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1 「運命を… 動かしてみようか」
3 アザレア、震える女心
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酒処『ラルグス』。
人気の理由は看板女給アザレア。
朝焼けの始まりの様な鮮やかな赤紫の瞳に青空に溶けていく朝焼けの終わりの様な鴇色の髪。
大きなつり目に形のいい唇。
勝気そうな美人は見た目通りに客に一切媚びない不愛想な女給。
賑わうシティの酒場に集まる威勢のいい男たちにはソレがいい。
誰にも笑顔を見せない女給を誰が笑わせるのかを競い合って盛り上がる。
☆☆☆
「ねぇ、アタシさっきアザレア姉さんが笑ってるとこ見ちゃったんだけど!」
開店前の準備中のラルグスで若い女給が同僚女給に声を潜める。
「嘘でしょ?店のオーナーにだって塩対応の姉さんが?何で!?」
「人が訪ねて来てたの…フードを目深に被った男!
地味でパッとしない感じ…まさかあんなのが姉さんの恋人?」
「フードの男…知ってる、見た事ある!
たまに飲みに来る客!
いつもフードを目深に被ってるから顔は知らないけどさ、もしイケメンだったとしてもあり得ないよ!
姉さん目当ての客ン中には金も地位もあるイケメンがいっぱいいて選びたい放題だもん」
「だよね!
姉さんならブリッジ1のイケメンだって貴族だって落とせるもの!
――けどさ、本当に嬉しそうに笑ってたんだよね、何で?」
「知らな‥あっといけない、仕事仕事」
店のオーナーに睨まれている事に気付いた女給たちはひそひそ話をやめ、仕事に戻る。
☆☆☆
「…フゥ…」
商人風の男が酒場を出て行くのを見ながら、旅行者風の男は嘆息する。
1日待ったがやはり新しい情報は無く…
(アイツの言う通りだ…私の前の代の『影』と合わせるともう30年も一人の人を捜し続けて一切手掛かりが無いのだから、陛下の捜し人はきっともうこの世にはいないのだ‥)
商人風の男も旅行者風の男もカード皇帝の『影』――諜報員である。
特にこの旅行者風の男は側近扱いの『影』で、忠誠心は帝国一で間違いない。
「一杯奢ってくれる」
『影』がそろそろ自分も店を出ようとしていたところ、女が向かいの椅子に座る。
『影』は店内の男達の射殺さんばかりの視線に苦笑しつつ席を立つ。
「悪いがもう出るんでね。
他を当たってくれ。
俺はフラッと一杯飲りに来た気弱な旅行者。
店中の男を敵に回す度胸は無いよ」
女は立ち去ろうとする男の手を握る。
「‥ッ‥」
「つれないのね…
ゲイ?」
じゃない事は一瞬で熱を帯びた男の眼を見れば分かる。
女の柔らかな手に引き戻されて男はやれやれと椅子に座り直す。
「あたしはアザレア。
この店の看板女給よ。
アンタみたいな若造にフラれちまったら看板に傷がつくワケ」
「それは俺としても心が痛い。
喜んで一杯奢らせてもらうよ」
胸に手を当て芝居がかった仕草で笑う男にアザレアはイラっとする。
(アス様からの指令はこの男をブリッジ修道院に立ち寄らせることだけ。
ここから港までの道中にある修道院に『ついでに菓子を届ける』よう頼むだけ。
『断られたら断られたで別にいいから決して無理をするな』と――でも…)
「気が利かないんじゃない」
アザレアが白く細い指に挟んだ煙草に男は火を点ける様子がない。
男の長く美しい指はアザレアに奢るついでに自分も注文した一杯を揺らし、酒に落とした視線を上げようとすらしない。
美しい男だ。
伏せられた薄紅梅色の瞳
無造作に後ろで一つに束ねられた牡丹色の髪
『性的な色』と言われる自分とよく似た色なのに、この男には高貴さがある。
…それに若造だと思ったけど、訂正…年齢不詳だわ…
「煙が苦手でね…
俺と居たいなら我慢することだ。
明日、俺がシティを出るまでの短い時間、さほど苦でもないだろう?」
「‥ッ‥はぁ!?」
穏やかな口調の俺様発言に、アザレアのイラっはイライラに。
視線を上げた男は少年の様に笑う。
アザレアのイライラはムカムカに。
(ム…ムカムカにまで達したのは初めてだわ)
アザレアにとってイライラは滅多に湧き上がらない欲情のサイン。
ただでさえ珍しいイライラがムカムカにまでなるなんて…
アザレアは目の前の男に奢らせた酒に煙草を沈めると。
挑戦的な赤紫の瞳で男を睨んだまま席を立つ――
――数時間の後。
ベッドから半身を起こす男にアザレアは声を掛ける。
「まだ真夜中よ…
朝まで寝てたらいいじゃない」
男は答えない。
カーテンの無い窓から射し込む月光に縁取られた輪郭の静けさ。
「‥、‥ッ!」
不意にアザレアは得体の知れない不安に襲われ男に抱きつく。
「‥ゆっくり寝てたらいいじゃない!
