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◇素敵な時間④
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「はーい、みなさん! これから二次会です。カラオケね!」
お酒も入ってハイテンションになった佐藤さんが、全員に聞こえるように声をかける。
一緒に来たうちの総務の女子二人も、男性陣と仲良くなったみたいで二次会に行く気満々だ。
楽しめているようでよかった。私と美里に付き合わせるだけでは申し訳ないと思っていたから安心した。
みんな自分の荷物を持ち、一次会のお店をあとにした。
街路樹の並ぶ歩道をぞろぞろと歩き、すぐ近くにあるカラオケ店まで移動する。
「外は暑いね」
和久井さんはスーツの上着を脱いだままで、さらにいつの間にかネクタイまで完全にはずしていた。
Yシャツの袖口を肘まで捲っていて、たくましい腕が露出しているし、胸元はボタンを上からふたつほどはずしていて、なんだかセクシーだ。
他の人たちが前を歩いていて、私と和久井さんが最後尾だった。
そっと手を繋げたら……なんて、密かに妄想してみると顔がニヤけてくる。
「あ、そうだ。今のうちに、これ渡しとくね」
和久井さんが急に立ち止まり、鞄の中からラッピングされた箱を取り出して私に手渡した。
「え、どうしたんですか?」
突然差し出されたため思わず受け取ってしまったけれど、意味がわからずに私はキョトンとして聞き返す。
「この前助けてもらったお礼。なにか舞花ちゃんにプレゼントしたくて」
貰ってよ、と微笑む和久井さんにドキドキしすぎて、失神しそうだ。
「こんな素敵なお礼をいただくほど、私はたいしたことはしてませんよ。専務の好物をただ伝えただけですから」
「でもあれで助かったのはたしかだ。女性にプレゼントって、なにがいいのかよくわからなかったから、デパートの店員さんに勧められてアロマキャンドルにしたんだけど……」
「ありがとうございます。じゃあ、遠慮なく使わせてもらいます」
うれしくて、もったいなすぎて。
貰ったアロマキャンドルは使うことなんて、きっとできないだろう。
私の部屋で一番目立つところへそのまま飾っておくと決めた。大切な宝物だ。
カラオケ店の看板が見えてきた。
私はニヤニヤが止まらなかったが、うまく闇夜に隠しながら歩いた。
今日はなんて素敵な日なのだろう。
お酒も入ってハイテンションになった佐藤さんが、全員に聞こえるように声をかける。
一緒に来たうちの総務の女子二人も、男性陣と仲良くなったみたいで二次会に行く気満々だ。
楽しめているようでよかった。私と美里に付き合わせるだけでは申し訳ないと思っていたから安心した。
みんな自分の荷物を持ち、一次会のお店をあとにした。
街路樹の並ぶ歩道をぞろぞろと歩き、すぐ近くにあるカラオケ店まで移動する。
「外は暑いね」
和久井さんはスーツの上着を脱いだままで、さらにいつの間にかネクタイまで完全にはずしていた。
Yシャツの袖口を肘まで捲っていて、たくましい腕が露出しているし、胸元はボタンを上からふたつほどはずしていて、なんだかセクシーだ。
他の人たちが前を歩いていて、私と和久井さんが最後尾だった。
そっと手を繋げたら……なんて、密かに妄想してみると顔がニヤけてくる。
「あ、そうだ。今のうちに、これ渡しとくね」
和久井さんが急に立ち止まり、鞄の中からラッピングされた箱を取り出して私に手渡した。
「え、どうしたんですか?」
突然差し出されたため思わず受け取ってしまったけれど、意味がわからずに私はキョトンとして聞き返す。
「この前助けてもらったお礼。なにか舞花ちゃんにプレゼントしたくて」
貰ってよ、と微笑む和久井さんにドキドキしすぎて、失神しそうだ。
「こんな素敵なお礼をいただくほど、私はたいしたことはしてませんよ。専務の好物をただ伝えただけですから」
「でもあれで助かったのはたしかだ。女性にプレゼントって、なにがいいのかよくわからなかったから、デパートの店員さんに勧められてアロマキャンドルにしたんだけど……」
「ありがとうございます。じゃあ、遠慮なく使わせてもらいます」
うれしくて、もったいなすぎて。
貰ったアロマキャンドルは使うことなんて、きっとできないだろう。
私の部屋で一番目立つところへそのまま飾っておくと決めた。大切な宝物だ。
カラオケ店の看板が見えてきた。
私はニヤニヤが止まらなかったが、うまく闇夜に隠しながら歩いた。
今日はなんて素敵な日なのだろう。
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