黒猫の王と最強従者【マキシサーヴァント】

あもんよん

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第五章 闇ギルドと猫耳の姫君(プリンセス)

第十二話「~イリスの独白~」

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改めて自己紹介するね。俺の本当の名前は、アイリス・ヴァン・オッターバーンって言うんだ。

そう、一応ね、獣王国の貴族の娘だから、お姫様?なんだよ!

ねえねえ、驚いた?

・・・そこ、もう少し驚くところだよ?・・・いいよ、もう。

あ、ウチの家は辺境伯?っていうのなんだって。

へぇー、アリスよく知ってるね!

そうだよ。今いるこのシモン共和国のすぐ近くが領地なんだ。

とても良いところだよ。住んでる人はみんな優しいし、俺、小さい時から、住んでるお城抜け出してよく近くの子供達と遊んでたんだ。

もちろん、お城から来たなんて言わないさ。

そんなこと言ったら、直ぐにお迎えが来て連れ帰されちゃうじゃん!

せっかく出来た友達と朝から晩まで、山や川で泥んこになって遊んだんだよ!

まぁ、帰ったらばぁやにすんごい叱られるんだけどさ。

でも、父様や母様からはあんまり怒られなかったなぁ~。

俺が叱られてると、許してやれって横から言ってくれてたんだけど、そしたら父様も一緒にばぁやに叱られて、

それから助けてくれなくなったけどね。

えっ?言葉遣い?あぁ、俺、って言うの?

俺、その頃遊んでた友達の誰よりも強くって、みんなはいつの間にか子分というか家来?みたいな感じになったんだよね。

だからって、威張って意地悪したりはしなかったよ?

みんなと仲良く色んな事して遊んだんだ。

でも、皆んなには女って言ってなかったからさ、俺って言うようになって、そのまま。

お城にいる時は、もちろん俺なんて言わないよ。ばぁやになんて言われるか。

そんなこんなで皆んなと遊んでたんだけど、ある時ね、知らない男の子が現れたんだよ。

他の子達にも聞いたけど、知らないって。

で、皆んなも気にはなるけど話しかける勇気は無い、って言うからさ。

じゃあ俺が話しかける、って言って話したんだよ。

その子も俺たちと一緒に遊びたかったらしくてさ、直ぐに仲良くなったよ。

その日は朝から晩まで川で魚取ったり、山に虫獲りに行ったりさ。

そいつ、虫が怖いとか言ってすんごい涙目になってて、大笑いしたら怒っちゃったんだけど、

お詫びに美味しい蜂蜜の取れる俺だけの秘密の場所を教えてあげて許して貰ったんだよ。

魚の取り方を教えたら、すごい尊敬?みたいな目で見られた。へへっ。

それで、そろそろ今日はもう家に帰らなきゃって、皆んなも帰り出したんだけど、

その男の子が、ちょっと待ってって言うからさ。何って聞いたら、俺の手を握って小さい花がいっぱい咲いてる原っぱに連れて行ったんだ。

何だろうって思ってたら、そいつが、お前は女だろうって聞いてきたんだよ。

ビックリしたよ!

