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「全日本ユースとか、すごすぎるね! それでいてイケメンだし」
「中学のころからずっと黄色い声援を浴びっぱなしだよ。女子の視線をひとり占め」
「だろうね」

 晴瑠は“オポジット”というセッター対角のポジションで、エースだったから余計に人気だった。
 スパイクを打つときの空中姿勢がとても綺麗で、それを目にした人はみんなファンになってしまうのだ。

「サーブもレシーブもブロックも、なんでもうまかったなぁ」

 高校生になってさらに身長が伸び、基礎トレーニングで筋肉をつけて全体的に体が大きくなった晴瑠は、コートの中でひときわ光り輝くようだった。

「今も上手なんでしょ?」
「もちろん。晴瑠はビッグサーバーでね、サービスエースを何本も決める姿がめちゃくちゃカッコいいんだ」

 空を見上げながら彼がサーブを打つシーンを思い浮かべていると、宏美がニヤニヤとした意味深な視線を送っているのが視界に入ってくる。

「もう、なにその顔」
「音羽、それは……過去の恋? それとも現在?」

 私の語り口調や表情で完全に見抜かれた。いや、宏美はあらためて気づかせてくれたのだ。

「絶対に後者だよね。“昔の話”だなんて否定できないや」

 心の中にくすぶり続けた気持ちを、自分自身で認めざるをえない。
 誰にも目がいかず、私がずっとほかの人との恋愛に消極的だったのも、すべてこれが原因なのだ、と。

「高校のバレー部で三年生が引退をするとき、わざと私は晴瑠と距離を置いたの。受験勉強しなくちゃいけないから、とか言い訳して」
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