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彼の嫉妬⑧
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心から大好きな人にそう言われたら、断れるわけがない。
だって私も同じ気持ちだから、断る理由などないのだ。
「私も。桔平さんとずっと一緒にいたいです」
私の返事に「良かった」と桔平さんが笑顔でつぶやき、優しく頭を撫でてくれて、額にキスを落とした。
「こっち、見る?」
さすがにこのタイミングで寝室の方角を指されると、恥ずかしくて視線を逸らせてしまう。
あとでいいです、と言おうとしたけれど、桔平さんが先に寝室のドアを開けてしまった。
「え?! うわっ!」
「はは。軽いな」
そっと寝室を覗こうとしてたら、急に視界がくるりと回転して、気づけば私は桔平さんに抱きかかえられていた。
いつか将来、これをしてくれる人がいたらいいなと思っていた“お姫様抱っこ”だ。
「重いから降ろしてください」
「重くはないけど、降ろすよ」
耳元で甘く囁かれたあとに降ろされたのは、フカフカのベッドの上で、気づくと私の上に桔平さんが覆いかぶさっていた。
「あの……桔平さん」
「もう逃がさないけど?」
至近距離でそんなに色気をふりまかないでください、と言いたくなるくらい、薄暗い部屋でも桔平さんの甘い表情が見て取れた。
「逃げません」
逃げるどころか、私のほうから言いたいです。
あなたが欲しい、と。
チュッと愛おしさが詰まったキスを私からしてみると、桔平さんは反対に本格的な大人の深いキスをくれた。
幸せだ、と思った。大好きな人に夢中で抱かれるのは、幸せで胸がいっぱいになる。
桔平さんと付き合って、そんなことも初めて知った。
この夜、私たちは朝まで何度も愛し合った。
「昨日の夕方一緒にいた男って、同僚の子の彼氏?」
朝になってシャワーを浴びて、桔平さんが淹れてくれた温かいコーヒーを一緒に飲んでるときに、ふとそんな質問をされた。
「まだ彼氏じゃなく、蘭がアプローチしてる段階なんです」
「そっか。でもアイツ、美桜に気があるんじゃないかな。俺にはそう見えた」
川井さんはああいう性格の人だから、どこまでが冗談なのか、本心はわからない。
「桔平さん、また嫉妬してます?」
「ああ。昨日からずっと」
そんなに嫉妬しなくても、私の心は桔平さんでいっぱいなのに。
「ありがとうございます」
「礼を言われるのはおかしいって」
「あはは」
だけど川井さんが私に気があることだけは避けたいのが本音だ。蘭とは男性絡みで険悪になったりしたくないから。
正直なところ、川井さんと蘭では、私は友人である蘭のほうが断然大事だ。
だから蘭の思いが成就することを私は願っている。
桔平さんと甘い夜を過ごせたのは幸せだったけれど、残念なことに、この日は平日なのでふたりとも仕事がある。
洗面所で髪を整えて、バッグに入れていた化粧ポーチの中の化粧品で薄めにメイクは出来たけれど、洋服はどうにもならない。
家に一度着替えに帰っている時間はないから、ここからそのまま出勤するしかない。
だって私も同じ気持ちだから、断る理由などないのだ。
「私も。桔平さんとずっと一緒にいたいです」
私の返事に「良かった」と桔平さんが笑顔でつぶやき、優しく頭を撫でてくれて、額にキスを落とした。
「こっち、見る?」
さすがにこのタイミングで寝室の方角を指されると、恥ずかしくて視線を逸らせてしまう。
あとでいいです、と言おうとしたけれど、桔平さんが先に寝室のドアを開けてしまった。
「え?! うわっ!」
「はは。軽いな」
そっと寝室を覗こうとしてたら、急に視界がくるりと回転して、気づけば私は桔平さんに抱きかかえられていた。
いつか将来、これをしてくれる人がいたらいいなと思っていた“お姫様抱っこ”だ。
「重いから降ろしてください」
「重くはないけど、降ろすよ」
耳元で甘く囁かれたあとに降ろされたのは、フカフカのベッドの上で、気づくと私の上に桔平さんが覆いかぶさっていた。
「あの……桔平さん」
「もう逃がさないけど?」
至近距離でそんなに色気をふりまかないでください、と言いたくなるくらい、薄暗い部屋でも桔平さんの甘い表情が見て取れた。
「逃げません」
逃げるどころか、私のほうから言いたいです。
あなたが欲しい、と。
チュッと愛おしさが詰まったキスを私からしてみると、桔平さんは反対に本格的な大人の深いキスをくれた。
幸せだ、と思った。大好きな人に夢中で抱かれるのは、幸せで胸がいっぱいになる。
桔平さんと付き合って、そんなことも初めて知った。
この夜、私たちは朝まで何度も愛し合った。
「昨日の夕方一緒にいた男って、同僚の子の彼氏?」
朝になってシャワーを浴びて、桔平さんが淹れてくれた温かいコーヒーを一緒に飲んでるときに、ふとそんな質問をされた。
「まだ彼氏じゃなく、蘭がアプローチしてる段階なんです」
「そっか。でもアイツ、美桜に気があるんじゃないかな。俺にはそう見えた」
川井さんはああいう性格の人だから、どこまでが冗談なのか、本心はわからない。
「桔平さん、また嫉妬してます?」
「ああ。昨日からずっと」
そんなに嫉妬しなくても、私の心は桔平さんでいっぱいなのに。
「ありがとうございます」
「礼を言われるのはおかしいって」
「あはは」
だけど川井さんが私に気があることだけは避けたいのが本音だ。蘭とは男性絡みで険悪になったりしたくないから。
正直なところ、川井さんと蘭では、私は友人である蘭のほうが断然大事だ。
だから蘭の思いが成就することを私は願っている。
桔平さんと甘い夜を過ごせたのは幸せだったけれど、残念なことに、この日は平日なのでふたりとも仕事がある。
洗面所で髪を整えて、バッグに入れていた化粧ポーチの中の化粧品で薄めにメイクは出来たけれど、洋服はどうにもならない。
家に一度着替えに帰っている時間はないから、ここからそのまま出勤するしかない。
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