし欲しさにあなたを選ぶに違いないのよ!――ね、ステキでしょ?
あなたは得意のお勉強を生かして公務で皇帝陛下を支えて、わたくしは寝所で満足させて差し上げるの…んふッ、皇帝陛下に熟女閨沼にハマっていただくのよ!」
「‥わたくしが選ばれなかった場合、皇帝陛下がお選びになるのは他の3公女の誰かで、天地がひっくり返ってもお母様ではないわ。
あり得ない夢を見るのはもう終わりにして、帰る準備をして頂戴」
其々の侍女からマントを渡され、下着姿からマント姿になった母娘。
頭の中で次にセクシーなドレスは何だったか検索中だった母公妃は娘が何を言い出したのか理解出来ない。
「いつわたくしが帰ると言ったのよ?
それより早くドレスを――」
「わたくしが帰れと言ってるの。
これは命令よ。
スペード公国の品位を下げカード皇帝陛下の御怒りを買う恐れしかないあなたには今すぐ帰って頂きます!」
本気の眼でキッパリと言い放つ娘に、母は怒りや焦りや絶望などの感情が一気に湧き出して――
「命令ですって!?
お前がこのわたくしに!?――あぁそうね、
成人を迎えた瞬間からお前の方がわたくしより身分が上になったんだったわね。
だけど、それが何!?
お前はわたくしの娘!
子が親に命令するだなんてお前はどれだけ恩知らずの恥知らずの世間知らずなの」
「わたくしはスペード公女として国の為に言ってます。
親子のしがらみなど国益の前には無いも同然。
それが公女として生まれた者の務めですわ」
マントの下は下着姿とは思えないほど毅然とした娘の態度に母は子供の様な本音をぶちまける。
「だってッ‥本当は皇帝陛下の妃になるのはわたくし世代なのよッ!
わたくしは20年前お后候補の筆頭だったんだから!」
――どこかで聞いた主張である。
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