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5章
8話 隠さないと…
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「え…っと…」
坊ちゃんに抱きしめられながら,僕はベッドへと横になった。決して、動けないわけではないけれど、どうにも動く気にはならない。
「やっぱりいや?」
「…嫌では…ただ,そのちょっと…」
反応に困ってしまう。むしろ,心地が良かったから。
「ね,久々だから…お願い…ダメ?」
「…わかりました。その代わり,何にもしないでください」
「わかっている。安心して…」
僕たちはそうして,眠りにつく。
「レオ…起きて」
そう呼ばれて僕は目を覚ました。
「ぼ,坊ちゃん?」
目を開けると坊ちゃんの顔が視界に入ってくきた。それと同時に昨日言われたことを思い出し,見るにみれなくなる。
でも、こちらをしっかりと眺めていたのか,すぐに目が合う。
「おはよう」
「…おはようございます」
なるべくいつも通りを装う。
「僕ね,レオより早く起きたの初めて…」
「そういえば…そうですね…」
一緒に寝ることがあっても必ず僕が坊ちゃんを今まで起こしていた。
「それで,レオがいつもあんなに可愛い寝顔していたなんて,勿体無いことしていたなと今思ってたところなんだ」
目の前には坊ちゃんの顔があって,耳元で優しく囁かれる。
それによって,坊ちゃんが僕のことが好きと言うことが本当なんだと思った。
「その…」
「やっと意識してくれた?」
イタズラな笑みを浮かべている。
「…っ」
恥ずかしくて,僕は何にも言えなくなる。
「返事は待つから気にしないで。急いでないから」
「そ,そんなこと言われても…」
僕は,坊ちゃんにはちゃんとパートナー作って欲しいってそう思っている。だから…。
「無理,だよね?でも,レオはちゃんと自分の気持ちを考えて悩んでくれると思うから。待ってるの」
わかっていてそんなことを言う。
「…っずるいです」
「うふっ,レオの方がずるいよ。まあ,僕はスッキリしたからいいけど…次はレオの番だよ。返事待っているから…ね。ちゃんと悩んでよ。ってそれより,時間は大丈夫?」
坊ちゃんは時間を見ながら言った。
僕は時間と聞いてすぐに時間を確認する。
「えっ…ってもうこんな時間…」
「やっぱり…急いだ方がいい感じだったね。ごめん。レオがあまりにもかわいい寝顔で寝ていたから…って」
坊ちゃんの話を最後まで聞かずに僕は部屋を出た。
ここに勤めて5年,今まで寝坊なんて一度もしたことがなかった。それなのに,今日は寝坊と言えるような時間帯に起きてしまっていた。
昨日の告白で自分が思っているよりも動揺していたんだなと思う。
僕はそう思いながらも自分の部屋に行って一応,着替えて身なりを整えて従業員の人たちがいるところへと向かった。
「すみません…遅れてしまい…」
そこには,従業員が全員集まっている。
「大丈夫ですよ。それより,レオさんの体調の方が大丈夫ですか?」
急いできた僕を見てメアリさんが口を開いた。
「大丈夫ですよ。ちょっと,色々ありまして…」
「なら,良かったです。では,今日もみなさん,頑張りましょう」
その声で一斉にみんな「はい」と言って散り散りになっていく。
「あ,あの…今日の連絡とかは…?」
すでに,連絡事項などは終わっていたのかと思いつつ,メアリさんに確認をした。
「特にないですよ。それより,珍しいですね。レオさんがこんなにギリギリといいますか、遅れるのは…。何かあったのですか?」
「いえ,特に何かあったわけでは…。あったとすれば,昨日坊ちゃんと…その…」
プレイをしたといえばいいのに告白のこともあってなかなかはっきりといえない。
「なるほど…。そうだったんですね。最近は,坊ちゃんお忙しそうでしたしね」
「そうなんですよね。って,僕も仕事に向かいますね。それでは…」
これ以上会話を続けるとメアリさんに昨日あったことを全て言ってしまいそうになるそう思って,僕は自分の仕事に向かう。
仕事内容の変化とともにここ5年で,僕も坊ちゃんも変わったなと思う。でも,あと2ヶ月でこの生活も終わりを迎えようとしている。
当たり前だけど,坊ちゃんに僕の思っていることなんて伝える気はない。むしろ,伝えてはいけない。
「失礼します」
旦那様に呼ばれていたので,僕は旦那様の部屋を訪れた。
「レオくん,君に折り入ってお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」
こちらを一直線に見る目は真剣そのもの。
「はい,大丈夫です」
「君を正式にカインの執事にしようかなと言うことなんだが…君は,どうしたい?これは命令じゃないから。君がしたいようにして欲しい」
突然のことで驚きつつ,僕を旦那様が信頼してくれているとわかって嬉しさも込み上げてくる。けれど…。
「では,少し考えさせていただいてもいいですか?」
「もちろん。すぐにとは思ってない。けど,なるべく早くだとこちらも嬉しい。よろしくね」
旦那様のいうことはごもっともで昨日のことがなければすぐに返事をしていただろう。“はい,これからもよろしくお願いします…”って…。
