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これからも
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「僕,もう行きますね」
アウスは隣で寝ている旦那様を見下ろして,すぐに服を着込んで,その場を離れようとする。
先ほどまで,2人は密度の濃い甘い時間を過ごしていた。
「大好きです」
耳元で囁き,もう一度旦那様を見つめる。
もう会えなくなるそんなことはわかっていた。けれど,どう足掻いてもアウスはここにはもう居てはいけないとわかっていた。
アウスはもう17歳になろうとしている。旦那様に愛されていたのは,小さい頃のアウスであり,大人に,男になったアウスはもう必要ではないはず。
すっかり固い胸板もつき,女性のように柔らかくも何にもないただの旦那様と同じ男になっていた。唯一違うことがあるとすれば,旦那様のように男らしい筋肉が全くつかなかったこと。
今までの思い出を思い返しながら,ほんの少し温かい雫が頬を伝っていた。
そんなことを感じながら,振り返り,歩み出そうとする。
「どこいく気だ?」
急に腕を引っ張られ,その場から一歩も動けなくなる。
やはり,旦那様の力は強いとアウスは思った。
「えっ……」
驚いて声が出なかった。
起きているなんて思わなかったから。
「だから,どこにいく気なんだ?」
旦那様は,いつも通りの口調でアウスに尋ねてくる。
アウスの格好は,もうすでにいつでも出かけられるように着込んでいるので,当たり前だけど,用を足しにいくようなそんな軽い格好ではない。
だから,その言い訳は通じない。正直に話すしかなかった。
「どこって,どこか遠い場所です。旦那様が,追いつけないような」
アウスは,なるべくいつも通りのような顔をする。
「なら,俺と一緒ではダメなのか?」
引き止めていた手をアクラムは引っ張り,アウスをベッドへと引き戻した。アウスは,アクラムに覆い被される形でベッドに横になる。
「だ,ダメでは,ないです。けど……っん」
アウスが目を逸らすと同時に,アクラムにくちびるを奪われる。
「……ならずっと俺の腕の中にいろ」
アクラムは,離さないと言わんばかりに,アウスをその筋肉のついた身体で抱き囲んだ。
「あ,あの,身動きが……」
筋肉のないアウスの身体は,もうどこにも逃げられないことを悟った。
「離したら,どこか遠いところへ行ってしまうのだろう?なら,離すわけが無いだろ?」
当たり前のことを羅列されて,アウスはもう何一つ言えなくなってしまった。
「なら,僕が,どこにも行かないと言えばいいのですか?」
アウスはてっきり,自分はもう用済みだとばかり思っていた。
男であり,しかも少年とは言えない年齢である。自分なんかをもうアクラムは愛してくれない。もう,好きではいてくれないそんなことばかり最近は考えていた。
それなのに……。
「そうだな。まあ,今日のところはな」
「な,なら,どこにも行きません」
そうはっきり申し上げた。本当はそうしたかったから。
「本当か?本当にいなくならないのだな?」
何回もアクラムは確認をする。
なぜなら,アクラムはもうすでにの身体だけでなく,中身にも心底酔いしれていたから。
「本当です。本当に居なくなりません。旦那様が,居てもいいってそうおっしゃってくれるなら」
アウスは旦那様のこんな気持ちを今回初めて聞いた。
どこか嬉しくて,やっぱり幸せな気持ちになる。
「なら,もう一度,身体で確かめなくてはいけないな」
さっきまで,険しそうにしていた顔はどこかへ消えたかのように,優しい表情へと変わっていた。
「……っ」
アクスは抱き抱えられたまま,アクラムによって胸を摘んだり,触れられたりする。
そうして,着込んでいた服はすぐに脱がされてしまった。
「あっ,いや……」
先ほどまでも触られていた,胸はすぐに快感へと誘われてしまい,声が漏れてしまう。
「やめないからな。お前が逃げないようにしないといけないからな」
アクラムはそんなことを言いながら,優しくまるでガラスを扱うかのように触ってくる。
「うっ……」
一方でアウスは少しの刺激でも簡単に感じ,脳も痺れて始めていた。
それでも,その感覚が嫌ではないのは,いつも偉そうにしている旦那様がアウスの前では優しい顔になってくれているように思っているから。
「んっ……」
くちびるにそれから全身にキスを落とされる。
恥ずかしくなって,手でアウスは自分の顔を隠すが,簡単にどかされてしまい,感じている自分の顔がの前に晒されてしまう。
「やめっ」