朝になったら朝ご飯を作ってあげるわ!」
男の肌の温度と匂いにすがる様に夢中で叫ぶ。
「とびっきり美味しいの作ってあげる!
何ならいつまでも家に
あんたが居たいだけ居たっていいんだから」
湿度のある甘えた自分の声に驚くアザレア。
一方で『柄じゃない』と自嘲しながら
もう一方で『だけど』と心を乱す。
「ん…どうした?
恐い夢でも見た?」
覗き込んでくる瞳の優しさにアザレアはカッと赤面し、プイと顔を逸らす。
男は『あたし夢なんか見ないわ』とそっぽを向いて膨れる女を抱き寄せ唇を吸う。
「‥何よ、憎らしいッ
女の扱いなんてお手の物なのねッ‥
旅の行く先々で女と遊んでるんでしょう、
あちこちに恋人が居るんでしょう‥アァッ」
高身長、スマートで軽やかに見える男は気痩せするタイプ。
意外なほど逞しい肉体に翻弄されながらアザレアは快楽の声を上げ続ける。
(何なの、あたし…
これじゃ頭カラッポな女みたい…)
心も体も激しく乱れる女に対して男は冷静だ。
男はこんなシーンに慣れている。
どんな土地でも女はこんな事を言う。
だから『女はこんな事を言うものだ』と思っている。
体を合わせる際のスパイスの様なものなのだろうと。
震える女心は男には届かない。
朝。
旅立つ男にアザレアは聞く。
「次の町に行くの?
初めて行くところ?
――その町に恋人、いるんでしょう?」
「俺は恋人は作らない。1度寝た女とはもう会わない。多分俺は『恋』というのをした事が無いんだと思う」
男の正直な答えはアザレアを安堵させ…
絶望させた――
人気の理由は看板女給アザレア。
朝焼けの始まりの様な鮮やかな赤紫の瞳に青空に溶けていく朝焼けの終わりの様な鴇色の髪。
大きなつり目に形のいい唇。
勝気そうな美人は見た目通りに客に一切媚びない不愛想な女給。
賑わうシティの酒場に集まる威勢のいい男たちにはソレがいい。
誰にも笑顔を見せない女給を誰が笑わせるのかを競い合って盛り上がる。
☆☆☆
「ねぇ、アタシさっきアザレア姉さんが笑ってるとこ見ちゃったんだけど!」
開店前の準備中のラルグスで若い女給が同僚女給に声を潜める。
「嘘でしょ?店のオーナーにだって塩対応の姉さんが?何で!?」
「人が訪ねて来てたの…フードを目深に被った男!
地味でパッとしない感じ…まさかあんなのが姉さんの恋人?」
「フードの男…知ってる、見た事ある!
たまに飲みに来る客!
いつもフードを目深に被ってるから顔は知らないけどさ、もしイケメンだったとしてもあり得ないよ!
姉さん目当ての客ン中には金も地位もあるイケメンがいっぱいいて選びたい放題だもん」
「だよね!
姉さんならブリッジ1のイケメンだって貴族だって落とせるもの!
