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5章
12話 メアリさんの言葉
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「どうかしましたか?」
「その…坊ちゃんから,レオさんのこと聞いていて,だから,レオさんが,もし,悩んでいるようであれば,その…ちゃんと答えてあげてくださいね」
直接的な言葉を言われなかったけれど,メアリさんが言いたいことはすぐに察しがついた。
「えっ…」
驚いて当たり前のように声が出なくなった。
「ほんと,申し訳ないです。レオさんが遅れたあの日何かあったなと思って,坊ちゃんに尋ねてみたんです。それに,坊ちゃんがレオさんのこと好きだとは前から思っていましたから…」
メアリさんから出てくる言葉一つ一つに驚きながら,どう反応すればいいのか僕は答えを探した。
「えっ…と…坊ちゃんが,僕を好きだと…知っていたってことですか?」
「え,はい。レオさん以外の使用人はほぼ全て知っていたんじゃないでしょうか」
「それって…」
改めて聞き直して,メアリさんから出てきた言葉に,動揺してまた言葉に詰まってしまう。
「だからこそ,ちゃんとレオさんが想っていることおっしゃってあげてくだい。それから,これは私からのアドバイスですが,後悔しないようにしてくださいね」
「…あ,ありがとうございます。ですが,僕は…」
(僕は,坊ちゃんに相応しい人間にはなれない)
「レオさん,レオさんは私からみてですが,立派な方ですよ。それに,きっと坊ちゃんにとってはヒーローなんだと思います」
「そんな,ヒーローだなんて…僕は何にもできていないですよ。いつも与えられているものを受け取っているだけの人間です」
廊下で何を話しているんだろうと自分でも思う。
「違います。レオさんは,レオさんがくるまでの坊ちゃんを知らないでしょうからそう思うのです。それまでの坊ちゃんは…いつも辛そうでした。お父様と比べられ,それに加えて,何事にも不器用でした。そして,Domと分かってからは余計に人に心を閉ざすようになっていたのです」
今の坊ちゃんからは想像もつかないことをメアリさんは淡々と述べていく。
「そんな坊ちゃんをみても私は何もできませんでした。しかし,レオさんがきてからの坊ちゃんは明らかに楽しそうに笑うようになりました。私は何があったのかわかりません。ですが,レオさんに出会ってから変わったのだけは確かです」
メアリさんの話はそこで終わりを告げた。
そうして,自分でここからは答えを見つけなければならないんだと僕は想った。
「その…坊ちゃんから,レオさんのこと聞いていて,だから,レオさんが,もし,悩んでいるようであれば,その…ちゃんと答えてあげてくださいね」
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