75 / 120
第五章 闇ギルドと猫耳の姫君(プリンセス)
第五話「なべて世はこともなし」
しおりを挟む
どこの世界、いつの時代も輝かしい栄光と奥深い闇が存在する。
奴隷制度とは、そんな闇の大きな要素の一つだろう。
特権階級や富める者がいる反面、貧しく奪われるだけの弱い存在がいる世界では、ある意味必然なのかも知れない。
ある者は重い税を払う事が出来ず、またある者は借財の返済が出来ないために家族を、あるいは自分自身を対価として差し出さざるを得ないのである。
一度奴隷となった者は一生奴隷であり、その持ち主が奴隷から解放するしかそこから逃れる道はない。
奴隷となった者はその瞬間から人ではなくモノとして扱われるのだが、その取引は厳しく管理されていた。
正規の奴隷商人は国の鑑札を与えられ、公に奴隷の売買を許可されていた。当然この鑑札を持たない者がそれを行う事は違法であった。もしそのような者がいれば、財産は全て没収された上でその本人と家族も奴隷とされた。
奴隷の需要は多岐にわたり、屋敷の下僕や店舗の小間使いのような真っ当な用途から、普通の人間が立ち入るのを躊躇うような裏通りに店を構える風俗店のような場所まで、年齢・性別・容姿……あらゆる要素で振り分けられ、その奴隷に見合った役割が与えられるのだ。
ごく一部の幸運な者を除いて、それは自分の好みや信条の反映されない過酷な現実であった。
更に、このような通常の奴隷とは異なる三つの例外的な奴隷が存在した。
例外の二つは犯罪奴隷と戦争奴隷である。
犯罪奴隷とは言わずもがな、犯罪を犯したものを奴隷にする事である。極めて悪質、又は重大な犯罪を犯したものはこの犯罪奴隷に落とされるのだが、該当者には男女の区別なく鉱山での過酷な労働が課せられる。労働に対する給金は僅かながら存在するが、支払われるのは、生きてここを出る時とされていた。
無事に刑期を勤め上げれば解放される事になっているが、かつてこの刑を受けて生きて出たのは僅か三人のみと言われている。その三人のうち二人は、程なく犯罪を犯して最上位刑である死刑に処せられた事を考えると、犯罪奴隷に落とされる事は死刑宣告と同義と捉えられていた。
また戦争奴隷とは、戦時捕虜のうち本国に引き取られず残され奴隷に落とされたものを指す。
犯罪奴隷との違いは、働きに対して相応の給金が支払われ、それによって自分を買い戻すことが可能な点である。職種は先に触れた鉱山労働か、兵士として働くかの二択ではあるが、その死亡率は50%前後と犯罪奴隷よりはマシだが、過酷な状況である事には変わりなかった。
多くの国でこの慣行が通例化しているが、一部の小国では鉱山などの奴隷化に見合う労働が無いことから、そのまま処刑される事もあったし通常奴隷と同じく売買される場合もあった。
そして、もう一つの例外が違法奴隷である。
人族を含め、人族から亜人と呼ばれるエルフやドワーフ、各種獣人などを誘拐し、金持ちや一部の貴族など好事家へ違法に売買する奴隷商人たちが存在するのだ。その違法奴隷を扱う商人達は、正規の鑑札を持たない者がほとんどで、官憲の目を掻い潜り商売を行なっているとの事だったが、一部には正規の奴隷商人が悪事に手を染めているという噂も実しやかに囁かれた。
もっとも、噂だけで確たる証拠があるわけではなかったが。
この違法奴隷のほとんどは年若い女性をターゲットとしたものだが、中には若い男の子に劣情を抱く特異な性癖の顧客も存在するらしく、男女含めて毎年数百人程の違法奴隷が生まれているとも言われている。もちろん、違法奴隷の取り締まりは各国とも行なっているが、その実情は国によってかなり異なるものとなっていた。
ティラーナ聖王国においては、徹底した調査と友好国との連携によって、ほぼ違法奴隷を撲滅する事に成功したと言われている。その過程で、大貴族を含む複数の貴族家が断絶に追い込まれ、いくつかの商家もその例に倣った。
聖王国では、人族も亜人種も等しく人権を認められており、違法奴隷の調査においても、見つかった奴隷は同じように保護されて家族の元へ返された。
しかし、聖王国以外では一部の小国家を除いて亜人種の人権は認められておらず、そのような国では人族以外の違法奴隷については、ほぼ黙認されている状態であった。
大陸の北方には獣人族の国があり、事あるごとに各国へ獣人の人権確立と違法奴隷の取り締まり強化を打診しているようだが、各国の反応は緩慢であった。そのため、獣人国と各国は表面的には一定の友好関係を保っているように見えるが、聖王国を除く国々とは潜在的に敵対していると言ってよかった。
また、亜人種をあからさまに蔑み、奴隷化を推奨している国が存在する事も、事態を深刻化させていた。それが【神聖ミケーネ帝国】である。
帝国は人族至上主義を掲げ亜人種を奴隷化する事を寧ろ推奨していたため、獣人国と直接国境を接している場所は、常に一触即発の緊張状態が続いていた。
しかしながら、2国の間には未だ複数の国家を挟んだ状態であり、直接国境を接する部分は全体としてはそう大きくはなかった為、決定的な軍事衝突までは至っていなかった。
また、帝国としても現状複数の国家を相手に戦争を起こす事は、如何に軍事大国とはいえおいそれとは踏み出せない問題であった事から小康状態が続いていると言ってよかった。とは言え、いつお互いに対する暴発が起こってもおかしくない状況には変わりなく、あからさまな敵対関係にある2国の間には緊張状態が続いていたが、その二つの国の間にまるで防波堤のように横たわる国があった。その名をシモン共和国と言い、今まさにおかしな二人とその他一人が彷徨っていた森こそ、その国の辺境にあったのである。
あれから間もなく、二人と一匹は森の入り口にある小さな町にたどり着いた。
数日ぶりの人里でようやく人心地のついた黒猫主従とイリスは、小さな宿屋にその居を構えた。
こんな田舎の宿屋では風呂など望むべくもなかったが、桶に入れてもらったお湯でここ数日の垢と汗を落とすとようやくに落ち着く事が出来た。食事についても田舎料理ではあったが、新鮮な素材を使った野鳥の焼き物や野菜のたっぷり入ったシチューと硬い黒パンで十分に満足できた。
アリスはそれに加えて田舎独特の火酒を呷っていたが、久しぶりの事だったためタロも特に何も言わなかった。
腹も満たされ、部屋に戻って幾分か落ち着いたところでイリスが口を開いた。
「アリスはこの後どこへ行くの?」
「特に決めていません。私とこの子は気の向くままにあちこちを放浪してるんです」
アリスの答えを聞いたイリスは変な顔をした。
アリスの言葉には色々変なところがある。
そもそも、放浪をしていると言う割には服装はメイド服だし、パッと見16-7歳ぐらいかと思うが、ビックリするぐらい美人なのに猫だけ連れて一人で放浪生活をしてるとか意味が分からない。そして何より、彼女が見せた戦闘力はとても十代のか弱そうな娘が身につけるそれでは無かった。なので、イリスは恐る恐るこんな事を聞いてみた。
「……その、アリスはどこかの国の特殊工作員とかじゃないの?」
馬鹿馬鹿しいと思いながらも思わず聞かずにはいられなかったイリスだが、いざ口にしてみるとその荒唐無稽さに思わず恥ずかしさが顔に上ってきた。
「あ、いや、ゴメン。バカなこと聞いた。そんな事あるわけないのにね」
そう言って苦笑を浮かべるとアリスを見やった。
だがその視線の先のアリスは真剣な表情でイリスを見つめていた。
「なぜ気づいたのですか?」
