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第1章 監獄の住人17-30
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しおりを挟むそもそも、大英帝国まで無寄港での1ヶ月の船旅だ。
ある意味、死んだとしてもそれほど困らないからこそ選ばれたのだろう。
オスマン帝国も人材がいないわけではない。しかしオスマン帝国の
スルタンの名代として大英帝国の新国王に親書を届ける使節の
代表を任せられるような存在はそうはいない。
大英帝国のハッペンハイム家が「ユダヤ人貴族」と指名してきたのだ。
相手が国王となると、大公か公の血族でなくては釣り合いが取れない。
大航海時代のテューダー朝の時代ならともかく、いまや7つの海を支配する
世界一の巨大帝国だ。しかも、英国国教会の聖地ウエストミンスターに入るのだ。
それならばと、かつては大公位についた事もあるナスィ家が選ばれるのは当然だ。
表向きは、宮廷ユダヤ人ハッペンハイム家の当主からの招聘だが、
影で実権を握っているのは、かつて英国にわたり確固たる地位と財産を築いた
ギテオン家である。先代のサンプソン・ギデオンはイスラム圏から大英帝国に
移住し、スティアート王家の正統を主張する、僭王ボニープリンスチャーリーが
首都ロンドンに迫る中、逃げるために投売りされる財産を
ただ同然で買取り、南海バブルで英国有数の大富豪になった。
ナスィ家とギテオン家は2千年以上の付き合いのある家で、
失われた約束のイスラエル王国建国以前にさかのぼる。
「ゆだやびと」 その起源はすごく古い。カビが生えるくらいだ。
シオンも子供のころから幾度となく聞かされた。そういう話だ。
かつて、エルサレム近郊は、バビロニアそしてニネベという2大帝国があり、
ナイルの流域も広大でチグリスとユーフラテスのペルシア文明との間で
働く人で活気に満ちていた。
そのころ、砂漠をさまよう遊牧民がおり、現在は2支族しか残っていないが
かつては選ばれし12支族と呼ばれ、ナスィは酋長、ギテオンは族長であった。
シオン・ナスィのはるかなる祖先である。元々は、12支族で順番に酋長を決め
ナスィと呼んでいたが、盗賊に襲われたり、奴隷にされたり
災厄が降りかかる中、12支族を結束させ権力を集中させ、統率するために
ある一族は、ナスィと呼ばれるようになり。本来の家名を失った。
そして、力を得た彼らは、ヘルモン山からモアブの死海へ流れ下るせせらぎを求め
荒地を開墾し、その地を、それなりに豊かな肥沃な大地とした。
ナスィは、ヤハウェであり、ツロより至りて、サマリア、ヘブロン
エルサレムを統治する唯一神と定められていました。
商業交易ルートの要衝を走る彼らの領土は、たびたびエジプトやバビロニアによって
侵略される事も多く、その独立は困難を極めました。
古代の大帝国ペルシャ帝国の後ろ盾を得る事ができ、その庇護の下
その土地をナスィが与えられ、ようやく平和が訪れた。
無論、ペルシャ帝国も、外交上地理上、バビロニアやエジプトに対する
緩衝地域、防壁の捨て駒としての効果を期待していたのかもしれません。
しかし、ペルシャ帝国が衰退し、マケドニアの憎きアレクサンドロス大王に
滅亡させられると、ギリシャ・ローマ帝国はイスラエルの存在を消し去り
ゆだやびとはローマ帝国の属州となり、
彼らのギリシャローマ文明に取り込まれつつありました。
サンヘドリンというローマの施政者の生み出した偽の王族の一派と
ペルシャ帝国に亡命した王族の一派に分かれていきました。
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