4 / 18
3
しおりを挟む出される食事に不満と不安を覚えている今日この頃。私は『植物知識』と『シード創造』を使って、生でも美味しい果物とあらゆる解毒作用のある植物を鉢植えとプランターで育て始めました。固有スキル『豊穣神の加護』と『植物成長促進』のおかげで、私が育てる植物は成長が速いです。
昨日の夜に植えたプランターからは、品種改良で小さいながらも味も実の大きさも元と同じの桃とリンゴ。それと、赤じそ等含む5種類の解毒薬にもなる植物が生え茂っております。しかし解毒薬にもなる草はどうやって解毒薬にすれば良いのでしょうか?
肝心の製薬知識が乏しい私は、取り敢えずずっと使われていなかった台所へと向かいました。勿論、調理道具の一切が無い台所です。釜戸と窯はありますね。薪がないので火をつけることも出来ません。薪があっても、父に見つかるわけにはいかないので、火を使うことは出来ませんが。
しょうがないので『シード創造』で造り出したキザミ草を、スキルを駆使した魔力を込めて一瞬で成長させて、包丁がわりに使いましょう。
私は適当に切った解毒薬草のサラダをその場所でもりもり食べます。苦味はもちろん、鼻に抜けるハーブの強すぎる香りに顔が歪みます。青汁のようなエグミも美味しくない原因です。これで効いてくれれば良いのですが。お口直しに頂いたデザートの桃とリンゴがすっごく美味ちぃ……グスン。
スキルを使って、ゲーム開始に備える日々はとても楽しいものですね。今まで感じる事の出来なかった嬉しさという感情の起伏が、ここ最近は表情にも現れるようになったと思います。
と言うのも、やはりと言うべきか、私は料理に毒を盛られていたようですね。ええ、解っておりましたが。
抵抗する気力すら湧かなかったですからね。そういう情緒に異常をきたす毒だったのでしょう。この毒のおかげで、私は前世の記憶を取り戻し、未来への渇望を奮い立たせられたのですがね。
ちなみに解毒薬草のサラダと料理を交互に食べていた結果、私には『毒軽減』のスキルが増えておりました。取り敢えずはひと安心ですね。今更ですが、前世のゲーム知識で終盤に手に入る万能薬の種の事を思い出しました。これを最初から作っていれば、複数の解毒薬草のまずいサラダを毎日食べる必要は無かったのではないでしょうか? 今更ですがね。
ちなみに『シード創造』で簡単に造り出せました。ゲーム図鑑とお母様の図鑑の書かれ方が完全に一致していましたからね。効能と種の柔らさやサイズまでも覚えておりました。
さらにゲーム開始に向けて過ごす日々を楽しんでいたのですが、明日は月に一度の第二王子とのお茶会だそうです。前日の今日の夜、急にゴーレムメイドが父からの伝言として、「体調が良くなければ、今回も行かなくてもいい。かわりにお前の妹に行かせる」という伝言(なんとも頭の痛くなる内容の伝言では在りませんか。)を持ってきました。私には妹なんておりませんのに。
私は出席する事をゴーレムメイドへと伝えます。ゴーレムメイドを通した父への伝言ゲームを数回繰り返し、渋々ではありますが父が折れて、明日は私が王宮に出向くことになりました。
急いで2人のゴーレムメイドに指示を出して、身体を清めます。お風呂ですか? 当然井戸前で水浴びですよ? 火が使えませんので、致し方在りません。
水浴びでは、ゴーレムメイドに頼んで香りの強い薔薇と桃の果汁をたっぷり入れた水にて揉みくちゃにして身体を擦ってもらいます。桃は匂い漬けも兼ねております。髪と頭もちゃんと洗いますよ。油分を多く含んだ種とハーブと桃の果汁を磨り潰したモノで、丁寧に何度もしごき洗い、清潔にします。
あとは髪を『風魔法』で乾かし、流行遅れの2年前に国王陛下である叔父様から頂いたドレスを軽く外干しして、トルソーに飾っておきます。2年前のドレスが着れるのかって? 大丈夫です。栄養失調気味の私の体型はとても7歳には見えませんので。腕なんか青白い枯れ枝ですし、鎖骨も肋骨もガリガリです。窪んだ目元は、記憶が戻る前よりはマシですが、お化粧でどうにか誤魔化しましょう。
次の日、王家の馬車が私を御迎えに来て、揺れの少ない馬車で2時間ほどかけて出発しました。
1
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説


城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m

へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。

山あり谷あり…やっぱ平坦なのがいいよね
鳥類
恋愛
ある日突然前世の記憶が蘇った。まるでそれを覆っていたシャボン玉が割れて溢れ出たように。
思い出したことで気づいたのは、今自分がいる世界がとある乙女ゲームの世界という事。
自分は攻略対象の王太子。目の前にいるのは婚約者の悪役令嬢。
…そもそも、悪役令嬢って…俺が心変わりしなきゃ『悪役』にならないよな?
気付けば攻略対象になっていたとある王太子さまが、自分の婚約者を悪役令嬢にしないためにヒロインさんにご退場いただく話です。
ヒロインは残念女子。ざまぁはありますが弱めです。
ドラマティックな展開はありません。
山も谷も盛り上がりも無くてもいい、大切な人と一日一日を過ごしたい王子さまの奮闘記(?)
サラッとお読みいただけたらありがたいです。

モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!
アノマロカリス
ファンタジー
「ノワール・エルティナス! 貴様とは婚約破棄だ!」
ノワール・エルティナス伯爵令嬢は、アクード・ベリヤル第三王子に婚約破棄を言い渡される。
理由を聞いたら、真実の相手は私では無く妹のメルティだという。
すると、アクードの背後からメルティが現れて、アクードに肩を抱かれてメルティが不敵な笑みを浮かべた。
「お姉様ったら可哀想! まぁ、お姉様より私の方が王子に相応しいという事よ!」
ノワールは、アクードの婚約者に相応しくする為に、様々な事を犠牲にして尽くしたというのに、こんな形で裏切られるとは思っていなくて、ショックで立ち崩れていた。
その時、頭の中にビジョンが浮かんできた。
最初の人生では、日本という国で淵東 黒樹(えんどう くろき)という女子高生で、ゲームやアニメ、ファンタジー小説好きなオタクだったが、学校の帰り道にトラックに刎ねられて死んだ人生。
2度目の人生は、異世界に転生して日本の知識を駆使して…魔女となって魔法や薬学を発展させたが、最後は魔女狩りによって命を落とした。
3度目の人生は、王国に使える女騎士だった。
幾度も国を救い、活躍をして行ったが…最後は王族によって魔物侵攻の盾に使われて死亡した。
4度目の人生は、聖女として国を守る為に活動したが…
魔王の供物として生贄にされて命を落とした。
5度目の人生は、城で王族に使えるメイドだった。
炊事・洗濯などを完璧にこなして様々な能力を駆使して、更には貴族の妻に抜擢されそうになったのだが…同期のメイドの嫉妬により捏造の罪をなすりつけられて処刑された。
そして6度目の現在、全ての前世での記憶が甦り…
「そうですか、では婚約破棄を快く受け入れます!」
そう言って、ノワールは城から出て行った。
5度による浮いた話もなく死んでしまった人生…
6度目には絶対に幸せになってみせる!
そう誓って、家に帰ったのだが…?
一応恋愛として話を完結する予定ですが…
作品の内容が、思いっ切りファンタジー路線に行ってしまったので、ジャンルを恋愛からファンタジーに変更します。
今回はHOTランキングは最高9位でした。
皆様、有り難う御座います!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる