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導入
06~強まる力~
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数日後、オレたちの宣材写真がついに公式サイトやカタログに掲載された。スターライティングプロダクションのウェブサイトは華やかで、スクロールするたびに次々と現れる写真たちが眩しい。オレたちの写真もその中に堂々と並んでいた。
オレは自分の写真を見て頬が熱くなるのを感じている。興奮ではなく羞恥でだ。
「いや……これ……」
撮影の時も感じたがやはりおかしい。他の三人はいかにもアイドルらしいかわいらしい写真だというのにオレのはどう見てもAVのワンシーンにしか見えない。
マイクロビキニ越しとはいえ、胸や性器部分のアップ写真や片方のビキニがずれ、乳首が丸出しの状態ではにかんだ笑顔でピースをしている写真、両方乳首を自らこねくり回して絶頂している写真などが並んでいる。
そして紹介文だ。
「ビッチ担当ってなんだよ……」
他の娘は元気担当、ミステリアス担当、ゴージャス担当と書かれている。いささか特殊な部類かもしれないがオレのものよりは納得できるだろう。
みんなの欲望を受け止めるドスケベボディ……犯されるために生まれてきた……気絶するまで犯されたいドM……クソデカ雑魚乳首は乱暴に扱って欲しい……
などなどAVと見まがう言葉が並べられている……
「これ……たくさんの人に見られてるんだよな…………♥」
スターライティングプロダクションは大手事務所である。そのため閲覧者は多い。
軽く千を超える人に見られていることだろう……もしかしたら余裕で万を超えるかもしれない……
オレは変な高揚感を覚えると同時に身体が熱くなるのを感じる。心なしか吐き出す吐息も熱い気がする……
「これはさすがにマネージャーに言わないとだよな……」
ふいにオレの視線は時間が表示されている箇所へと向かう。
「そろそろ時間か……」
マネジャーへの連絡は放課後に行うことにしてオレは急いで着替えを行い、家を出た。
本日は夏休み前の大掃除の日。
教室で待機しているといつもの通りにスーツを着た担任が顔を出し、連絡もそこそこに掃除場所の割り振りを行う。
どうやらオレは旧校舎の担当のようだ。
旧校舎は、今ではほとんど使われることのない古びた建物だ。廊下を歩くたびに床がぎしぎしと音を立る。
一体いつから積もっているのか、床にはほこりが積り、壁際などは言い表せないほど大変なことになっている。
だが、どういうわけか床に埃がの除けられ足跡がくっきりと残っている。最近、この不気味な場所に来た生徒がいるらしい……
まあ、旧校舎の掃除は床とかの掃除ではなくごみ拾いだ。目立つものをある程度拾って終了である。
簡単な作業のため作業を行うのはオレ一人だけ。
「いい加減取り壊すなりすりゃ良いのに……」
そんなことをつぶやきながらオレは教室をめぐる。
目立つごみはそうは無い。
遊び半分でねげ入れられた紙屑やペットボトルなど……校庭に面する廊下側がほとんどだ。
オレがそれに気が付いたのは偶然だった。
足跡をたどってたどり着いた教室の一つ。
その教室の隅にポツンと小さな箱が一つ置いてあった。
やや細長い四角い箱。
倒れているそれの中には何も入っていない……
「なんかキレイだな?」
この旧校舎においてその箱は不思議と古さを感じさせない。ついでに言えば埃もかぶっていない。
誰かが持ち込んだのだろうか?
