女子校教師俺、S級美少女の教え子に弱みを握られダメ教師にされる

紅ワイン

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第2章 教え子は小悪魔ちゃん?

第13話 女子校生「私のブラジャー、可愛いですか?」

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 二限、A組の授業中。

 生徒達に問題を解かせている間、俺は『五十嵐の写真どうするか問題』に頭を悩ませていた。

 五十嵐が間違えて送ってきた、コスプレみたいな制服姿と下着を露出した写真。

 ただのミスなとこまでは良かったが、「ミスで送ったけどせっかくなので上げます」と言われたのはマズい。
 受け取ったつもりはないが、状況的には黒だ。
 五十嵐のパンツより黒い。
 ただし五十嵐のパンツは艶やかな黒で、俺の方は汚い黒だ。

 ……いや、何考えてんだ、俺。

「せんせー、質問ありまーす」

 ひょい、と天に伸びる白い腕。筋雲を彷彿とさせるのは五十嵐だ。

 なんとなく、気まずい。

 真面目に授業を受ける五十嵐をついで見そうになる罪悪感。

 正直、今五十嵐とは関わりたくない。
 だが自分の感情に任せて教え子を避けるのは教師にあるまじき態度である。

 平然と、泰然と、威厳とぬくもりのある能登先生として接しないと。

 だが俺の平静は情けなく掻き乱される。
 彼女の指が差すものに注意を惹きつけられる。

『せんせい、今朝は変な写真送ってごめんなさい!』

 例によって(?)五十嵐はノートの余白にメッセージを書いている。
 謝るのは殊勝なことだが、問題はここからだ。

『結局あの下着つけてます。でも恥ずかしいので想像しないでくださいね?』

 そんな報告しなくてよろしい!

 俺はすぐに叱ってやりたい衝動に駆られるも、その裏であらぬ想像をしてしまっていた。

 五十嵐、あの下着を履いているのか?
 黒に近い真紅は大人っぽくて刺激的。しかしアクセントのボタニカルな模様の刺繍がそれを和らげる。
 どこで買ったのか、どんな気持ちで履いてるのか、邪な好奇心がシミのように広がっじまう。

「ふふ――」

 蝋燭を吹き消すような細い笑い。
 五十嵐が三日月のように細めた目で俺の反応を窺っていた。

 マズい……心を読まれた。

 想像するなと言われたのに、想像してしまった。

 羞恥心と罪悪感に襲われ、教室から逃げ出したくなる。

「こ、この問題はだな……」

 その衝動をなんとか堪えて俺は五十嵐の質問に答えた。
 五十嵐は殊勝に頷きながらスラスラとペンを走らせ、正解を導き出してしまった。

 それこそ、

 *

 やっと授業が終わった!
 五十嵐を視界に収めないようにすることで俺は理性を強め、その後は変にボロを出すことなく過ごせた。

「まったく、五十嵐め。授業中にイタズラするなんて……いつからそんな悪い子に……。先生はそんな子に育てた覚えはありません!」

 つい恨み節を唱えてしまうが、もちろんらあの子が憎らしいわけはない。

 素直で良い子な五十嵐のことだ。下着姿の写真を誤送信して、強がったものの、やっぱり恥ずかしくて忘れてほしくなったのだ。そうに決まってる。

 女の子はそういう貞操観念が大事だと先生は思います!

 次の授業の教室に入り、教壇に立ってはたと気づいた。

「やべ。出席簿忘れた」

 さっきまでいたA組に置いてきたのだ。
 あれがないと授業が始められない。

 次のチャイムまで時間がないので慌てて取りに行くことに。そしてA組のドアを開く。

「へ――」

 するとそこには、たくさんの下着姿の女の子達が……。

 パンツ、ブラジャー、キャミソール、肩にかかった脱ぎかけのブラウス。そして艶やかな少女達の肌。
 カラフルだが肌色成分多めな空間には着替え中の女子生徒達がわんさかと……。

 先ほどまでざわざわしていた教室に沈黙が生まれ、皆の視線が俺に集まる。そして――

「きゃあああ!?」

 耳をつんざく少女達の悲鳴。高音域の弦だけを無茶苦茶に鳴らしたような不協和音が俺を圧倒した。

「やだー! 能登っちのエッチ!!」
「サイアクー!」
「奥さんに言いつけるぞー!」

「ごごごごめんー!!」

 慌ててドアを閉め、へなへなと崩れ落ちた。

 やっちまった。次の授業が体育なの忘れてた。そのせいで更衣室と化した教室に突撃してしまった。栗林に話したら嫉妬して通報されそうな事案だ。

 しかしドアの向こうではケラケラと愉快そうな笑い声が上がっている。
 愛宕生はたくましい。男性教諭に着替えを見られたくらいでは動じない。部活生の中には廊下で着替えて男性教諭に目撃されても顔色ひとつ変えない猛者もいるほどだ。
 取り分けうちのクラスは陽キャみたいな子が多いのでちょっとしたハプニングで収めてくれるだろう。
 ……もっとも、このネタで一週間イジられコース確定だろうが。

「先生、忘れ物取りに来たんですよね?」

 ガラガラと、扉が開かれ黒い出席簿が現れた。声の主からそれが五十嵐によるものと分かる。

「おぉ、ありがとう、いがら……し!?」

 出席簿を受け取って礼を言おうとする。そしてまた固まる。

 半分ほど開いたドアの隙間に立っていたのは、ブラジャーとパンツ姿の五十嵐だった。

 例の黒に近い真紅の下着の上下セット。ブラにも植物模様の刺繍がほどこされていて、揃ったのを見るとよりエレガント。
 しかしそれ以上に目立つのは五十嵐のふくよかな胸の膨らみ。五十嵐は全体的に細身なシルエットだが出るとこは出てる。

 D……いや、Eか?
 って、何カップサイズ当てようとしてるんだ、俺!
 常々、生徒達の胸などを見ないよう視線に気を配り、『紳士的な能登先生』のイメージを作ってきたのに!

「五十嵐、ちょ、格好!」

「格好? あぁ、これですか? 次、体育なのでお着替え中なんです」

 知っとるわ!!

「そうじゃなくて、服着なさい! そんな格好で男の前に出るんじゃありません!」

「えー。私、先生のお力になりたかっただけなのになー。それに、能登先生になら見られても嫌じゃありませんよ?」

 だからって服は着ないとダメだよ!?

 もう、ダメだ……!
 首が固まったみたいに視線を動かせない。五十嵐の胸の谷間に向かって眼球が落っこちそうになる。

 これ以上は教師の威厳に関わる。

 俺は堪らず廊下を走って逃げ出した。
 背後で、

「ひゅー、凪音だいたーん!」
「能登っちが逃げた!」
「能登っちは幸せ者だな!」

 と揶揄する笑い声が。

 愛宕女学院あるある。男性教員は基本おもちゃ。
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