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16、終わり
しおりを挟む意識があまりにも朦朧とし、私の体がコンニャクにでもなったのではと思う程にクテンクテンでした。
3日、私はクレイオロスさんの所で高熱を出し、意識が朦朧としていたようです。看病されていた記憶がうっすらですがございます。ずっと人の温もりに触れていた事も理解しております。ええ。私はずっとクレイオロスさんと寝床が一緒でした。着替えや汗拭きもクレイオロスさんにされていたようですね。
現在は滞在させて頂いてから1月ほど経ちました。イケメンの寝顔も見慣れ、私は運動がてら畑仕事に勤しんでおります。
先日、長老さんという方にお会いしました。鎖国民の水晶の民は、外から来た人を嫌うという設定だったはずですが……私は何故か歓迎されました。
水晶の民は、魔力が多い人種でして、同程度の魔力を持つ相手でなければ子供ができないらしいのです。水晶の都と呼ばれる、クレイオロスさんが住んでいる広場以上に広い場所(天井に光水晶がびっしりと生えている幻想的な場所でした)にて、共同生活を送るルールがあり、クレイオロスさんのように都の住民では魔力が釣り合わない人は、少しはなれた場所に住んでいるのだそうです。他にも、外から来た者と一緒になる者も、都から少し離れた場所で暮らし、子供が出来れば都に移り住めるようですね。
ゲームのクレイオロスさんは主人公には最初から優しかったですし、恋愛要素が全くなかったのに、何故か主人公と同じ住居に住み、夜うなされていたかどうかのセリフがある。ここまで考えれば誰でも解ります。
エンディングで王都へ行った主人公でしたが、最後は地下の畑へと戻ってきた1枚絵でFinでしたからね。
私はクレイオロスさんの嫁の位置に、いつの間にかされていました。水晶の民のルールでは、同じ寝所で寝たらそれは既成事実と同じ意味だそうです。まぁ、前世でもフィアレスでも年頃の男女が何もなくとも同じ寝所で寝てしまったら、そういう意味に捉えられるでしょうが。少々複雑な心境です。
言葉足らずなクレイオロスさんだと思っておりましたが、聞けば何でも答えてくれるので、この場合は聞かなかった私が悪いのでしょうか? 聞かない=知っているもの。として解釈されるので、最近は色々とクレイオロスさんに聞いています。話すと丁寧ですし、表情も優しいですし何度も同じことを聞いてしまっても怒ったりはしませんからね。とにかく甘いのですよ。イケメンですし。私も一緒に住んでいると意識せずにはいられませんから。私の作る料理も、美味しいって言ってくれますしね。
ちなみにゲームで起こっていたイベントの数々が何故か無くなっておりました。SS級ダンジョンで暴れる魔物の数が増え、この水晶の都が危険に晒される筈だったのですが。
クレイオロスさんが言うには……地上からSS級ダンジョンへと入る冒険者の数が増え、奥まで来れなかった筈の冒険者達が5年ほど前から回復薬のおかげで奥まで魔物を狩りに
来れるようになったらしく、魔物の数が減ったそうですね。
その理由に激しく心当たりがあり、私、長老の元へと自分の回復薬を手土産にと渡したんですよね。そりゃあ、歓迎されますわね。ホホホ。
地下で作る食用の植物も、水晶の民達には物凄く受け入れられました。なにせ彼らは地上と交流が全く無い訳では無いのですよね。
SS級冒険者達がダンジョンの休憩として都へと立ち寄り、定住する者もいますから。
彼等が持っていた、厳しい環境でも育つジャガイモの品種改良版が水晶の民の間でも食べられていますもん。
という訳でして、イベントは起こらず、私はこの地下での永住権をも獲得しました。イケメンな旦那様も手に入れられましたし、毎日がとっても幸せですね。
☆作者コメント☆
ご愛読頂きありがとうございました。
これにて完結です。
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