自分で問いかけたくせにそんな返答が返ってくるとは思っていなかったイリスは、その答えを聞いた瞬間ビシッと固まってしまった。そして、ゆっくりとまるでゼンマイ仕掛けの人形のようにぎこちない動きでアリスの言葉を反芻した。
「なぜ気づいたのですか!?……本当にそうだったの??」
さっき、アリスは自分に危害は加えないって言ったのに、自ら地雷を踏むような質問をした事を後悔したが、時すでに遅くイリスは思考がまとまらないまま、再びアリスに問いかけた。
そんなイリスの様子をしばらく見ていたアリスは、特に表情を変えることも無く、次のように答えた。
「なんで、人の言った事をすぐに真に受けるんですか?そんなんじゃ、世間を渡っていけませんよ。もう少し疑り深くならないといけません」
そう言って、椅子に腰かけると「あ、お茶の準備をしましょうか」等と口にした。
「……はっ???」
今の一連のやり取りが何だったのか展開に付いていけずにいるイリスに気付いたアリスは、
「私がどこぞの秘密工作員なわけないでしょう?少し考えればバカでもわかりますよ?」
と言いながらお茶の準備を始めた。
「……つまり……揶揄われたの?……勘弁してくれよ~!!あ、バカってなんだよ!!」
アリスの言葉を漸くに理解したイリスは、先程頭の中で考えた最悪の展開を思い起こしつつ、非難交じりに抗議の声を上げた。
「はいはい。バカなお話はここまで。お茶を頂いたら寝ますよ。明日も早いんですからね」
アリスはそう言いながら、イリスの抗議の声を軽く聞き流して自分とイリスには紅茶を、タロにもミルクを用意してその前に置いた。それでも納得のいかないイリスはアリスに食って掛かっていたが、二人のやり取りを半目で見ながらタロは自分の前に置かれたミルクに舌を伸ばした。
『まぁ、秘密工作員は良かったな。もっとも、それ以上に言えない秘密が多いんだがな』
と、アリスにしか分からない言葉で語るタロであった。
結局にこの騒動が決着したのは夜半を過ぎた頃で、隣の部屋からの抗議の為であった。
奴隷制度とは、そんな闇の大きな要素の一つだろう。
特権階級や富める者がいる反面、貧しく奪われるだけの弱い存在がいる世界では、ある意味必然なのかも知れない。
ある者は重い税を払う事が出来ず、またある者は借財の返済が出来ないために家族を、あるいは自分自身を対価として差し出さざるを得ないのである。
一度奴隷となった者は一生奴隷であり、その持ち主が奴隷から解放するしかそこから逃れる道はない。
奴隷となった者はその瞬間から人ではなくモノとして扱われるのだが、その取引は厳しく管理されていた。
正規の奴隷商人は国の鑑札を与えられ、公に奴隷の売買を許可されていた。当然この鑑札を持たない者がそれを行う事は違法であった。もしそのような者がいれば、財産は全て没収された上でその本人と家族も奴隷とされた。
奴隷の需要は多岐にわたり、屋敷の下僕や店舗の小間使いのような真っ当な用途から、普通の人間が立ち入るのを躊躇うような裏通りに店を構える風俗店のような場所まで、年齢・性別・容姿……あらゆる要素で振り分けられ、その奴隷に見合った役割が与えられるのだ。
ごく一部の幸運な者を除いて、それは自分の好みや信条の反映されない過酷な現実であった。
更に、このような通常の奴隷とは異なる三つの例外的な奴隷が存在した。
例外の二つは犯罪奴隷と戦争奴隷である。
犯罪奴隷とは言わずもがな、犯罪を犯したものを奴隷にする事である。極めて悪質、又は重大な犯罪を犯したものはこの犯罪奴隷に落とされるのだが、該当者には男女の区別なく鉱山での過酷な労働が課せられる。労働に対する給金は僅かながら存在するが、支払われるのは、生きてここを出る時とされていた。
無事に刑期を勤め上げれば解放される事になっているが、かつてこの刑を受けて生きて出たのは僅か三人のみと言われている。その三人のうち二人は、程なく犯罪を犯して最上位刑である死刑に処せられた事を考えると、犯罪奴隷に落とされる事は死刑宣告と同義と捉えられていた。