――けどさ、本当に嬉しそうに笑ってたんだよね、何で?」
「知らな‥あっといけない、仕事仕事」
店のオーナーに睨まれている事に気付いた女給たちはひそひそ話をやめ、仕事に戻る。
☆☆☆
「…フゥ…」
商人風の男が酒場を出て行くのを見ながら、旅行者風の男は嘆息する。
1日待ったがやはり新しい情報は無く…
(アイツの言う通りだ…私の前の代の『影』と合わせるともう30年も一人の人を捜し続けて一切手掛かりが無いのだから、陛下の捜し人はきっともうこの世にはいないのだ‥)
商人風の男も旅行者風の男もカード皇帝の『影』――諜報員である。
特にこの旅行者風の男は側近扱いの『影』で、忠誠心は帝国一で間違いない。
「一杯奢ってくれる」
『影』がそろそろ自分も店を出ようとしていたところ、女が向かいの椅子に座る。
『影』は店内の男達の射殺さんばかりの視線に苦笑しつつ席を立つ。
「悪いがもう出るんでね。
他を当たってくれ。
俺はフラッと一杯飲りに来た気弱な旅行者。
店中の男を敵に回す度胸は無いよ」
女は立ち去ろうとする男の手を握る。
「‥ッ‥」
「つれないのね…
ゲイ?」
じゃない事は一瞬で熱を帯びた男の眼を見れば分かる。
女の柔らかな手に引き戻されて男はやれやれと椅子に座り直す。
「あたしはアザレア。
この店の看板女給よ。
アンタみたいな若造にフラれちまったら看板に傷がつくワケ」
「それは俺としても心が痛い。
喜んで一杯奢らせてもらうよ」
胸に手を当て芝居がかった仕草で笑う男にアザレアはイラっとする。
(アス様からの指令はこの男をブリッジ修道院に立ち寄らせることだけ。
ここから港までの道中にある修道院に『ついでに菓子を届ける』よう頼むだけ。
『断られたら断られたで別にいいから決して無理をするな』と――でも…)
「気が利かないんじゃない」
アザレアが白く細い指に挟んだ煙草に男は火を点ける様子がない。
男の長く美しい指はアザレアに奢るついでに自分も注文した一杯を揺らし、酒に落とした視線を上げようとすらしない。
美しい男だ。
伏せられた薄紅梅色の瞳
無造作に後ろで一つに束ねられた牡丹色の髪
『性的な色』と言われる自分とよく似た色なのに、この男には高貴さがある。
…それに若造だと思ったけど、訂正…年齢不詳だわ…
「煙が苦手でね…
俺と居たいなら我慢することだ。
明日、俺がシティを出るまでの短い時間、さほど苦でもないだろう?」
「‥ッ‥はぁ!?」
穏やかな口調の俺様発言に、アザレアのイラっはイライラに。
視線を上げた男は少年の様に笑う。
アザレアのイライラはムカムカに。
(ム…ムカムカにまで達したのは初めてだわ)
アザレアにとってイライラは滅多に湧き上がらない欲情のサイン。
ただでさえ珍しいイライラがムカムカにまでなるなんて…
アザレアは目の前の男に奢らせた酒に煙草を沈めると。
挑戦的な赤紫の瞳で男を睨んだまま席を立つ――
――数時間の後。
ベッドから半身を起こす男にアザレアは声を掛ける。
「まだ真夜中よ…
朝まで寝てたらいいじゃない」
男は答えない。
カーテンの無い窓から射し込む月光に縁取られた輪郭の静けさ。
「‥、‥ッ!」
不意にアザレアは得体の知れない不安に襲われ男に抱きつく。
「‥ゆっくり寝てたらいいじゃない!
朝になったら朝ご飯を作ってあげるわ!」
男の肌の温度と匂いにすがる様に夢中で叫ぶ。
「とびっきり美味しいの作ってあげる!
何ならいつまでも家に
あんたが居たいだけ居たっていいんだから」
湿度のある甘えた自分の声に驚くアザレア。
一方で『柄じゃない』と自嘲しながら
もう一方で『だけど』と心を乱す。
「ん…どうした?
恐い夢でも見た?」
覗き込んでくる瞳の優しさにアザレアはカッと赤面し、プイと顔を逸らす。
男は『あたし夢なんか見ないわ』とそっぽを向いて膨れる女を抱き寄せ唇を吸う。
「‥何よ、憎らしいッ
女の扱いなんてお手の物なのねッ‥
旅の行く先々で女と遊んでるんでしょう、
あちこちに恋人が居るんでしょう‥アァッ」
高身長、スマートで軽やかに見える男は気痩せするタイプ。
意外なほど逞しい肉体に翻弄されながらアザレアは快楽の声を上げ続ける。
(何なの、あたし…
これじゃ頭カラッポな女みたい…)
心も体も激しく乱れる女に対して男は冷静だ。
男はこんなシーンに慣れている。
どんな土地でも女はこんな事を言う。
だから『女はこんな事を言うものだ』と思っている。
体を合わせる際のスパイスの様なものなのだろうと。
震える女心は男には届かない。
朝。
旅立つ男にアザレアは聞く。
「次の町に行くの?
初めて行くところ?
――その町に恋人、いるんでしょう?」
「俺は恋人は作らない。1度寝た女とはもう会わない。多分俺は『恋』というのをした事が無いんだと思う」
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絶望させた――
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