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1 「運命を… 動かしてみようか」
14 秘密がいっぱい
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レケンスはアステリスカスにしがみつきながらほんの短い間眠ってしまった。
その短い間に長い夢を見た。
夢というか、ついさっき見た光景だ。
吹き飛ぶ出入り口の扉
雪崩れ込む男達
その先頭にフードを被った人
その人は他の人と違い金色の光を纏っている
階段を下りながら次々に襲いかかる用心棒達と剣を交えている
すごく強い
でも、時には刃を受けてしまっている
階段を下りた所でワッと囲まれ、かなりの傷を負ってしまった
それでもフードの人は怯まない
『何で倒れねえんだ』
『化物か』
用心棒達の声
やめて
その人を斬らないで
その人はあっという間に近くまで来た
フードをずらしたら金色の輝く瞳が現れた
危ないよ!
この男に狙われてしまうよ!
でもその人は自分でその美しい瞳を傷つけてしまった
こわい
この人は何でもしてしまう
僕たちを助けるために
どうして?どうして?どうし‥
姉上が拘束を解いてくれた
『あの人…私達なんかの為に…どうして…』
震える呟きで姉上も同じ気持ちだとわかる
親にすら憎まれる僕たちの為に何かしてくれる人がいるなんて
自分の身を犠牲にしてまでどうして――
『いらっしゃい』
初めて自分達に向けられて広げられた腕
その人のマントがはだけて体中が受けた傷で血だらけなのが見える
そんなに傷だらけになってどうして!?
『もう大丈夫』
抱きしめられて天国だと思った
このまま、この人に抱きしめられたまま死ねたらいいのに――
『‥ハッ!』
そこでレケンスは目が覚めた。
『…大丈夫?落ち着いた?』
その人の柔らかな声が降ってくる。
『め‥目ッ!』
早く治療をして欲しくてレケンスは叫ぶ。
『大丈夫よ、目玉男爵はもう捕まって、二度と君達の前には現れないからね』
『ううん、あなたの、金色の綺麗な目がッ』
『‥まぁ…怖い思いをしたばかりだというのにわたくしの心配を?とても強くて優しい子なのね。…怖いところを見せてしまってごめんなさいね?』
自分で自分の目を害したところを見られてしまったのだと気付いてアステリスカスは反省する。
だが、ああでもしなければ目玉男爵は止まらなかった。
本当に一瞬でも遅ければ目玉男爵は少年の目をくり抜いていたのだ。
プロに間違いない用心棒達も手強く、一刻も早く戦いを止めさせなければ自警団や被害者関係者が受ける被害も取り返しのつかないものになっていただろう。
震えながら自分の心配をしてくれる姉弟に、アステリスカスは秘密を打ち明ける事にする。
『大丈夫、ほら』
アステリスカスがフードを上にずらすと、美しい金の瞳が、両目とも輝いている。
『『‥えッ!?』』
『内緒なんだけど、わたくしは傷を受けても直ぐに治る体質なの。痛いし、血は出るけどね。だからこの通り、あの程度の傷ならもう元通り』
『じゃ、じゃあいっぱい血が出てた体の傷も?』
『そこも見てたかー…わたくし、剣が苦手なのよね…うん、大丈夫、もう治ってる。…これまでも何度も『もう死んだな』と思う様な深い傷を受けたけど結局跡形もなく治ったし。今回は全然軽い方で全く問題ないわ』
ホッとしたのと不思議なのとでボーっとした二人と共にアステリスカスは3人乗りの馬を操り、ブリッジ修道院地下にある温泉に到着した。
『ここも秘密の場所なの。修道院の誰も知らない地下温泉浴場。…多分、大昔の古代人が整えたんだと思うけど、今も普通に使えるの。
わたくしは普段は修道女の様に生活しているのだけど、今日の様に街へ行く時はここで『フードの男』に変装して、戻ったらここで修道女に戻るの。
修道女は修道院の外には出られないから、ね、これも内緒よ?』
唇に人差し指をあててウインクしたアステリスカスに真っ赤になった姉弟は、その後温泉につかり、大きくて柔らかな真っ白いタオルに包まれた状態で他の被害者達と合流し、清潔で柔らかい子供服に着替えさせてもらい、ミルクやお粥を体に入れて、柔らかなベッドに寝かされた。
外や冷えた土間にしか寝た事の無い二人はすぐに睡魔に襲われるが、眠りに落ちる瞬間、最大の秘密に気付く。
修道女姿のあの人は頭からすっぽりベールを被っている。
だから、みんなあの人の姿を知らないのだ。
自分達しか知らないのだ。
絵本のお姫様よりもずっとずっと綺麗で可愛いキラキラしたあの姿を…
その短い間に長い夢を見た。
夢というか、ついさっき見た光景だ。
吹き飛ぶ出入り口の扉
雪崩れ込む男達
その先頭にフードを被った人
その人は他の人と違い金色の光を纏っている
階段を下りながら次々に襲いかかる用心棒達と剣を交えている
すごく強い
でも、時には刃を受けてしまっている
階段を下りた所でワッと囲まれ、かなりの傷を負ってしまった
それでもフードの人は怯まない
『何で倒れねえんだ』
『化物か』
用心棒達の声
やめて
その人を斬らないで
その人はあっという間に近くまで来た
フードをずらしたら金色の輝く瞳が現れた
危ないよ!