「やめない。お前の顔が身体がどこまでも愛おしいな」
安心しきっている顔をしてアウスの頭を優しく撫でる。
(この顔……)
アウスもそんなことを言われては逆らえなくなる。アクラムはアウスの初恋であり,初めての人であり,ずっと好きな人。
「好きっ……です」
アクラムの首に手を回して,耳元でアウスは言った。
「急に,煽ったのか?」
そう言った,アクラムはアウスの後ろを弄り始めた。
「そういうわけではっ……」
突然,敏感なところを触られてしまう。
「やはり,先ほどまでも触っていたから,柔らかいな」
すでに,抵抗もなく指が3本も入ってしまった。
「あっ,いやっ……」
何回も敏感なところに触れられてしまう。
「ならやめるか?」
「やめ,なくていい」
もっと,旦那様を感じたい,もっと,愛されているって感じたいとは思った。
「ふっ,かわいいな……」
(まだ,そんなことを言ってくれるんだ)
頭を撫でられて,落ち着かせられる。
そうして,嬉しくなる。と同時に早く,奥にが欲しくなる。
「挿れるぞ」
そう言われて,はこクリと頷く。するとはゆっくりとの中へと入ってくる。は急に後ろで体積を感じて,びっくりしながらも身体は簡単にを受け入れた。
「あ,好きっ……」
何度も何度も,してきた行為なのにいまだに恥ずかしくて,でも心地の良い気分になっていく。
身体も心もやはり離れたくないと言っていた。
「おはようございます」
アウスは,アクラムの隣で今日も目覚めた。
今日も一緒にいられたと思い,アウスの口角は上がってしまう。
「おはよう。やはり,お前は愛おしい」
目覚めて,アクラムはにこやかにアウスにいう。
いつもはそんなこと朝から言わないのに,今日に限って,嬉しいことを言ってくれる。
昨日のことがあるからという理由なんて当たり前のようにあるけれど,それでもやっぱり嬉しいものだった。
「旦那様。僕,やっぱりこれからも旦那様と一緒に居たいです。いつまでも隣にいてもいいですか?」
アウスは,改めて正直に自分の想いをしっかり伝えた。
今まで,こんなこと自分から言ったことも願ったこともない。自分は,いつでも捨てられてもいいようにと考えないように,期待しないようにしていたから。
「ふっ,俺がお前を離すわけないだろ。やはりお前の体温は温かく,いいものだな」
いつまでも時間が流れなければいいのに,なんて思うくらいにアウスは幸せを感じた。
続きます
アウスは隣で寝ている旦那様を見下ろして,すぐに服を着込んで,その場を離れようとする。
先ほどまで,2人は密度の濃い甘い時間を過ごしていた。
「大好きです」
耳元で囁き,もう一度旦那様を見つめる。
もう会えなくなるそんなことはわかっていた。けれど,どう足掻いてもアウスはここにはもう居てはいけないとわかっていた。
アウスはもう17歳になろうとしている。旦那様に愛されていたのは,小さい頃のアウスであり,大人に,男になったアウスはもう必要ではないはず。
すっかり固い胸板もつき,女性のように柔らかくも何にもないただの旦那様と同じ男になっていた。唯一違うことがあるとすれば,旦那様のように男らしい筋肉が全くつかなかったこと。
今までの思い出を思い返しながら,ほんの少し温かい雫が頬を伝っていた。
そんなことを感じながら,振り返り,歩み出そうとする。
「どこいく気だ?」
急に腕を引っ張られ,その場から一歩も動けなくなる。
やはり,旦那様の力は強いとアウスは思った。
「えっ……」
驚いて声が出なかった。
起きているなんて思わなかったから。
「だから,どこにいく気なんだ?」
旦那様は,いつも通りの口調でアウスに尋ねてくる。
アウスの格好は,もうすでにいつでも出かけられるように着込んでいるので,当たり前だけど,用を足しにいくようなそんな軽い格好ではない。
だから,その言い訳は通じない。正直に話すしかなかった。
「どこって,どこか遠い場所です。旦那様が,追いつけないような」
アウスは,なるべくいつも通りのような顔をする。
「なら,俺と一緒ではダメなのか?」
引き止めていた手をアクラムは引っ張り,アウスをベッドへと引き戻した。アウスは,アクラムに覆い被される形でベッドに横になる。
「だ,ダメでは,ないです。けど……っん」
アウスが目を逸らすと同時に,アクラムにくちびるを奪われる。
「……ならずっと俺の腕の中にいろ」
アクラムは,離さないと言わんばかりに,アウスをその筋肉のついた身体で抱き囲んだ。
「あ,あの,身動きが……」
筋肉のないアウスの身体は,もうどこにも逃げられないことを悟った。
「離したら,どこか遠いところへ行ってしまうのだろう?なら,離すわけが無いだろ?」
