TSアイドルの卑猥なる日常

プルルペルル

文字の大きさ
上 下
2 / 7
導入

02~きっかけ~

しおりを挟む
 学校の門をくぐり、教室に向かう途中で、さゆりの大きな声が響く。

「おーい、こっちこっち!」

 元気いっぱいに手を振る彼女に、オレは苦笑しながら歩み寄る。

 さゆりは一年のときからの友達だ。

「おはよ、朝から元気だな」

 オレは彼女の隣に並び、教室へ向かって歩き始める。

「もちろん! だってまたあの『願い箱』の噂が広がってるんだもん!」

 さゆりは嬉しそうに話し始める。

 願い箱とは紙に願い事を書いてとある箱に入れると書いたことが現実になるというものだ。
 しかも当人は書いたことを忘れてしまい願いがかなったことに疑問を持たない。当然周囲の人間も起こる出来事に違和感を覚えることがない。どんな突飛な出来事もそれが当然であると認識するのだという。
 一応かなえられる願いは一つだけで次の願いを入れると前に入れた願いは無効になるという。

「そもそも叶ったことを認識できないなら、その願い箱が原因かなんてわからないだろ?」

「それもそうだけど~。本当だったら面白いじゃん! 私がもっと頭良くなるように書けたら最高なのに!」

 さゆりは無邪気に笑いながら言う。

 さゆりはあまり頭が良くない。おバカ、あほの子というやつだ。

「そんな箱、本当にあったら怖いけどな……」

 実際、ある日突然人が消えるかもしれないのだ、そして誰も気が付かない……それにエロ漫画みたいな展開になってみろ……オレの受ける被害がでかいことは容易に想像できる。

「ねぇ、どうせだったら私たちも何か面白いこと書いてみようよ!」

 さゆりは目を輝かせながら提案する。

「箱のほうを見つけないといみないだろ……」

「うーん、そっか。じゃあ、片っ端から入れてみよう!」

 この娘は学校中の箱に願いを書いた紙を入れるつもりだろうか?

「無理だろ……」

「え~! でも隣のクラスのノンちゃんはやったらしいよ~」

「じゃあ、それで本当かどうかわかるだろ?」

「それもそうだけど~」

 教室に到着しオレは自分の席に座る。
 鞄を開ければ今朝の封筒が目に入った。

「あ、そうだ」

 オレは鞄の中から封筒を取り出した。
 さゆりが横から興味津々に覗き込んでくる。

「何それ? お手紙?」

「いや、よくわかんねぇ……」

 オレは封を切り、中の書類を取り出す。目を通すと、そこには驚くべき内容が書かれていた。

『ネオアライズ合格通知』

「えっ…何んだ、これ?」

 オレは思わず声に出してしまう。
 文章を読めばネオアライズはアイドルのユニット名であり、どうやらオレはその一員として採用されたらしい。全く身に覚えがない。どうしてこんなものが届くのか。

「すごーい!おめでとう!」

 さゆりが突然拍手しながら言う。

「やったじゃん、アイドルだって!」

「ちょ、ちょっと待って! なんだこれ!? オレこんなの知らないんだけど……!?」

 オレは混乱しながらさゆりを見る。

「あー、それね、実は…私が応募しちゃった!」

 さゆりは悪びれもせずに笑いながら言った。

「は!?!? なんで勝手にそんなことを…!?」

 オレは呆然とする。

「だってアイカ、とってもかわいいし! こんなにエッチな体なんだもん!」

 さゆりはそう言ってオレ胸を正面から持ち上げた。オレの方がだいぶ背が高いため頭上に掲げる形である。

「いや、それは関係ないだろ!」

 オレはため息をつきながら頭を抱える。さゆりの行動にはいつも驚かされるけれど、今回は少しばかり度が過ぎている気がする。

「ま、合格しちゃったんだし、やるしかないっしょ!」

 さゆりは楽しそうに笑っているが、オレはどうすればいいのか全く分からない。

 というかオーディション的なもの受けていないのになぜ受かるのか……所属する事務所は大手みたいだけど……

 オレは一抹の不安を拭えないでいるとの格好をした担任が教室に入ってきて朝のホームルームが始まる。

 ん?

 オレはいつもと同じはずの光景にどこか違和感を感じながらも、アイドルについて考える―――




 ◆



 その日の午後、放課後。
 さゆりは一人で旧校舎の教室に足を運んでいた。

 今朝言ったことを実践していたのだ。

 誰もいない静かな部屋の片隅で、大きくため息をついた。

 その手にはアイカに届いたものと同じ紙……しかしそこには不合格と書かれている。

「はぁ~、私は受からなかったのにな~」

 さゆりはそうつぶやいて机に突っ伏した。

 そして何を思ったのか目の前に出してある紙に自分と友達との違いを書く。

「”アイカ”は私と違って”美人”だし……”背も高い”し……”おっぱいも大きい”し……絶対”男受け”良いよね……クラスの”男子たちからもエッチな目”で見られてるし……前に揉んだ時なんか”すぐにエロい声を漏らし”ちゃって男子の視線独り占めにしてたなー……本人は経験無いって言ってたけど絶対”ヤってる”よね……うん絶対”ヤりまくってる”よ! じゃなきゃあんな”エッチな体”にならないって! 変に男子の下半身事情に詳しいし結構”変態”かも……? ”性欲も強そう”……まあ、でも私と違って”頭も悪くない”し……”気が強い頼れる姉御”って感じだけど”断れない性格”だし……そういうところも”モテる”ポイントなのかなー? あんなスケベな体なのに”男勝り”というか男の子っぽいところも人気の秘訣なのかな……? 男子だけじゃなくて”女子にもモテる”し……っていうかアイカが付き合うとしたらどんな相手だろう? んー、やっぱり”身体の相性”が大事って言うし……”アソコがデカい”男子が好きだったりするのかな……? ”性欲が強かったり””上手かったり”? そもそもアイカは”胸が弱い”からな~……私が遊びでいじった時も”感じまくって”怒られたし…………ってあれ?」

 さゆりが気が付くと紙には単語がずらりと並んでいた。

 アイドル アイカ 美人 背が高い 巨乳 男受け 男子たちのエッチな目 すぐにエロい声を漏らす ヤりまくり エッチな体 変態 性欲が強い 頭が良い 気が強い 頼れる 断れない モテる 男勝り 女子にもモテる アソコがデカい 性欲が強い 上手い 胸が弱点(特に乳首) 感じまくり

 途中からは何やら変なことを書いてしまった気がする……

「……ま、いっか」

 さゆりは少しの間きょとんとしていたが、すぐにその紙をくしゃくしゃに丸めて室内にあった小さな木製のへと放り入れた。

「ナイスシュート! よしっアイカは親友だもん! 応援しなきゃ!」

 さゆりはそう言って親友を応援することに決めると教室から出て行く。










 開けられた窓から風が吹き箱が倒れる……そこには何も入っていなかった―――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...