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Immoral love
Immoral love②
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「私がどんなところに住んでるのか、興味ないとか?」
「いいや。行ってみたい」
冗談を言って笑い合ったあと、私の家へと向かうことにした。
帰る道すがら、フードトラックを見つけてテイクアウトする。
買ったのは、亮平さんが以前においしいと話していた“チキンオーバーライス”というもので、ニューヨークで大人気のストリートフードらしい。
私の家に着くと、亮平さんは緊張しているのか、そわそわしながら靴を脱いで上がり、リビングのソファーに腰をおろした。
私はてきぱきとグラスにお茶を注ぎ、チキンオーバーライスをレンジで温め直しているあいだに、小皿やおしぼりなど細かい物を準備していく。
大好きな人が私の部屋に来てくれた。それだけでウキウキして、天まで舞い上がりそうだ。
「きんぴらごぼうが冷蔵庫にあるんだけど、食べる?」
「美耶が作ったものなら食べたい」
彼のこういう発言のひとつひとつがうれしくてたまらない。
私はニヤニヤしながら大急ぎで冷蔵庫からきんびらを取り出し、器に適量を盛りつけて彼の前に差し出した。
キッチンでチンッという音が鳴る。レンジの温めが終了したらしい。
リビングのテーブルの上にすべてが揃い、私はチキンオーバーライスに手をつけ、彼は真っ先にきんぴらを箸でつまんだ。
「きんぴら、うまいな。手料理を食べるのはめちゃくちゃ久しぶりだ」
手料理と呼べるほどのものでもないけれど、彼においしいと褒めてもらえてなによりだ。
「亮平さんのお母さんは料理が苦手とか?」
「……母親?」
「手料理、久しぶりって言ったから……」
一瞬真顔になった亮平さんは、苦笑いの笑みをたたえる。
なにか悪いことを聞いただろうか。もしかしたらお母さんの話はNGなのかもしれない。
「美耶は料理が上手なんだな」
「ねぇ、きんぴら食べるとビール飲みたくならない? 出そうか?」
「いや、運転があるから」
アルコールはダメだという彼の腕に寄り添ってまとわりついてみる。
「明日は日曜だし、泊まっていかない?」
私が恋愛でこんなにも積極的になったのは生まれて初めてだ。
どちらかというといつも受け身で、自分から誘うなんてしてこなかった。だから今はかなりがんばったのだ。
大胆な発言をしてしまったと自覚すれば、どんどん顔に熱が帯びてくる。
「あのね、誰にでもこんなこと言ってるわけじゃないの! 誤解しないでね」
「わかってる」
隣に座る彼が私の緊張を解くためにやさしく頭を撫で、チュッと触れるだけのキスをした。
「でも……ごめん。泊まれない」
唇を離した彼の顔を見上げると、もの悲しい表情と共に眉根を寄せていた。
「どうして? 私と深い関係になりたくない?」
「いや、本当は今すぐ抱きたい。だけど俺、美耶にまだ話していないことがあるんだ」
亮平さんは私の両手を取り、視線を合わせながらギュッと握りしめた。
「いいや。行ってみたい」
冗談を言って笑い合ったあと、私の家へと向かうことにした。
帰る道すがら、フードトラックを見つけてテイクアウトする。
買ったのは、亮平さんが以前においしいと話していた“チキンオーバーライス”というもので、ニューヨークで大人気のストリートフードらしい。
私の家に着くと、亮平さんは緊張しているのか、そわそわしながら靴を脱いで上がり、リビングのソファーに腰をおろした。
私はてきぱきとグラスにお茶を注ぎ、チキンオーバーライスをレンジで温め直しているあいだに、小皿やおしぼりなど細かい物を準備していく。
大好きな人が私の部屋に来てくれた。それだけでウキウキして、天まで舞い上がりそうだ。
「きんぴらごぼうが冷蔵庫にあるんだけど、食べる?」
「美耶が作ったものなら食べたい」
彼のこういう発言のひとつひとつがうれしくてたまらない。
私はニヤニヤしながら大急ぎで冷蔵庫からきんびらを取り出し、器に適量を盛りつけて彼の前に差し出した。
キッチンでチンッという音が鳴る。レンジの温めが終了したらしい。
リビングのテーブルの上にすべてが揃い、私はチキンオーバーライスに手をつけ、彼は真っ先にきんぴらを箸でつまんだ。
「きんぴら、うまいな。手料理を食べるのはめちゃくちゃ久しぶりだ」
手料理と呼べるほどのものでもないけれど、彼においしいと褒めてもらえてなによりだ。
「亮平さんのお母さんは料理が苦手とか?」
「……母親?」
「手料理、久しぶりって言ったから……」
一瞬真顔になった亮平さんは、苦笑いの笑みをたたえる。
なにか悪いことを聞いただろうか。もしかしたらお母さんの話はNGなのかもしれない。
「美耶は料理が上手なんだな」
「ねぇ、きんぴら食べるとビール飲みたくならない? 出そうか?」
「いや、運転があるから」
アルコールはダメだという彼の腕に寄り添ってまとわりついてみる。
「明日は日曜だし、泊まっていかない?」
私が恋愛でこんなにも積極的になったのは生まれて初めてだ。
どちらかというといつも受け身で、自分から誘うなんてしてこなかった。だから今はかなりがんばったのだ。
大胆な発言をしてしまったと自覚すれば、どんどん顔に熱が帯びてくる。
「あのね、誰にでもこんなこと言ってるわけじゃないの! 誤解しないでね」
「わかってる」
隣に座る彼が私の緊張を解くためにやさしく頭を撫で、チュッと触れるだけのキスをした。
「でも……ごめん。泊まれない」
唇を離した彼の顔を見上げると、もの悲しい表情と共に眉根を寄せていた。
「どうして? 私と深い関係になりたくない?」
「いや、本当は今すぐ抱きたい。だけど俺、美耶にまだ話していないことがあるんだ」
亮平さんは私の両手を取り、視線を合わせながらギュッと握りしめた。
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