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1 「運命を… 動かしてみようか」
10 謎の修道女を連れ出せ! 1
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「では『影』が出会った白服の修道女は何だったと思う?」
餅は餅屋、修道院の事は修道院の者に聞くのが一番と判断した皇帝の質問。
『そんなの分かるわけない!』と思いながらもポーカー修道院長は必死に答える。
「――は、ブリッジ修道院でございますよね…
ならばもしや、4公国の貴人が預けている女性やもしれませぬ。
修道女ではないものの、身分や素性を隠す為の修道服姿なのでは…
白服の修道女姿であれば、おいそれと声を掛ける者もありますまい故‥」
ギリッ
(ひぃッ!?
い、今、陛下が歯ぎしりをされた!?
私は何か変な事を言ってしまったのか!?
こ、こここ殺され‥)
「考えられるな…
イヤそうなのだろう…
彼女は修道女ではないと考えるのが自然だ…
となれば既に4公国の誰かの――いや、覚悟していた事だ。
今さら心乱す事ではない。
彼女の状況がどうであろうが俺の気持ちは変わらぬ」
(これは多分独り言…
だがこんなにシッカリハッキリ聞こえてしまうと物凄く気になる…
陛下は『彼女』の貞操を気にしていらっしゃるのかな?
修道女であれば貞操○
でなければ×な訳だ。
――え?
ブリッジ修道院に4公国の貴人の誰かが隠している女性の貞操を気にされているってソレって――!
ま、まさか陛下はその女性を妃として迎えようとお考えなのだろうか!?
いやまさか、これまで独身を貫いて来られた陛下がそんな‥)
「そのまさかだ」
「‥ハッ!?」
「心の声が丸聞こえだったぞ」
「ぐぅッ!?
しまっ‥」
「まぁいい。
――デカい体で土下座するな。
そんな姿を見たらお前に心酔している帝国修道院の修道士たちが泣くぞ?」
「ほ、ほほほ本当に申し訳ございません!」
「いいと言っているだろう。
それより知恵を貸せ」
「――は、はいッ!
私でお役に立つのなら何なりと‥」
「白服の偽修道女を神の庭からどうやって連れ出せる?
上手くやらねば隠されてしまう」
何という、難問!
近衛騎士達からポーカー修道院長に対する同情の空気が流れる。
同時に、聞かれたのが自分でなくて良かったという安堵の空気も…
「う、そうですね。
本物の修道女であれば、最悪最後には陛下の権限で連れ出す事も可能ですが。
人目を忍んで隠されているのであればたとえ陛下が命令されても『そんな人物はおりません』と白を切られてしまうやも。
ヘタに打診するのも危険です。
そのせいでその御方に危害が――最悪命を絶たれてしまう危険もありましょう。
先ずは第13騎士団の者をブリッジ修道院に潜り込ませ、その御方が誰の隠し人であるかを探り、具体的にはそれからかと」
「――なるほど」
修道院――特に女子修道院は狙われやすい。
修道院に逃げ込んだ女性達を取り戻そうとする者、利用しようとする者は多く、ならず者を雇い修道院を襲い修道女を拉致しようとする乱暴な者もいる。
これに対抗する為、修道院は帝国、公国に騎士の派遣を要望し、常駐させている。
人々が信じる神は唯一で、他宗教が存在しないこの世界の騎士は宗教的存在ではない。
修道院はいかに権威を持っても、決して自分達で騎士団を持たない事で帝国、公国と上手く付き合っている。
武力を持たぬ事で自分達に国を獲る意志は無いと示しているのだ。
これに対し、帝国、公国も修道院の要望に副う事で良好な関係を保っている。
つまり修道院を守る大勢の騎士達は帝国、公国からの派遣でそこに潜り込むことは可能だろう。
第13騎士団はそういった仕事の為に特殊な訓練を積んでいる。
早速、第13騎士団から3名の優秀な騎士がブリッジ修道院に潜入した。
その結果は――
餅は餅屋、修道院の事は修道院の者に聞くのが一番と判断した皇帝の質問。
『そんなの分かるわけない!』と思いながらもポーカー修道院長は必死に答える。
「――は、ブリッジ修道院でございますよね…
ならばもしや、4公国の貴人が預けている女性やもしれませぬ。
修道女ではないものの、身分や素性を隠す為の修道服姿なのでは…
白服の修道女姿であれば、おいそれと声を掛ける者もありますまい故‥」
ギリッ
(ひぃッ!?
い、今、陛下が歯ぎしりをされた!?
私は何か変な事を言ってしまったのか!?
こ、こここ殺され‥)
「考えられるな…
イヤそうなのだろう…
彼女は修道女ではないと考えるのが自然だ…
となれば既に4公国の誰かの――いや、覚悟していた事だ。
今さら心乱す事ではない。
彼女の状況がどうであろうが俺の気持ちは変わらぬ」
(これは多分独り言…
だがこんなにシッカリハッキリ聞こえてしまうと物凄く気になる…
陛下は『彼女』の貞操を気にしていらっしゃるのかな?
修道女であれば貞操○
でなければ×な訳だ。
――え?
ブリッジ修道院に4公国の貴人の誰かが隠している女性の貞操を気にされているってソレって――!
ま、まさか陛下はその女性を妃として迎えようとお考えなのだろうか!?
いやまさか、これまで独身を貫いて来られた陛下がそんな‥)
「そのまさかだ」
「‥ハッ!?」
「心の声が丸聞こえだったぞ」
「ぐぅッ!?
しまっ‥」
「まぁいい。
――デカい体で土下座するな。
そんな姿を見たらお前に心酔している帝国修道院の修道士たちが泣くぞ?」
「ほ、ほほほ本当に申し訳ございません!」
「いいと言っているだろう。
それより知恵を貸せ」
「――は、はいッ!
私でお役に立つのなら何なりと‥」
「白服の偽修道女を神の庭からどうやって連れ出せる?
上手くやらねば隠されてしまう」
何という、難問!
近衛騎士達からポーカー修道院長に対する同情の空気が流れる。
同時に、聞かれたのが自分でなくて良かったという安堵の空気も…
「う、そうですね。
本物の修道女であれば、最悪最後には陛下の権限で連れ出す事も可能ですが。
人目を忍んで隠されているのであればたとえ陛下が命令されても『そんな人物はおりません』と白を切られてしまうやも。
ヘタに打診するのも危険です。
そのせいでその御方に危害が――最悪命を絶たれてしまう危険もありましょう。
先ずは第13騎士団の者をブリッジ修道院に潜り込ませ、その御方が誰の隠し人であるかを探り、具体的にはそれからかと」
「――なるほど」
修道院――特に女子修道院は狙われやすい。
修道院に逃げ込んだ女性達を取り戻そうとする者、利用しようとする者は多く、ならず者を雇い修道院を襲い修道女を拉致しようとする乱暴な者もいる。
これに対抗する為、修道院は帝国、公国に騎士の派遣を要望し、常駐させている。
人々が信じる神は唯一で、他宗教が存在しないこの世界の騎士は宗教的存在ではない。
修道院はいかに権威を持っても、決して自分達で騎士団を持たない事で帝国、公国と上手く付き合っている。
武力を持たぬ事で自分達に国を獲る意志は無いと示しているのだ。
これに対し、帝国、公国も修道院の要望に副う事で良好な関係を保っている。
つまり修道院を守る大勢の騎士達は帝国、公国からの派遣でそこに潜り込むことは可能だろう。
第13騎士団はそういった仕事の為に特殊な訓練を積んでいる。
早速、第13騎士団から3名の優秀な騎士がブリッジ修道院に潜入した。
その結果は――
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