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5章
5話 落ち着く時間
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「はい,もちろんです」
僕はそう言って坊ちゃんの背中を押す。
ステージの上へと立った坊ちゃんはいつになく凛々しい表情で堂々としていた。
「みなさん,僕のためにお集まりいただきありがとうございます。本日は…」
やっぱり,応援していてよかったなと思わずにはいられなかった。
それから,坊ちゃんは旦那様と一緒に挨拶に回られる。
僕はというと料理を運んだりドリンクを運んだりする。
そうして,パーティーは何事もなく執り行われた。
最後のお客様を見送って会場に戻ってきた瞬間に「よかった」と息をするように声に出してしまう。
「そうですね。何にごともなくて皆安心していますよ」
メアリさんはすかさずそう言った。
「ですよね。だから,ついつい声に出してしまいました」
「わかります。私も本日は朝から心臓バクバクでしたから。ですから,私たち以上に坊ちゃんはそう思っているかもしれませんね」
「確かに…。僕これが終わったら坊ちゃんに話しかけに行ってみますね」
「いいと思います。坊ちゃんも言いたいことあるだろうし…」
「あ,はい…」
(坊ちゃんが言いたいこと?)
一瞬不思議に思ったけれど,誕生日のお願いを聞いていないことを思い出して納得する。
(でもメアリさんはそのこと知っていたっけ?)
そんなふうに思いながら,僕は会場の片付けをする。
僕たち使用人は来場客が帰ってすぐに会場の片付けを始めていた。
ここまで大きなパーティーはなかなか開かれることもなかったので,片付けにだいぶ手こずってしまい,まだまだ終わる気配なんてなかった。
(坊ちゃんが寝る前までに,片付け終われるといいな…)
なんて考えていると,メアリさんに話しかけられる。
「レオさん,先に上がってください。それで,坊ちゃんに話しかけに行ってください。ここは私たちがどうにか最後まで終わらせますから」
「で,でも,申し訳ないです」
「いいですから」
メアリさんはそう言って,僕を会場の外まで押し出す。
「え,ちょっ…」
目の前には,坊ちゃんがまるで僕を待っていたかのように立っていた。
僕は驚きながらも坊ちゃんに話しかけた。
「カイン様,今日はお疲れ様でした」
僕はそう言って坊ちゃんの背中を押す。
ステージの上へと立った坊ちゃんはいつになく凛々しい表情で堂々としていた。
「みなさん,僕のためにお集まりいただきありがとうございます。本日は…」
やっぱり,応援していてよかったなと思わずにはいられなかった。
それから,坊ちゃんは旦那様と一緒に挨拶に回られる。
僕はというと料理を運んだりドリンクを運んだりする。
そうして,パーティーは何事もなく執り行われた。
最後のお客様を見送って会場に戻ってきた瞬間に「よかった」と息をするように声に出してしまう。
「そうですね。何にごともなくて皆安心していますよ」
メアリさんはすかさずそう言った。
「ですよね。だから,ついつい声に出してしまいました」
「わかります。私も本日は朝から心臓バクバクでしたから。ですから,私たち以上に坊ちゃんはそう思っているかもしれませんね」
「確かに…。僕これが終わったら坊ちゃんに話しかけに行ってみますね」
「いいと思います。坊ちゃんも言いたいことあるだろうし…」
「あ,はい…」
(坊ちゃんが言いたいこと?)
一瞬不思議に思ったけれど,誕生日のお願いを聞いていないことを思い出して納得する。
(でもメアリさんはそのこと知っていたっけ?)
そんなふうに思いながら,僕は会場の片付けをする。
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(坊ちゃんが寝る前までに,片付け終われるといいな…)
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「レオさん,先に上がってください。それで,坊ちゃんに話しかけに行ってください。ここは私たちがどうにか最後まで終わらせますから」
「で,でも,申し訳ないです」
「いいですから」
メアリさんはそう言って,僕を会場の外まで押し出す。
「え,ちょっ…」
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僕は驚きながらも坊ちゃんに話しかけた。
「カイン様,今日はお疲れ様でした」
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