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◇分岐点のアラサー⑤
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『ひなた、一緒にデザートバイキングに行かない?』
土曜の朝にいきなり電話をかけてきたのは、高校の同級生で友人の塚原 樹里だ。
彼女とは高校一年からの付き合いだから、もう十年以上仲良くしている。
普段から彼女とはLINEで頻繁にやり取りをしていて、昨日私が土曜は休みになったと話したから、それなら出かけようと誘ってきたみたいだ。
樹里は大学を卒業したあと、大手の会社で働いている。
今年の初めに社内異動があり、マーケティング部という部署でチームリーダーをすることになったのだとか。
慣れない仕事と環境のせいでしばらく元気がなかったけれど、五ヶ月経った今は、彼女らしさを取り戻しつつある。
だけどストレスも溜まるのだろう。私は突然誘われたデザートバイキングに付き合うことにした。
「樹里がデザートバイキングに誘うなんて久しぶりじゃない?」
「なんとなくね、甘いものが食べたくなったのよ。糖分補給」
地下鉄の駅の改札で待ち合わせ、ふたりで外に歩き出すと爽やかな風が吹いていた。
季節は五月なので、日によってはかなり暑いときもあるが、今日はそれほどでもない。
日下さんの誕生日に食事をしてから、気がつけば半月以上が経っていた。
あれから彼とは一度も会っていない。
やはり私と日下さんに縁などなかったのだ。連絡をする理由がないのだから。
「デザートバイキングって、どこの?」
「あのホテルよ!」
樹里がニコニコしながら指を差した。
その先には上品そうな茶色い建物がそびえたっている。
「ちょっとリッチな気分を味わえるでしょ?」
ウキウキと楽しそうに言われたけれど、私は一瞬顔が引きつった。
……サンシャインホテルだ。
たしかに超高級ホテルだから、庶民の私たちでもセレブになったような気分になれる。
もしかしたら、日下さんもここにいるのだろうか。
……いや、いるはずがない。
彼は副社長だ。自社ビルの副社長室で毎日仕事をしているに決まっている。
「よ~し、スイーツ食べ放題!!」
「樹里、どれから食べる?」
バイキングの会場内に入ると、私たちのテンションはさらに上がった。
宝石を散りばめたような煌びやかなスイーツを目の前にしたら、女性は誰しもこうなるだろう。
「片っ端から全部食べたい!」
「樹里のお腹に全部入ればね~」
楽しく話をしながら、ふたりで気に入ったケーキをお皿に取った。
スイーツバイキングはこれが醍醐味だ。
いくつかケーキをチョイスしたところで、テーブル席に戻って椅子に腰を下ろす。
「あとで絶対にチョコレートファウンテンは行く!」
「そうだね。楽しそう」
「それと、パンケーキも焼いてくれるみたいだからそれも絶対!!」
「はいはい。とりあえず落ち着いて」
樹里は昔から甘いものが好きだったけれど、デザートバイキングには久しぶりに来たからか、完全に目の色を変えていた。なんだかそれがすごく面白い。
一流のパティシエが作ったスイーツなのだ。
しかもサンシャインホテルのスイーツ。どれもすべておいしいに決まっている。
『ひなた、一緒にデザートバイキングに行かない?』
土曜の朝にいきなり電話をかけてきたのは、高校の同級生で友人の塚原 樹里だ。
彼女とは高校一年からの付き合いだから、もう十年以上仲良くしている。
普段から彼女とはLINEで頻繁にやり取りをしていて、昨日私が土曜は休みになったと話したから、それなら出かけようと誘ってきたみたいだ。
樹里は大学を卒業したあと、大手の会社で働いている。
今年の初めに社内異動があり、マーケティング部という部署でチームリーダーをすることになったのだとか。
慣れない仕事と環境のせいでしばらく元気がなかったけれど、五ヶ月経った今は、彼女らしさを取り戻しつつある。
だけどストレスも溜まるのだろう。私は突然誘われたデザートバイキングに付き合うことにした。
「樹里がデザートバイキングに誘うなんて久しぶりじゃない?」
「なんとなくね、甘いものが食べたくなったのよ。糖分補給」
地下鉄の駅の改札で待ち合わせ、ふたりで外に歩き出すと爽やかな風が吹いていた。
季節は五月なので、日によってはかなり暑いときもあるが、今日はそれほどでもない。
日下さんの誕生日に食事をしてから、気がつけば半月以上が経っていた。
あれから彼とは一度も会っていない。
やはり私と日下さんに縁などなかったのだ。連絡をする理由がないのだから。
「デザートバイキングって、どこの?」
「あのホテルよ!」
樹里がニコニコしながら指を差した。
その先には上品そうな茶色い建物がそびえたっている。
「ちょっとリッチな気分を味わえるでしょ?」
ウキウキと楽しそうに言われたけれど、私は一瞬顔が引きつった。
……サンシャインホテルだ。
たしかに超高級ホテルだから、庶民の私たちでもセレブになったような気分になれる。
もしかしたら、日下さんもここにいるのだろうか。
……いや、いるはずがない。
彼は副社長だ。自社ビルの副社長室で毎日仕事をしているに決まっている。
「よ~し、スイーツ食べ放題!!」
「樹里、どれから食べる?」
バイキングの会場内に入ると、私たちのテンションはさらに上がった。
宝石を散りばめたような煌びやかなスイーツを目の前にしたら、女性は誰しもこうなるだろう。
「片っ端から全部食べたい!」
「樹里のお腹に全部入ればね~」
楽しく話をしながら、ふたりで気に入ったケーキをお皿に取った。
スイーツバイキングはこれが醍醐味だ。
いくつかケーキをチョイスしたところで、テーブル席に戻って椅子に腰を下ろす。
「あとで絶対にチョコレートファウンテンは行く!」
「そうだね。楽しそう」
「それと、パンケーキも焼いてくれるみたいだからそれも絶対!!」
「はいはい。とりあえず落ち着いて」
樹里は昔から甘いものが好きだったけれど、デザートバイキングには久しぶりに来たからか、完全に目の色を変えていた。なんだかそれがすごく面白い。
一流のパティシエが作ったスイーツなのだ。
しかもサンシャインホテルのスイーツ。どれもすべておいしいに決まっている。
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