57 / 73
5章
12話 メアリさんの言葉
しおりを挟む
「どうかしましたか?」
「その…坊ちゃんから,レオさんのこと聞いていて,だから,レオさんが,もし,悩んでいるようであれば,その…ちゃんと答えてあげてくださいね」
直接的な言葉を言われなかったけれど,メアリさんが言いたいことはすぐに察しがついた。
「えっ…」
驚いて当たり前のように声が出なくなった。
「ほんと,申し訳ないです。レオさんが遅れたあの日何かあったなと思って,坊ちゃんに尋ねてみたんです。それに,坊ちゃんがレオさんのこと好きだとは前から思っていましたから…」
メアリさんから出てくる言葉一つ一つに驚きながら,どう反応すればいいのか僕は答えを探した。
「えっ…と…坊ちゃんが,僕を好きだと…知っていたってことですか?」
「え,はい。レオさん以外の使用人はほぼ全て知っていたんじゃないでしょうか」
「それって…」
改めて聞き直して,メアリさんから出てきた言葉に,動揺してまた言葉に詰まってしまう。
「だからこそ,ちゃんとレオさんが想っていることおっしゃってあげてくだい。それから,これは私からのアドバイスですが,後悔しないようにしてくださいね」
「…あ,ありがとうございます。ですが,僕は…」
(僕は,坊ちゃんに相応しい人間にはなれない)
「レオさん,レオさんは私からみてですが,立派な方ですよ。それに,きっと坊ちゃんにとってはヒーローなんだと思います」
「そんな,ヒーローだなんて…僕は何にもできていないですよ。いつも与えられているものを受け取っているだけの人間です」
廊下で何を話しているんだろうと自分でも思う。
「違います。レオさんは,レオさんがくるまでの坊ちゃんを知らないでしょうからそう思うのです。それまでの坊ちゃんは…いつも辛そうでした。お父様と比べられ,それに加えて,何事にも不器用でした。そして,Domと分かってからは余計に人に心を閉ざすようになっていたのです」
今の坊ちゃんからは想像もつかないことをメアリさんは淡々と述べていく。
「そんな坊ちゃんをみても私は何もできませんでした。しかし,レオさんがきてからの坊ちゃんは明らかに楽しそうに笑うようになりました。私は何があったのかわかりません。ですが,レオさんに出会ってから変わったのだけは確かです」
メアリさんの話はそこで終わりを告げた。
そうして,自分でここからは答えを見つけなければならないんだと僕は想った。
「その…坊ちゃんから,レオさんのこと聞いていて,だから,レオさんが,もし,悩んでいるようであれば,その…ちゃんと答えてあげてくださいね」
直接的な言葉を言われなかったけれど,メアリさんが言いたいことはすぐに察しがついた。
「えっ…」
驚いて当たり前のように声が出なくなった。
「ほんと,申し訳ないです。レオさんが遅れたあの日何かあったなと思って,坊ちゃんに尋ねてみたんです。それに,坊ちゃんがレオさんのこと好きだとは前から思っていましたから…」
メアリさんから出てくる言葉一つ一つに驚きながら,どう反応すればいいのか僕は答えを探した。
「えっ…と…坊ちゃんが,僕を好きだと…知っていたってことですか?」
「え,はい。レオさん以外の使用人はほぼ全て知っていたんじゃないでしょうか」
「それって…」
改めて聞き直して,メアリさんから出てきた言葉に,動揺してまた言葉に詰まってしまう。
「だからこそ,ちゃんとレオさんが想っていることおっしゃってあげてくだい。それから,これは私からのアドバイスですが,後悔しないようにしてくださいね」
「…あ,ありがとうございます。ですが,僕は…」
(僕は,坊ちゃんに相応しい人間にはなれない)
「レオさん,レオさんは私からみてですが,立派な方ですよ。それに,きっと坊ちゃんにとってはヒーローなんだと思います」
「そんな,ヒーローだなんて…僕は何にもできていないですよ。いつも与えられているものを受け取っているだけの人間です」
廊下で何を話しているんだろうと自分でも思う。
「違います。レオさんは,レオさんがくるまでの坊ちゃんを知らないでしょうからそう思うのです。それまでの坊ちゃんは…いつも辛そうでした。お父様と比べられ,それに加えて,何事にも不器用でした。そして,Domと分かってからは余計に人に心を閉ざすようになっていたのです」
今の坊ちゃんからは想像もつかないことをメアリさんは淡々と述べていく。
「そんな坊ちゃんをみても私は何もできませんでした。しかし,レオさんがきてからの坊ちゃんは明らかに楽しそうに笑うようになりました。私は何があったのかわかりません。ですが,レオさんに出会ってから変わったのだけは確かです」
メアリさんの話はそこで終わりを告げた。
そうして,自分でここからは答えを見つけなければならないんだと僕は想った。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説


男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる