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5章
6話 隠してきたこと
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「うん,レオもお疲れ様」
「お疲れ様です。ところで,本日はどうでしたか?」
「緊張したけど,どうにかなったかな。レオとの特訓とスピーチ前レオが元気づけてくれたおかげ。ありがとう」
ちなみに,特訓は,パーティーの1ヶ月ほど前から一応に備えてある程度の振る舞いを坊ちゃんと僕とで復習したこと。けれど,僕はほとんど見ているだけだった。
「違います。カイン様がいつも頑張っていたからですよ」
「レオにそういってもらえると僕嬉しい。でも,レオがいたからだと思う。そ,それで,最近忙しくて約束の日にできなかったから…今日でもいい?」
坊ちゃんは僕の裾を掴みながら,言いづらそうに言った。
初めてプレイをしてから5年。次第に,坊ちゃんもプレイがどんなものであるかは分かってきたらしく,最近ではいつもこんな感じだったりする。
「大丈夫ですよ。そんな顔しないでください」
僕は,坊ちゃんの前に立って見上げる。
「だって…」
「いいんですよ。それより…カイン様も早くちゃんとしたパートナー見つけてくださいね。もう,同年代でSubだと分かっている方もおられると思いますから…」
ここ1年くらい僕はプレイをするたびに坊ちゃんに言う。僕がsubだと分かったのも今の坊ちゃんくらいだったこともあって余計に。
それに何より,僕は男で坊ちゃんの跡継ぎなど産めるような存在ではない。だからこそ,早く…見つけて欲しいなと思う。
「うん…」
その度に,下を俯き,嫌そうな顔をしながら,渋々了承する。
「では,私は準備して来ますね。まあ,今日は急なので私が作ったものではないですが…。それでもいいですか?」
一応,確認をとった。僕の作ったものが好きと言ってくれた時から今日までほぼずっと坊ちゃんにお菓子を作って,プレイをしていた。
倒れてしまった時は,違かったけれど,その後元気になってからは最初のやり方からなに一つ変えなかった。坊ちゃんが色んなプレイの方法があると知ってからも…。
「いいから,早く僕の部屋に来てね。待っている」
「もちろん。早く行きますよ」
「うん,じゃあね」
坊ちゃんは自分の部屋へ僕はキッチンへと向かった。
今日は,パーティーということもあって,ちょっとした甘いものはまだ余っているはずそう思って,キッチンへと向かった。
「あの…今日ってなんか甘いものありますか?」
シェフに声をかける。
「あぁ,あるぞ。きっと,そう言われると思ってな」
さすがだなと思う。ここ数年は,毎年こんな感じで,坊ちゃんは誕生日になると甘いものを欲しがると思われている。
「ありがとうございます」
「うん。これ持っていきな」
差し出された皿には,美味しそうなクッキーが乗っていた。
「美味しそうですね。これは,きっと坊ちゃんもお喜びになると思います」
「なら,よかった」
「いつもありがとうございます」
「いいから。早く持ってけ」
「はい,では失礼します」
僕はそう言って,急いで坊ちゃんの部屋へと向かった。
コンコンとノックをして,僕が来たことを伝える。
「レオ,何してたの?」
不機嫌そうにそう言った。
「申し訳ありません。少し,お話をしていたので…」
特に,何かしてたわけではないけれど,坊ちゃんの気分を悪くさせていたのなら嫌だなと思った。
「別に,謝って欲しいわけじゃなくて,遅かったから心配しただけ…」
「それならよかったです。カイン様を嫌な気分にさせたくはないので…」
「レオが,僕を嫌な気分にさせたことなんて…ないよ。だから,気にしないでよ。それより,早く部屋に入って…」
僕は促されるまま,部屋の中へと入った。
「ねぇ,レオ,始めていい?」
部屋に入って坊ちゃんが椅子に座るなりそう言われる。
「…はい。大丈夫です」
突然命令を使われるのも嫌だけれど,こうやって断言されるとそれはそれで恥ずかしさが増してしまう。自分が了承しないと始まらないと分かっているから余計。
「そっか,じゃあ始めるね。kneel」
僕はそう言われて,坊ちゃんの前で跪く。
くるとわかっていても,やっぱりこの感覚は慣れないなと思う。
「いい子。次は,look」
指差しで坊ちゃんは自分の方を見るように言った。
僕は言われた通り,坊ちゃんの方を見つめる。
「ありがとう。じゃあ,そのままstay」
それから,どのくらいだったのかわからないけれど,僕は坊ちゃんの方を動かずにずっと見つめていた。
「…レオ,辛くない?」
こんなに優しい命令,辛いどころか心地が良かった。心地が良くて、心がホッとするそんなもの。
(あぁ,離れたくない…)
「辛くないですよ。心配しないで,ください」
「そっか,じゃあ…」
坊ちゃんは,黙って皿の上に乗っているクッキーを手に取った。
(えっ…?)
僕はそれを見て何をしているのかわからなかった。けれど,命令されているわけでもないのに僕は声も身体も動かず黙って見ていることしかできなかった。
「レオ,eatはい,あーん」
「あっ…」
口を開き,坊ちゃんの手からクッキーを食べる。
いつもと逆で,こんな光景が見えていたんだなと思った。
「おいしい?」
「…はい。おいしいです…」
「良かった…。これね,僕が作ったんだ…。レオのために」
坊ちゃんが?脳が坊ちゃんの言っていることに反応が追いつかなかった。
「うふっ,驚きすぎ…僕ね,今日レオに言いたいことがあるの…聞いてくれる?」
微笑みながら,真剣な表情でこちらを向いていた。
「お疲れ様です。ところで,本日はどうでしたか?」
「緊張したけど,どうにかなったかな。レオとの特訓とスピーチ前レオが元気づけてくれたおかげ。ありがとう」
ちなみに,特訓は,パーティーの1ヶ月ほど前から一応に備えてある程度の振る舞いを坊ちゃんと僕とで復習したこと。けれど,僕はほとんど見ているだけだった。
「違います。カイン様がいつも頑張っていたからですよ」
「レオにそういってもらえると僕嬉しい。でも,レオがいたからだと思う。そ,それで,最近忙しくて約束の日にできなかったから…今日でもいい?」
坊ちゃんは僕の裾を掴みながら,言いづらそうに言った。
初めてプレイをしてから5年。次第に,坊ちゃんもプレイがどんなものであるかは分かってきたらしく,最近ではいつもこんな感じだったりする。
「大丈夫ですよ。そんな顔しないでください」
僕は,坊ちゃんの前に立って見上げる。
「だって…」
「いいんですよ。それより…カイン様も早くちゃんとしたパートナー見つけてくださいね。もう,同年代でSubだと分かっている方もおられると思いますから…」
ここ1年くらい僕はプレイをするたびに坊ちゃんに言う。僕がsubだと分かったのも今の坊ちゃんくらいだったこともあって余計に。
それに何より,僕は男で坊ちゃんの跡継ぎなど産めるような存在ではない。だからこそ,早く…見つけて欲しいなと思う。
「うん…」
その度に,下を俯き,嫌そうな顔をしながら,渋々了承する。
「では,私は準備して来ますね。まあ,今日は急なので私が作ったものではないですが…。それでもいいですか?」
一応,確認をとった。僕の作ったものが好きと言ってくれた時から今日までほぼずっと坊ちゃんにお菓子を作って,プレイをしていた。
倒れてしまった時は,違かったけれど,その後元気になってからは最初のやり方からなに一つ変えなかった。坊ちゃんが色んなプレイの方法があると知ってからも…。
「いいから,早く僕の部屋に来てね。待っている」
「もちろん。早く行きますよ」
「うん,じゃあね」
坊ちゃんは自分の部屋へ僕はキッチンへと向かった。
今日は,パーティーということもあって,ちょっとした甘いものはまだ余っているはずそう思って,キッチンへと向かった。
「あの…今日ってなんか甘いものありますか?」
シェフに声をかける。
「あぁ,あるぞ。きっと,そう言われると思ってな」
さすがだなと思う。ここ数年は,毎年こんな感じで,坊ちゃんは誕生日になると甘いものを欲しがると思われている。
「ありがとうございます」
「うん。これ持っていきな」
差し出された皿には,美味しそうなクッキーが乗っていた。
「美味しそうですね。これは,きっと坊ちゃんもお喜びになると思います」
「なら,よかった」
「いつもありがとうございます」
「いいから。早く持ってけ」
「はい,では失礼します」
僕はそう言って,急いで坊ちゃんの部屋へと向かった。
コンコンとノックをして,僕が来たことを伝える。
「レオ,何してたの?」
不機嫌そうにそう言った。
「申し訳ありません。少し,お話をしていたので…」
特に,何かしてたわけではないけれど,坊ちゃんの気分を悪くさせていたのなら嫌だなと思った。
「別に,謝って欲しいわけじゃなくて,遅かったから心配しただけ…」
「それならよかったです。カイン様を嫌な気分にさせたくはないので…」
「レオが,僕を嫌な気分にさせたことなんて…ないよ。だから,気にしないでよ。それより,早く部屋に入って…」
僕は促されるまま,部屋の中へと入った。
「ねぇ,レオ,始めていい?」
部屋に入って坊ちゃんが椅子に座るなりそう言われる。
「…はい。大丈夫です」
突然命令を使われるのも嫌だけれど,こうやって断言されるとそれはそれで恥ずかしさが増してしまう。自分が了承しないと始まらないと分かっているから余計。
「そっか,じゃあ始めるね。kneel」
僕はそう言われて,坊ちゃんの前で跪く。
くるとわかっていても,やっぱりこの感覚は慣れないなと思う。
「いい子。次は,look」
指差しで坊ちゃんは自分の方を見るように言った。
僕は言われた通り,坊ちゃんの方を見つめる。
「ありがとう。じゃあ,そのままstay」
それから,どのくらいだったのかわからないけれど,僕は坊ちゃんの方を動かずにずっと見つめていた。
「…レオ,辛くない?」
こんなに優しい命令,辛いどころか心地が良かった。心地が良くて、心がホッとするそんなもの。
(あぁ,離れたくない…)
「辛くないですよ。心配しないで,ください」
「そっか,じゃあ…」
坊ちゃんは,黙って皿の上に乗っているクッキーを手に取った。
(えっ…?)
僕はそれを見て何をしているのかわからなかった。けれど,命令されているわけでもないのに僕は声も身体も動かず黙って見ていることしかできなかった。
「レオ,eatはい,あーん」
「あっ…」
口を開き,坊ちゃんの手からクッキーを食べる。
いつもと逆で,こんな光景が見えていたんだなと思った。
「おいしい?」
「…はい。おいしいです…」
「良かった…。これね,僕が作ったんだ…。レオのために」
坊ちゃんが?脳が坊ちゃんの言っていることに反応が追いつかなかった。
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微笑みながら,真剣な表情でこちらを向いていた。
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