人魚姫とよばれた美少女は、王子様を助けた為に魔女にゴブリンにされましたが全く問題ありません

第一章

1の31 爽快！イルカショー

私の手にマントだけ残して、シレーヌ姫がいなくなっている！？

獲物を追う獣のように振り向くと、シレーヌ姫はもう船室へ続く扉に隠れ顔だけ出している。



「私は何度も見ていますから、失礼して部屋で着替えますね！
イルカたちのショーは最高ですから、ゆっくり楽しんで下さい！」



ニコッ！


バタン！



に‥‥

逃げられた！？



そう分かった瞬間、ジリジリと滾っていた私の熱は一気に燃え上がる！



逃がすものかッッ！



野生化した私には、もう雄としての本能しかないッ！



追いかけて、
船室のドアを蹴破り、
無理矢理にでも彼女を‥‥


そう思った瞬間、



ブァッシャーーン！



「ゥォッッッ！？」



私の上から大量の海水が降って来て、立っていられず甲板の床に倒れ込む。



ブァシャン！
ブァシャン！
ブブブブブァシャン！

ブァッ、シャーーン！



「～～～～～～！？」



倒れた上からも次々に大量の海水が降って来て、身動き出来ない。

やっと顔を上げれば、百頭近いと思われるイルカが海面から体半分を出し、私を凝視している。

どうやら、彼等が尾びれを使って私に海水を次々に投げつけたらしい。



≪キュキュ！≫
≪キュウッ！≫
≪キュキュキュッキュ！≫



怒ってる‥‥

イルカたちがメチャメチャ怒ってる！


彼女に激しく欲情してしまった私を怒っているのか‥‥

ある意味イルカショーよりも感動的な光景である。


‥‥フゥ‥‥


私は深刻な生命の危機にやっと冷静さを取り戻す。



イルカたちよ、私を止めてくれてありがとう！

これからは心を入れ替えて完璧な紳士を貫き、この失態を挽回しよう！




だがその後、港までの残り3日間、彼女が再び部屋から出て来る事はなかった。





私は挽回出来ないほど間違えたのか‥‥？