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第3章 怒りの十字架 1-
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しおりを挟む謎の水死体がテムズ川の岸に上がった。
ストリートランナーが呼び出され、
パトリシアとボードウィンが
出っ張ってきた。
「よぉ、自警団の紅一点が遅刻とわね。」
」
ボードウィンが軽い口調で言った。
パトリシアは、半狂乱でとめるハーシーを説得しようとしたが
あきらめるしかなかった。強制的におとなしくさせて
何とかこの時間にやってこれたのだ。
パトリシアは普段は肉屋=ブッチャー、
をやってたが幼いころ貴族出身の
カヴァネスを仕事とするものに、
育てられたためインテリではあった。
その為、こうやって、ストリートランナーとして、警察のような仕事もやっていた。
「野盗にでも襲われたんだろう、上流で争って飛び込んだってところか。」
この時代確かに野盗や殺人は珍しくない。
命の価値が低いからだ。だが、剣術に長けたパトリシアから見て
それは素人が斬りつけたように、到底見えない。プロだ。
暗殺者の斬りかたに近い。ボードウィンには言うべきでは無いだろう。
ボードウィンが不思議そうに、ある男を見つめていた。
そしてその少年に言った。
「なんだい、あんたらは。」
「我々は、フリーメーソンの調査団、ハッペンハイム家の要請を受け
やってきました。あなたがたの手に負えるものではありません。
おひきとりを。」
少年は言った。
ボードウィンはいらいらするこの少年に言った。
「何の根拠でそういうんだ。」
「この服を見てどう思いますか。」
「単に金持ちなんじゃないか。」
「泥だらけですが、ここを見てください。家紋でもなく
デザインで複雑な刺繍がされている。服まで剥ぎ取る野盗は
珍しいですよね。貴族階級は重要な暗号を運ぶとき
服の刺繍に託したそうです。何らかの機密保持のため
重傷をおっていながら、河に飛び込んだ。死を覚悟して。
そう考えます。」
「ふ~ん、だから貴族の服はゴテゴテしてんのか。」
「王族が他国に嫁ぐとき、服は調べられるか、取り上げられます。
お分かりいただければ、けっこうです。」
ハイヤーハムシェルはボードウィンにだけ立ち去るように言った。
ボードウィンは説明に納得したのか、迫力に押されたのか
帰って行った。ハイヤーハムシェルは河の水で手についた泥を
流しながら言った。
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