この男に狙われてしまうよ!
でもその人は自分でその美しい瞳を傷つけてしまった
こわい
この人は何でもしてしまう
僕たちを助けるために
どうして?どうして?どうし‥
姉上が拘束を解いてくれた
『あの人…私達なんかの為に…どうして…』
震える呟きで姉上も同じ気持ちだとわかる
親にすら憎まれる僕たちの為に何かしてくれる人がいるなんて
自分の身を犠牲にしてまでどうして――
『いらっしゃい』
初めて自分達に向けられて広げられた腕
その人のマントがはだけて体中が受けた傷で血だらけなのが見える
そんなに傷だらけになってどうして!?
『もう大丈夫』
抱きしめられて天国だと思った
このまま、この人に抱きしめられたまま死ねたらいいのに――
『‥ハッ!』
そこでレケンスは目が覚めた。
『…大丈夫?落ち着いた?』
その人の柔らかな声が降ってくる。
『め‥目ッ!』
早く治療をして欲しくてレケンスは叫ぶ。
『大丈夫よ、目玉男爵はもう捕まって、二度と君達の前には現れないからね』
『ううん、あなたの、金色の綺麗な目がッ』
『‥まぁ…怖い思いをしたばかりだというのにわたくしの心配を?とても強くて優しい子なのね。…怖いところを見せてしまってごめんなさいね?』
自分で自分の目を害したところを見られてしまったのだと気付いてアステリスカスは反省する。
だが、ああでもしなければ目玉男爵は止まらなかった。
本当に一瞬でも遅ければ目玉男爵は少年の目をくり抜いていたのだ。
プロに間違いない用心棒達も手強く、一刻も早く戦いを止めさせなければ自警団や被害者関係者が受ける被害も取り返しのつかないものになっていただろう。
震えながら自分の心配をしてくれる姉弟に、アステリスカスは秘密を打ち明ける事にする。
『大丈夫、ほら』
アステリスカスがフードを上にずらすと、美しい金の瞳が、両目とも輝いている。
『『‥えッ!?』』
『内緒なんだけど、わたくしは傷を受けても直ぐに治る体質なの。痛いし、血は出るけどね。だからこの通り、あの程度の傷ならもう元通り』
『じゃ、じゃあいっぱい血が出てた体の傷も?』
『そこも見てたかー…わたくし、剣が苦手なのよね…うん、大丈夫、もう治ってる。…これまでも何度も『もう死んだな』と思う様な深い傷を受けたけど結局跡形もなく治ったし。今回は全然軽い方で全く問題ないわ』
ホッとしたのと不思議なのとでボーっとした二人と共にアステリスカスは3人乗りの馬を操り、ブリッジ修道院地下にある温泉に到着した。
『ここも秘密の場所なの。修道院の誰も知らない地下温泉浴場。…多分、大昔の古代人が整えたんだと思うけど、今も普通に使えるの。
わたくしは普段は修道女の様に生活しているのだけど、今日の様に街へ行く時はここで『フードの男』に変装して、戻ったらここで修道女に戻るの。
修道女は修道院の外には出られないから、ね、これも内緒よ?』
唇に人差し指をあててウインクしたアステリスカスに真っ赤になった姉弟は、その後温泉につかり、大きくて柔らかな真っ白いタオルに包まれた状態で他の被害者達と合流し、清潔で柔らかい子供服に着替えさせてもらい、ミルクやお粥を体に入れて、柔らかなベッドに寝かされた。
外や冷えた土間にしか寝た事の無い二人はすぐに睡魔に襲われるが、眠りに落ちる瞬間、最大の秘密に気付く。
修道女姿のあの人は頭からすっぽりベールを被っている。
だから、みんなあの人の姿を知らないのだ。
自分達しか知らないのだ。
絵本のお姫様よりもずっとずっと綺麗で可愛いキラキラしたあの姿を…
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