58 / 61
外伝ー1
2
しおりを挟むユダヤ人 フィーメルト・ブランデンブルグは
京の都で秘密裏にある貴族と会っていた。
「室町幕府の崩壊、そして多くの民草が殺されている
現状、戦国の世になった日の本、
その原因を知りたくはありませんか。」
ある方
「わらわは単なる飾り。そのようなことを話したとて
なんとなる。実権を握っているのは一条ぞ。」
「ええ、存じております。パウロのことですね。」
「わらわは一条がにくいのじゃ、ザビエールの
甘言に乗せられ財政難を理由に他国へ金銀を
流しおったのじゃ。」
「はい。そのために彼の国のナスィ公が私を
あなたの許へ遣わされたのです。」
「彼の国、オスマントルコ大帝国のスルタン・
スレイマンの命で、キリスト教徒と対立していた
者たちが、ついに立ち上がったのです。」
「してそなたは、わらわに何を求むる?」
「長くキリストに追われている者の「綾」となってくだされ。」
「この国ヤマトに、キリストのごとく君臨するのです。」
京都・清水寺
「おい、おまえ。異国のものだな。近年、妙な
信仰を流布し、各地で一揆を起こしているそうではないか。」
通り掛りの武士は、異人を見て不快げな声をかけた。
「いえいえ、我々は虐げられた民草が幸福になる為に
戦っているのです。」
異国の騎士はこの男の言うことが理解できなかった。
イスパニアでは、民衆に分け与えない領主貴族は
暴徒に襲われ、殺害されることも多い。
暴徒に襲撃され生命を落としたくない。
故に分け与える義務がある。慈善ではないのだ。
「何を言う。一揆を起こす故、農作物が取れず
貧しくなるのであろう。貴様の国は何なのだ。」
フェイゴはこの頭の悪そうな男は、スペイン語で
話はできないだろう。それがわかった。
かといって、こちらも日本語は片言だ。
「ふっ、侍はフェンサーにはまず勝てませんよ」
故に、力づくで黙らせることにした。
半身で構えれば、守備面積が減り、
刀は重いため両手で持たざるを得ない。
正対して、首や心臓を晒す武術に負ける気はしなかった。
そして、親指の爪をはいでやると男はこういった。
所詮 刀など 装飾品だ。
「ほう、多勢に無勢、それに開けた場所でも
通用するというのか?」
そうそれが男の答えだった。やはり野蛮人だ。
決闘のルールも知らないとは。命を助けてやったのに。
爪を剥いだだけだぞ。
「なんと!!一騎打ちの決闘に負けたというのに一味で
殺しにかかるのですか。無頼のやからとなんら変わりませんよ。」
「プライドは無いんですか?」
「死人に口無しと言うのを知らんのか、もはや語る言葉なぞ無い。」
そういうと10人以上で取り囲んできた。
「主に頼まんのか?この状況でも神がお前を
守るというのだな。では試してやろう。」
「ごめんなさい。土下座します。」
西洋人は現実主義者だ。こんな異国で恥も外聞もない。
そもそも、礼儀知らずはあちらだ。豚を相手に虚勢を張っても
仕方がない。
「少し待ってください、彼はこの国の文化を知らんのデス。」
そういうとイスラム教徒であろう商人が顔を出した。
「おお、アラブから来た商人か。」
武士が言う。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ふたりの旅路
三矢由巳
歴史・時代
第三章開始しました。以下は第一章のあらすじです。
志緒(しお)のいいなずけ駒井幸之助は文武両道に秀でた明るく心優しい青年だった。祝言を三カ月後に控え幸之助が急死した。幸せの絶頂から奈落の底に突き落とされた志緒と駒井家の人々。一周忌の後、家の存続のため駒井家は遠縁の山中家から源治郎を養子に迎えることに。志緒は源治郎と幸之助の妹佐江が結婚すると思っていたが、駒井家の人々は志緒に嫁に来て欲しいと言う。
無口で何を考えているかわからない源治郎との結婚に不安を感じる志緒。果たしてふたりの運命は……。

妖言(およずれごと)ーいろは編ー
鞍馬 榊音(くらま しおん)
歴史・時代
“歩き巫女”の一族の分家に産まれた嫡男“忍海(おうみ)”。泰平の世をひっそりと生きてきた一族であったが、江戸末期の黒船来航を機に在り方を見直す事になった。嫡男である為、跡継ぎから外された忍海は自由に生きる事を許される。だが、歩き巫女としての生き方しか知らない彼は、自分の生き方を見付けるための旅に出る。
歩き巫女シリーズとしての短編集となります。
試し読みとして公開中。続きは、XもしくはHPにてチェック!
※本編とは別に制作しており、別途本編として長編を発表する予定をしています。
出撃!特殊戦略潜水艦隊
ノデミチ
歴史・時代
海の狩人、潜水艦。
大国アメリカと短期決戦を挑む為に、連合艦隊司令山本五十六の肝入りで創設された秘匿潜水艦。
戦略潜水戦艦 伊号第500型潜水艦〜2隻。
潜水空母 伊号第400型潜水艦〜4隻。
広大な太平洋を舞台に大暴れする連合艦隊の秘密兵器。
一度書いてみたかったIF戦記物。
この機会に挑戦してみます。

架空戦記 旭日旗の元に
葉山宗次郎
歴史・時代
国力で遙かに勝るアメリカを相手にするべく日本は様々な手を打ってきた。各地で善戦してきたが、国力の差の前には敗退を重ねる。
そして決戦と挑んだマリアナ沖海戦に敗北。日本は終わりかと思われた。
だが、それでも起死回生のチャンスを、日本を存続させるために男達は奮闘する。
カクヨムでも投稿しています
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
華研えねこ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
札束艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
生まれついての勝負師。
あるいは、根っからのギャンブラー。
札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。
時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。
そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。
亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。
戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。
マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。
マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。
高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。
科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる