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第2章 黒い宝石1-12
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しおりを挟む「ちょいと、聞くけど。目的地はどこだったんだい。」
アンボニーは、この船の本来の目的地を聞いた。この少女は異常なほど
英語がうまい。フランス語やスペイン語も話せるらしい。
ウバは聞いた限り、目的地は、イングランドだと言っていた。
「あんた、私たちと来る気あるかい。」
アンボニーはウバは将来、よい参謀になると思い、聞いた。
だが、ウバは予想もしない答えを返してきた。
英国に連れて行ってくれと言うのだ。
父は無事村人を助けたらしい。さすが、英雄コムラ・サウル。
だが娘の自分は、行き違いになり捕まってしまった。
ウバは5ヶ国語話せる。この機会に白い人の国を見てみたかった。
「はっきり言って、まったくお勧めできない。頭がおかしいのかと思うよ。」
アンボニーは始めこの娘は無知蒙昧なのだと思った。
だが彼女は、欧米の学問文学数学芸術すべてに非常に長けており
ほかの言葉が話せる乗組員に聞いたら、スペイン語もフランス語も
流暢だ。
この10歳の少女は言った。我々黒人は、自分の土地を出ることなく
閉じこもり、何も知ろうとせず、売り買いされる荷物だ。
それでは何も変わらない。永遠に、だから知りたい、たとえ敵であっても。
アンボニーはこの10歳の少女を心の底から気に入った。
「わかった、新大陸に送ってやろう。それとな、あの船から
いただいたお宝の代金、1割やろう。残った乗組員はお前だけだ。」
「感謝いたします。提督。」
アンボニーとウバ・サウルはフロリダに着くまで、いろいろとはなし
とても仲良くなった。アンボニーは思った。こいつならできるかもしれない。
自分ではできない何か大きなことを。
脆弱なる未完成な勇者ギデオン、シバの女王・・・
稀有な存在、その身体能力と武力により尊敬された黒人種。
しかし、いつからかキリスト教徒の道具となり
その底辺となっていた。
新大陸 ボストンの宿屋
「私は、トーマス・ダンカン・ハミルトン。
あなたの主人であるアングロサクソンの白人です。」
そういうと、トーマスは深々とお辞儀した。
「先代の船長、ラッカム氏は命の恩人でして、それにそれなりの
礼金はいただいております。あなたの財産は9000ポンドになります。
アンボニー氏が色をつけたようですね。足りなければ為替で送ると
おっしゃっておられました。彼らによほど気に入られたようですね。」
9000ポンドは現在の貨幣価値でおよそ、1000万ドル以上。
貧富の差や生活レベルを考えるとそれよりはるかに価値が高い。
オラバ族元酋長ウバ・サウル おそらく世界一、金持ちな黒人奴隷の誕生だ。
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