また戦争奴隷とは、戦時捕虜のうち本国に引き取られず残され奴隷に落とされたものを指す。
犯罪奴隷との違いは、働きに対して相応の給金が支払われ、それによって自分を買い戻すことが可能な点である。職種は先に触れた鉱山労働か、兵士として働くかの二択ではあるが、その死亡率は50%前後と犯罪奴隷よりはマシだが、過酷な状況である事には変わりなかった。
多くの国でこの慣行が通例化しているが、一部の小国では鉱山などの奴隷化に見合う労働が無いことから、そのまま処刑される事もあったし通常奴隷と同じく売買される場合もあった。
そして、もう一つの例外が違法奴隷である。
人族を含め、人族から亜人と呼ばれるエルフやドワーフ、各種獣人などを誘拐し、金持ちや一部の貴族など好事家へ違法に売買する奴隷商人たちが存在するのだ。その違法奴隷を扱う商人達は、正規の鑑札を持たない者がほとんどで、官憲の目を掻い潜り商売を行なっているとの事だったが、一部には正規の奴隷商人が悪事に手を染めているという噂も実しやかに囁かれた。
もっとも、噂だけで確たる証拠があるわけではなかったが。
この違法奴隷のほとんどは年若い女性をターゲットとしたものだが、中には若い男の子に劣情を抱く特異な性癖の顧客も存在するらしく、男女含めて毎年数百人程の違法奴隷が生まれているとも言われている。もちろん、違法奴隷の取り締まりは各国とも行なっているが、その実情は国によってかなり異なるものとなっていた。
ティラーナ聖王国においては、徹底した調査と友好国との連携によって、ほぼ違法奴隷を撲滅する事に成功したと言われている。その過程で、大貴族を含む複数の貴族家が断絶に追い込まれ、いくつかの商家もその例に倣った。
聖王国では、人族も亜人種も等しく人権を認められており、違法奴隷の調査においても、見つかった奴隷は同じように保護されて家族の元へ返された。
しかし、聖王国以外では一部の小国家を除いて亜人種の人権は認められておらず、そのような国では人族以外の違法奴隷については、ほぼ黙認されている状態であった。
大陸の北方には獣人族の国があり、事あるごとに各国へ獣人の人権確立と違法奴隷の取り締まり強化を打診しているようだが、各国の反応は緩慢であった。そのため、獣人国と各国は表面的には一定の友好関係を保っているように見えるが、聖王国を除く国々とは潜在的に敵対していると言ってよかった。
また、亜人種をあからさまに蔑み、奴隷化を推奨している国が存在する事も、事態を深刻化させていた。それが【神聖ミケーネ帝国】である。
帝国は人族至上主義を掲げ亜人種を奴隷化する事を寧ろ推奨していたため、獣人国と直接国境を接している場所は、常に一触即発の緊張状態が続いていた。
しかしながら、2国の間には未だ複数の国家を挟んだ状態であり、直接国境を接する部分は全体としてはそう大きくはなかった為、決定的な軍事衝突までは至っていなかった。
また、帝国としても現状複数の国家を相手に戦争を起こす事は、如何に軍事大国とはいえおいそれとは踏み出せない問題であった事から小康状態が続いていると言ってよかった。とは言え、いつお互いに対する暴発が起こってもおかしくない状況には変わりなく、あからさまな敵対関係にある2国の間には緊張状態が続いていたが、その二つの国の間にまるで防波堤のように横たわる国があった。その名をシモン共和国と言い、今まさにおかしな二人とその他一人が彷徨っていた森こそ、その国の辺境にあったのである。
あれから間もなく、二人と一匹は森の入り口にある小さな町にたどり着いた。
数日ぶりの人里でようやく人心地のついた黒猫主従とイリスは、小さな宿屋にその居を構えた。