「んー捨てちゃっていい……よな?」
こんなところに放置しているということはゴミだということだろう。手のひらでもてるサイズの木製の箱。も癖は木製でもちゃちな作りですぐに壊せるだろう。
オレはどことなく違和感を覚えながらもその箱を持っていたごみ袋へと投げ入れた。
足跡は全教室を巡っていたが、その後特にごみを発見することは無く掃除を終えた。
放課後、オレはマネージャーにプロフィールについて話し合いたい旨を伝えた―――
◆
ゴミが集められているその場所では、本日とある学校で集められたごみが燃やされていた。
アイカが集めたごみの一つ、小さな箱。それはアイカの友達のさゆりがアイカについて考えながら文字を書き連ねた紙を放り捨てた箱。
箱が燃える。
”願い箱”が燃え、噂と共に願い箱はこの世から姿を消した。
最後の願いを叶えたまま……決して願いが潰えないようにその力を強めて―――
オレは自分の写真を見て頬が熱くなるのを感じている。興奮ではなく羞恥でだ。
「いや……これ……」
撮影の時も感じたがやはりおかしい。他の三人はいかにもアイドルらしいかわいらしい写真だというのにオレのはどう見てもAVのワンシーンにしか見えない。
マイクロビキニ越しとはいえ、胸や性器部分のアップ写真や片方のビキニがずれ、乳首が丸出しの状態ではにかんだ笑顔でピースをしている写真、両方乳首を自らこねくり回して絶頂している写真などが並んでいる。
そして紹介文だ。
「ビッチ担当ってなんだよ……」
他の娘は元気担当、ミステリアス担当、ゴージャス担当と書かれている。いささか特殊な部類かもしれないがオレのものよりは納得できるだろう。
みんなの欲望を受け止めるドスケベボディ……犯されるために生まれてきた……気絶するまで犯されたいドM……クソデカ雑魚乳首は乱暴に扱って欲しい……
などなどAVと見まがう言葉が並べられている……
「これ……たくさんの人に見られてるんだよな…………♥」
スターライティングプロダクションは大手事務所である。そのため閲覧者は多い。
軽く千を超える人に見られていることだろう……もしかしたら余裕で万を超えるかもしれない……
オレは変な高揚感を覚えると同時に身体が熱くなるのを感じる。心なしか吐き出す吐息も熱い気がする……
「これはさすがにマネージャーに言わないとだよな……」
ふいにオレの視線は時間が表示されている箇所へと向かう。
「そろそろ時間か……」
マネジャーへの連絡は放課後に行うことにしてオレは急いで着替えを行い、家を出た。
本日は夏休み前の大掃除の日。
教室で待機しているといつもの通りにスーツを着た担任が顔を出し、連絡もそこそこに掃除場所の割り振りを行う。
どうやらオレは旧校舎の担当のようだ。
旧校舎は、今ではほとんど使われることのない古びた建物だ。廊下を歩くたびに床がぎしぎしと音を立る。
一体いつから積もっているのか、床にはほこりが積り、壁際などは言い表せないほど大変なことになっている。
だが、どういうわけか床に埃がの除けられ足跡がくっきりと残っている。最近、この不気味な場所に来た生徒がいるらしい……
まあ、旧校舎の掃除は床とかの掃除ではなくごみ拾いだ。目立つものをある程度拾って終了である。
簡単な作業のため作業を行うのはオレ一人だけ。
「いい加減取り壊すなりすりゃ良いのに……」
そんなことをつぶやきながらオレは教室をめぐる。
目立つごみはそうは無い。
遊び半分でねげ入れられた紙屑やペットボトルなど……校庭に面する廊下側がほとんどだ。
オレがそれに気が付いたのは偶然だった。
足跡をたどってたどり着いた教室の一つ。
その教室の隅にポツンと小さな箱が一つ置いてあった。
やや細長い四角い箱。
倒れているそれの中には何も入っていない……
「なんかキレイだな?」
この旧校舎においてその箱は不思議と古さを感じさせない。ついでに言えば埃もかぶっていない。
誰かが持ち込んだのだろうか?
「んー捨てちゃっていい……よな?」
こんなところに放置しているということはゴミだということだろう。手のひらでもてるサイズの木製の箱。も癖は木製でもちゃちな作りですぐに壊せるだろう。
オレはどことなく違和感を覚えながらもその箱を持っていたごみ袋へと投げ入れた。
足跡は全教室を巡っていたが、その後特にごみを発見することは無く掃除を終えた。
放課後、オレはマネージャーにプロフィールについて話し合いたい旨を伝えた―――
◆
ゴミが集められているその場所では、本日とある学校で集められたごみが燃やされていた。
アイカが集めたごみの一つ、小さな箱。それはアイカの友達のさゆりがアイカについて考えながら文字を書き連ねた紙を放り捨てた箱。
箱が燃える。
”願い箱”が燃え、噂と共に願い箱はこの世から姿を消した。
最後の願いを叶えたまま……決して願いが潰えないようにその力を強めて―――
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