今まで誰もそんな風に聞いてくる奴いなかったからさ。

何でそんな事聞くんだよって言ってやったら、大丈夫、誰にも言わないから安心してって、そいつが言って。

だから、確かに俺は女だけど、他の連中には絶対に言わないでって頼んだんだ。

そいつは分かったって言った後に、少しだけ待ってって言うから、座って待ってたんだよ。

そしたらそいつ、小さな花でティアラみたいのを編んでくれて、俺の頭に付けてくれたんだ。

そして、お前はとってもかわいい。大好きだって言ってくれた。

何だか顔が熱くなって、フワフワした気分になったのを覚えてる。

そんで、そいつが大きくなったら自分のお嫁さんになって欲しいって・・・ヘヘヘッ。

なんか、すごく嬉しくって、直ぐに良いよって言っちゃった。

俺が十三歳になったら迎えに来るからって。指切りして別れた。

でも、そいつに会ったのは、その日のその一回だけ。

名前も聞かなかったし、俺も名乗らなかった。

でも、十三歳になったらきっとあいつが俺の事を迎えに来るんだって、全然思ってたんだ。

父様と母様にもその話をしたんだけど、最初は大笑いされたな。

ばぁやはとんでもないってプリプリしてたけど。

でも、それから2年たっても3年たっても、俺がその事を信じてるって知ってからは、父様と母様が真剣な顔で言った事があるよ。

うちは辺境伯だから、どこかよその貴族と結婚しなきゃいけないかもしれないって。

だから、その話があった時に、その時は家を飛び出してあいつが来るのを待つって言ったんだ。

二人はすごく驚いた顔してた。一回しか会ってない、名前も知らないのにどうして、って。

でも、俺はあいつが俺の運命だって知ってた気がする。

だから、父様と母様にもそれが俺の運命だからって言ったんだ。

暫くじっと俺の事を二人は見てたけど、そうかって言って、その後は一回もその事に触れられたことは無いんだ。

そして、いよいよ今年、もうすぐ俺も十三歳になって、あいつがきっと来てくれるって楽しみにしてたのに・・・

父様から突然、結婚が決まったって言われたんだ。

意味が分からなかった。

父様はあれから何も言わなかったけど、俺の気持ちを尊重してくれてると思ってた。

そうじゃなかったのかって思ったけど、父様は俺に済まないって謝ったんだ。

父様も俺の気持ちを十分に理解してたから、この縁談は断りたかったんだって。

だから内々に話が来た時に断ったのに、正式に申し込まれたって言ってた。

相手?聞いたら驚くよ。なんと、王家の皇太子様が直々にご指名なんだって。

今までそんな事、あった事がないって、王宮では大騒ぎだったらしいけど。

それに、どっかの侯爵様が自分の娘を皇太子さまに嫁入りさせたいって言ってるらしくって、その関係でうちの父様を目の敵にしてるって言ってた。

で、父様の立場とか色々考えたら、やっぱり娘としては耐えなきゃダメだよねって思って。

皇太子さまの求婚を受ける事にしたんだよ。

でもさ、やっぱり、心のどこかではあいつの事を考えちゃうしとか思ってたら、昔作ってもらった草花のティアラ。

実は捨てずに持ってたんだよね。もうカピカピに乾燥してるんだけど。

それ見てたら、昔の思い出とか、これまで抱えてきた思いがあふれてきちゃって・・・あれっ?おかしいな。なんで俺、泣いてるんだろう?

で、やっぱりこんな気持ちじゃ結婚なんかできないと思って、いろいろ考えて書置きして家を飛び出してきちゃったんだよね。

姿がこのままだとすぐバレて捕まるって思ったからさ。家に代々伝わる家宝の指輪を持って来たんだよ。

昔、うちの家のご先祖様が神様から直接頂いたっていう伝説がある指輪で、指輪をはめてる人の姿を全てを自分が思うとおりに変えるっていう話だったから、

使えるかなぁと思って。ほんとに、実際に自分の姿が変わった時はびっくりしたけどね。

それで、家を飛び出してどこに行く当てもなくあっちこちをフラフラしてたらあの人攫いどもに捕まったんだよね。

おかしいのは、あいつら、俺の事をどうもわかってて捕まえたようなんだよね。

何だか話してるのが聞こえたんだけど、これで侯爵様には、とか、どこかの遠くに奴隷として売れば二度とこの国に入る事は無いだろう、とか。

それで、ひょっとすると例の侯爵の手先とかがかかわってるかもしれないと思って、隙をついて逃げ出したのさ。

その後、食うや食わずで腹減りまくりだったから、ちょっと無茶をしたところをアリスに助けられた、って訳さ。

ちょっと、話まとまってないんだけど、分かった?
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