こんな田舎の宿屋では風呂など望むべくもなかったが、桶に入れてもらったお湯でここ数日の垢と汗を落とすとようやくに落ち着く事が出来た。食事についても田舎料理ではあったが、新鮮な素材を使った野鳥の焼き物や野菜のたっぷり入ったシチューと硬い黒パンで十分に満足できた。
アリスはそれに加えて田舎独特の火酒を呷っていたが、久しぶりの事だったためタロも特に何も言わなかった。
腹も満たされ、部屋に戻って幾分か落ち着いたところでイリスが口を開いた。
「アリスはこの後どこへ行くの?」
「特に決めていません。私とこの子は気の向くままにあちこちを放浪してるんです」
アリスの答えを聞いたイリスは変な顔をした。
アリスの言葉には色々変なところがある。
そもそも、放浪をしていると言う割には服装はメイド服だし、パッと見16-7歳ぐらいかと思うが、ビックリするぐらい美人なのに猫だけ連れて一人で放浪生活をしてるとか意味が分からない。そして何より、彼女が見せた戦闘力はとても十代のか弱そうな娘が身につけるそれでは無かった。なので、イリスは恐る恐るこんな事を聞いてみた。
「……その、アリスはどこかの国の特殊工作員とかじゃないの?」
馬鹿馬鹿しいと思いながらも思わず聞かずにはいられなかったイリスだが、いざ口にしてみるとその荒唐無稽さに思わず恥ずかしさが顔に上ってきた。
「あ、いや、ゴメン。バカなこと聞いた。そんな事あるわけないのにね」
そう言って苦笑を浮かべるとアリスを見やった。
だがその視線の先のアリスは真剣な表情でイリスを見つめていた。
「なぜ気づいたのですか?」
自分で問いかけたくせにそんな返答が返ってくるとは思っていなかったイリスは、その答えを聞いた瞬間ビシッと固まってしまった。そして、ゆっくりとまるでゼンマイ仕掛けの人形のようにぎこちない動きでアリスの言葉を反芻した。
「なぜ気づいたのですか!?……本当にそうだったの??」
さっき、アリスは自分に危害は加えないって言ったのに、自ら地雷を踏むような質問をした事を後悔したが、時すでに遅くイリスは思考がまとまらないまま、再びアリスに問いかけた。
そんなイリスの様子をしばらく見ていたアリスは、特に表情を変えることも無く、次のように答えた。
「なんで、人の言った事をすぐに真に受けるんですか?そんなんじゃ、世間を渡っていけませんよ。もう少し疑り深くならないといけません」
そう言って、椅子に腰かけると「あ、お茶の準備をしましょうか」等と口にした。
「……はっ???」
今の一連のやり取りが何だったのか展開に付いていけずにいるイリスに気付いたアリスは、
「私がどこぞの秘密工作員なわけないでしょう?少し考えればバカでもわかりますよ?」
と言いながらお茶の準備を始めた。
「……つまり……揶揄われたの?……勘弁してくれよ~!!あ、バカってなんだよ!!」
アリスの言葉を漸くに理解したイリスは、先程頭の中で考えた最悪の展開を思い起こしつつ、非難交じりに抗議の声を上げた。
「はいはい。バカなお話はここまで。お茶を頂いたら寝ますよ。明日も早いんですからね」
アリスはそう言いながら、イリスの抗議の声を軽く聞き流して自分とイリスには紅茶を、タロにもミルクを用意してその前に置いた。それでも納得のいかないイリスはアリスに食って掛かっていたが、二人のやり取りを半目で見ながらタロは自分の前に置かれたミルクに舌を伸ばした。
『まぁ、秘密工作員は良かったな。もっとも、それ以上に言えない秘密が多いんだがな』
と、アリスにしか分からない言葉で語るタロであった。
結局にこの騒動が決着したのは夜半を過ぎた頃で、隣の部屋からの抗議の為であった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる