産業創世記 ギデオン(休載中)

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第2章 黒い宝石1-12

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ある日コムラは、村人の一人が見つけてしまった、

災いについて相談していた。

村人の一人が、村から歩いてしばらくのところにある

川のほとりで、冒険家と思われる3人組を発見した。

他に死体が2つ、水汲み場に肉食獣が近づくのは厄介なので

コムラはその2人については村の墓地に埋葬する事にした。



問題は生き残った3人だ。1人は重症で、2人は無傷だ。

幸い、英国人らしくウバが、話を聞いていた。

白い人は子供が英語を話す事に驚く様子もなく、

この地にある程度慣れているものだろうと推測された。



「父上、話を聞きましたが、このあたりに金や宝石の鉱脈がないか

一攫千金を狙った、政府より派遣されてきた役人が一人、

現地のガイドが1人、傷の深いものは安静にさせております。」



無傷で生き残った、けむぐじゃらの大男が話しかけてきた。

ウバしか言葉を理解できるものがいないのだから仕方ないが

村の掟を破るわけにも行かない。

かといって無視しては心象がかなり悪くなるだろう。

仕方なく


「父上に許可を取ってきます。しばらく待って。」


「はぁ、許可~。」


大男は顔を近づけると臭い息を吐きかけてきた。


「ふざけんなよ、黒いの。俺は酒が欲しいんだよ。」


「ちょっと待って、それはある。許可を取ってくる。」


ウバは急いで父のもとに行き、許可を取ろうとした。


しかし、コムラは酒を飲ませて、酔っ払って暴れられると困る


そういって、許可はできないと言った。




ウバは、それは分かるが10歳かそこらの子供だ。

身長が自分の2倍、体重は4~5倍ありそうな

熊のように凶暴そうな男を怒らせるのはいやだ。


「申し訳ないですが、できません。」


あなたが酔っ払って暴れまわると迷惑なので

できないと言うことを説明すると大男は言った。


「傷を負って死に掛けてる神父に渡したいだけだよ。」


それでもダメなのかと、怒り狂う男は自分はしらふでも暴れまわると言い出す


始末だ。ウバは酒に眠り薬を混ぜて飲ませようと思った。


弓は好きだが、獲物を殺すのを嫌がる父は、矢に塗るための眠り薬


を持っていたはずだ。


「わかりました。お口に合うかは分かりませんが、お持ちします。」

父も仕方なく、承知してくれた。


ついでにあの男の言うとおり、神父にもお酒を持っていくことにした。


痛みで眠れないだろう。




傷ついた神父は、荒い息を立てながら横たわっていた。

おそらくこの傷ではこの村では助からないであろう。

ウバが神父に酒を塗り、口にお酒を含ませ。

「沁みますか、消毒のためです我慢してください。」



そういうと神父は少し驚いたように、こちらを向いた。

「君は英語が話せるのか。しかもかなり流暢だ。

こちらの人間は、まともな言葉が話せないと思っていた。」



「私は幼いころから、ヨーロッパの書物を毎日読んでいました

読み書きなら、ここの言葉よりも得意です。」



ウバは神父の傷口に薬草を塗りながら言った。


「あの大きな男性は凶暴で暴れるので、お酒を飲んで寝ています。」


ウバがそう言うと神父は必死の形相で英語でこういった。


「今すぐ逃げるんだ。何を聞いたかしら無いが、彼らは奴隷狩り、

しかもただの奴隷狩りじゃない、殺すのが目的だ。」

神父はそういうとまた、疲れたのか静かになった。

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