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◆結婚、その理由④
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「ええ。話したわ。彼は自分とは結婚できなくても仕方ない、って」
意味不明だ。ふたりは愛し合ってるはずでは?
自分の恋人がほかの男と結婚しようっていうのに、なにをあっさりと納得しているのかと思う。
クエスチョンマークがいくつも俺の頭の中に並んだが……。
結局そのコージとかいう男も、彼女が提供する資金に期待をしているのだ。
金と愛情を天秤にでもかけたのか。
いや、それをするまでもなく、即答で金を選んだのか。
そこまで考えが及ぶと、目の前の彼女がなんだか不憫に思えてきた。
もしかしなくても、金づるにされているだけではないか、と。
「あなたが愛を信じてない人で良かったのかも。私と条件が合いそうだもの」
「……条件?」
条件ってなんだ? 俺はそんなものは聞いていない。
考えてみれば、恋人に援助し続けたいという理由だけでほかの男と結婚しようなんて、かなりぶっ飛んでいる。
なにかほかに考えがあるのだろうか。
今から彼女がなにを言い出すのだろうと、固唾を飲んだ。
「セックスはなし。子供も作らない」
なるほど。夫婦としてするべきことはしない。
愛してもいない、親に当てがわれただけの男とセックスはできない、と。
ほかに愛してる男がいるのだから、その主張も当然と言えば当然だ。
俺も子供は別にいなくてもいい。
今の俺自身が人の親になるなんて想像もつかないし……
こんな俺の子供に生まれた子はかわいそうではないかと思うから。
だから彼女が最初から作りたくないと言うのなら、それでいい。
「あ、それと……」
「まだあるんですか」
いったいいくつあるのかと、思わず口を挟んでしまった。
だってそうだろう。十ヶ条とかあったらどうするんだ。
「これはたいしたことじゃないわ」
フフンと鼻で笑いながら、彼女は俺をうかがい見る。
俺は表情を変えず、いつもの無表情の面を貼り付けて彼女の視線を受け止めた。
「掃除も洗濯も料理も、家事全般は家政婦さんに任せるから。私はなんにも出来ないし、やるつもりもないの」
まるで自慢でもするかのように言い放った彼女にあきれすぎて、俺はなにもリアクションできなかった。
わざわざ胸を張って言うことでもないだろう。
家事ができないことは、なんの自慢にもならないのに。
「だから妻とか主婦らしいことは期待しないで? 完璧な仮面夫婦でいきましょ?」
この場に来るまで、俺の結婚相手はどんな人だろうと、ぼんやり想像したりしていたが。
ある意味、想像を遥かに超えた女性だった。
面白いじゃないか。
仮面夫婦? 望むところだ。異論はなにもない。
「家事はしない、セックスはしない、子供は作らない、仮面夫婦でいる。あなたの条件は以上ですか?」
「そうね。思いついたのはそれくらいだわ」
「書面にまとめて契約書にでもしましょうか?」
もうこの際、契約結婚にしてしまえばどうなんだ。
そう思い、無感情でサラリと提案してみると、彼女はフフッと笑いながら首を横に振った。
別にそこまでしなくていい、と。
意味不明だ。ふたりは愛し合ってるはずでは?
自分の恋人がほかの男と結婚しようっていうのに、なにをあっさりと納得しているのかと思う。
クエスチョンマークがいくつも俺の頭の中に並んだが……。
結局そのコージとかいう男も、彼女が提供する資金に期待をしているのだ。
金と愛情を天秤にでもかけたのか。
いや、それをするまでもなく、即答で金を選んだのか。
そこまで考えが及ぶと、目の前の彼女がなんだか不憫に思えてきた。
もしかしなくても、金づるにされているだけではないか、と。
「あなたが愛を信じてない人で良かったのかも。私と条件が合いそうだもの」
「……条件?」
条件ってなんだ? 俺はそんなものは聞いていない。
考えてみれば、恋人に援助し続けたいという理由だけでほかの男と結婚しようなんて、かなりぶっ飛んでいる。
なにかほかに考えがあるのだろうか。
今から彼女がなにを言い出すのだろうと、固唾を飲んだ。
「セックスはなし。子供も作らない」
なるほど。夫婦としてするべきことはしない。
愛してもいない、親に当てがわれただけの男とセックスはできない、と。
ほかに愛してる男がいるのだから、その主張も当然と言えば当然だ。
俺も子供は別にいなくてもいい。
今の俺自身が人の親になるなんて想像もつかないし……
こんな俺の子供に生まれた子はかわいそうではないかと思うから。
だから彼女が最初から作りたくないと言うのなら、それでいい。
「あ、それと……」
「まだあるんですか」
いったいいくつあるのかと、思わず口を挟んでしまった。
だってそうだろう。十ヶ条とかあったらどうするんだ。
「これはたいしたことじゃないわ」
フフンと鼻で笑いながら、彼女は俺をうかがい見る。
俺は表情を変えず、いつもの無表情の面を貼り付けて彼女の視線を受け止めた。
「掃除も洗濯も料理も、家事全般は家政婦さんに任せるから。私はなんにも出来ないし、やるつもりもないの」
まるで自慢でもするかのように言い放った彼女にあきれすぎて、俺はなにもリアクションできなかった。
わざわざ胸を張って言うことでもないだろう。
家事ができないことは、なんの自慢にもならないのに。
「だから妻とか主婦らしいことは期待しないで? 完璧な仮面夫婦でいきましょ?」
この場に来るまで、俺の結婚相手はどんな人だろうと、ぼんやり想像したりしていたが。
ある意味、想像を遥かに超えた女性だった。
面白いじゃないか。
仮面夫婦? 望むところだ。異論はなにもない。
「家事はしない、セックスはしない、子供は作らない、仮面夫婦でいる。あなたの条件は以上ですか?」
「そうね。思いついたのはそれくらいだわ」
「書面にまとめて契約書にでもしましょうか?」
もうこの際、契約結婚にしてしまえばどうなんだ。
そう思い、無感情でサラリと提案してみると、彼女はフフッと笑いながら首を横に振った。
別にそこまでしなくていい、と。
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