いや,やっぱりできないな。だって,僕にもDomのパートナーが必要だから。
坊ちゃんに抱きしめられながら,僕はベッドへと横になった。決して、動けないわけではないけれど、どうにも動く気にはならない。
「やっぱりいや?」
「…嫌では…ただ,そのちょっと…」
反応に困ってしまう。むしろ,心地が良かったから。
「ね,久々だから…お願い…ダメ?」
「…わかりました。その代わり,何にもしないでください」
「わかっている。安心して…」
僕たちはそうして,眠りにつく。
「レオ…起きて」
そう呼ばれて僕は目を覚ました。
「ぼ,坊ちゃん?」
目を開けると坊ちゃんの顔が視界に入ってくきた。それと同時に昨日言われたことを思い出し,見るにみれなくなる。
でも、こちらをしっかりと眺めていたのか,すぐに目が合う。
「おはよう」
「…おはようございます」
なるべくいつも通りを装う。
「僕ね,レオより早く起きたの初めて…」
「そういえば…そうですね…」
一緒に寝ることがあっても必ず僕が坊ちゃんを今まで起こしていた。
「それで,レオがいつもあんなに可愛い寝顔していたなんて,勿体無いことしていたなと今思ってたところなんだ」
目の前には坊ちゃんの顔があって,耳元で優しく囁かれる。
それによって,坊ちゃんが僕のことが好きと言うことが本当なんだと思った。
「その…」
「やっと意識してくれた?」
イタズラな笑みを浮かべている。
「…っ」
恥ずかしくて,僕は何にも言えなくなる。
「返事は待つから気にしないで。急いでないから」
「そ,そんなこと言われても…」
僕は,坊ちゃんにはちゃんとパートナー作って欲しいってそう思っている。だから…。
「無理,だよね?でも,レオはちゃんと自分の気持ちを考えて悩んでくれると思うから。待ってるの」
わかっていてそんなことを言う。
「…っずるいです」
「うふっ,レオの方がずるいよ。まあ,僕はスッキリしたからいいけど…次はレオの番だよ。返事待っているから…ね。ちゃんと悩んでよ。ってそれより,時間は大丈夫?」
坊ちゃんは時間を見ながら言った。
僕は時間と聞いてすぐに時間を確認する。
「えっ…ってもうこんな時間…」
「やっぱり…急いだ方がいい感じだったね。ごめん。レオがあまりにもかわいい寝顔で寝ていたから…って」
坊ちゃんの話を最後まで聞かずに僕は部屋を出た。
ここに勤めて5年,今まで寝坊なんて一度もしたことがなかった。それなのに,今日は寝坊と言えるような時間帯に起きてしまっていた。
昨日の告白で自分が思っているよりも動揺していたんだなと思う。
僕はそう思いながらも自分の部屋に行って一応,着替えて身なりを整えて従業員の人たちがいるところへと向かった。
「すみません…遅れてしまい…」
そこには,従業員が全員集まっている。
「大丈夫ですよ。それより,レオさんの体調の方が大丈夫ですか?」
急いできた僕を見てメアリさんが口を開いた。
「大丈夫ですよ。ちょっと,色々ありまして…」
「なら,良かったです。では,今日もみなさん,頑張りましょう」
その声で一斉にみんな「はい」と言って散り散りになっていく。
「あ,あの…今日の連絡とかは…?」
すでに,連絡事項などは終わっていたのかと思いつつ,メアリさんに確認をした。
「特にないですよ。それより,珍しいですね。レオさんがこんなにギリギリといいますか、遅れるのは…。何かあったのですか?」
「いえ,特に何かあったわけでは…。あったとすれば,昨日坊ちゃんと…その…」
プレイをしたといえばいいのに告白のこともあってなかなかはっきりといえない。
「なるほど…。そうだったんですね。最近は,坊ちゃんお忙しそうでしたしね」
「そうなんですよね。って,僕も仕事に向かいますね。それでは…」
これ以上会話を続けるとメアリさんに昨日あったことを全て言ってしまいそうになるそう思って,僕は自分の仕事に向かう。
仕事内容の変化とともにここ5年で,僕も坊ちゃんも変わったなと思う。でも,あと2ヶ月でこの生活も終わりを迎えようとしている。
当たり前だけど,坊ちゃんに僕の思っていることなんて伝える気はない。むしろ,伝えてはいけない。
「失礼します」
旦那様に呼ばれていたので,僕は旦那様の部屋を訪れた。
「レオくん,君に折り入ってお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」
こちらを一直線に見る目は真剣そのもの。
「はい,大丈夫です」
「君を正式にカインの執事にしようかなと言うことなんだが…君は,どうしたい?これは命令じゃないから。君がしたいようにして欲しい」
突然のことで驚きつつ,僕を旦那様が信頼してくれているとわかって嬉しさも込み上げてくる。けれど…。
「では,少し考えさせていただいてもいいですか?」
「もちろん。すぐにとは思ってない。けど,なるべく早くだとこちらも嬉しい。よろしくね」
旦那様のいうことはごもっともで昨日のことがなければすぐに返事をしていただろう。“はい,これからもよろしくお願いします…”って…。
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