当たり前のことを羅列されて,アウスはもう何一つ言えなくなってしまった。
「なら,僕が,どこにも行かないと言えばいいのですか?」
アウスはてっきり,自分はもう用済みだとばかり思っていた。
男であり,しかも少年とは言えない年齢である。自分なんかをもうアクラムは愛してくれない。もう,好きではいてくれないそんなことばかり最近は考えていた。
それなのに……。
「そうだな。まあ,今日のところはな」
「な,なら,どこにも行きません」
そうはっきり申し上げた。本当はそうしたかったから。
「本当か?本当にいなくならないのだな?」
何回もアクラムは確認をする。
なぜなら,アクラムはもうすでにの身体だけでなく,中身にも心底酔いしれていたから。
「本当です。本当に居なくなりません。旦那様が,居てもいいってそうおっしゃってくれるなら」
アウスは旦那様のこんな気持ちを今回初めて聞いた。
どこか嬉しくて,やっぱり幸せな気持ちになる。
「なら,もう一度,身体で確かめなくてはいけないな」
さっきまで,険しそうにしていた顔はどこかへ消えたかのように,優しい表情へと変わっていた。
「……っ」
アクスは抱き抱えられたまま,アクラムによって胸を摘んだり,触れられたりする。
そうして,着込んでいた服はすぐに脱がされてしまった。
「あっ,いや……」
先ほどまでも触られていた,胸はすぐに快感へと誘われてしまい,声が漏れてしまう。
「やめないからな。お前が逃げないようにしないといけないからな」
アクラムはそんなことを言いながら,優しくまるでガラスを扱うかのように触ってくる。
「うっ……」
一方でアウスは少しの刺激でも簡単に感じ,脳も痺れて始めていた。
それでも,その感覚が嫌ではないのは,いつも偉そうにしている旦那様がアウスの前では優しい顔になってくれているように思っているから。
「んっ……」
くちびるにそれから全身にキスを落とされる。
恥ずかしくなって,手でアウスは自分の顔を隠すが,簡単にどかされてしまい,感じている自分の顔がの前に晒されてしまう。
「やめっ」
「やめない。お前の顔が身体がどこまでも愛おしいな」
安心しきっている顔をしてアウスの頭を優しく撫でる。
(この顔……)
アウスもそんなことを言われては逆らえなくなる。アクラムはアウスの初恋であり,初めての人であり,ずっと好きな人。
「好きっ……です」
アクラムの首に手を回して,耳元でアウスは言った。
「急に,煽ったのか?」
そう言った,アクラムはアウスの後ろを弄り始めた。
「そういうわけではっ……」
突然,敏感なところを触られてしまう。
「やはり,先ほどまでも触っていたから,柔らかいな」
すでに,抵抗もなく指が3本も入ってしまった。
「あっ,いやっ……」
何回も敏感なところに触れられてしまう。
「ならやめるか?」
「やめ,なくていい」
もっと,旦那様を感じたい,もっと,愛されているって感じたいとは思った。
「ふっ,かわいいな……」
(まだ,そんなことを言ってくれるんだ)
頭を撫でられて,落ち着かせられる。
そうして,嬉しくなる。と同時に早く,奥にが欲しくなる。
「挿れるぞ」
そう言われて,はこクリと頷く。するとはゆっくりとの中へと入ってくる。は急に後ろで体積を感じて,びっくりしながらも身体は簡単にを受け入れた。
「あ,好きっ……」
何度も何度も,してきた行為なのにいまだに恥ずかしくて,でも心地の良い気分になっていく。
身体も心もやはり離れたくないと言っていた。
「おはようございます」
アウスは,アクラムの隣で今日も目覚めた。
今日も一緒にいられたと思い,アウスの口角は上がってしまう。
「おはよう。やはり,お前は愛おしい」
目覚めて,アクラムはにこやかにアウスにいう。
いつもはそんなこと朝から言わないのに,今日に限って,嬉しいことを言ってくれる。
昨日のことがあるからという理由なんて当たり前のようにあるけれど,それでもやっぱり嬉しいものだった。
「旦那様。僕,やっぱりこれからも旦那様と一緒に居たいです。いつまでも隣にいてもいいですか?」
アウスは,改めて正直に自分の想いをしっかり伝えた。
今まで,こんなこと自分から言ったことも願ったこともない。自分は,いつでも捨てられてもいいようにと考えないように,期待しないようにしていたから。
「ふっ,俺がお前を離すわけないだろ。やはりお前の体温は温かく,いいものだな」
いつまでも時間が流れなければいいのに,なんて思うくらいにアウスは幸せを感じた。
続きます
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