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2章
8話 手作りお菓子
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「うぅーん,どうしよう…」
僕は,坊ちゃんのお部屋のお掃除をしながらふと呟いた。
最近は坊ちゃんと一緒に過ごす時間もあれば,こうして坊ちゃんの身の回りのことを整理することもあったりする。
ずっと坊ちゃんと一緒にいることは坊ちゃんの習い事にも支障がでることもあるとわかったから。
「何かあったんですか?」
一緒に掃除をしていたメアリさんは,僕の声が聞こえたらしくそう聞き返した。
「それが,ですね…」
僕が今日坊ちゃんとプレイをしなければならないことを話した。
それにしても,メアリさんは僕がSubであるということを知っていているので安心して相談することができていいなと思う。
「えっ…まだしていなかったんですね」
「その言い方は…まぁいいんですけど…どうしようかなと…」
「それなら,何がいいですかね…。プレイって言ってもいろんな方法がありますもんね…。うぅーん,難しいですね」
それから,2人でどうすればいいかを悩むことになった。
いくら考えても僕は,今までの経験から良い方向に向かうことはなかった。
「あ,これならどうですか?」
メアリさんは何かを閃いたらしく,そう言った。
「それはなんですか?」
何にも思いつかない僕は藁にすがる気持ちで尋ねる。
「レオさんが,何かお菓子作って,それを食べてもらうっていうものです。嫌だったらいいんですけど…」
「それどういうことですか?」
メアリさんの言ったことを詳しく知りたいと思い,勢いよく,メアリさんの肩を掴んで聞いてしまった。
「えっと…」
突然のことだったせいで,メアリさんは驚いて固まってしまう。
「すいません。悩んでいたもので…」
冷静になれと頭に言い聞かせてメアリさんから手を離す。
「いえ,いいんです。なんか,レオさんでも興奮して身体が動くことあるんだなと思いまして…なんか意外です」
「ありますよ…ほんとすいません」
「ほんと,気にしないでください。それより,さっきのことですが…」
メアリさんはそうして僕に説明をしてくれた。
メアリさん曰く,僕が坊ちゃんのために何かを手作りして,それを坊ちゃんの命令を使って食べてもらうというものだった。
「なるほど…それなら,まだいいですね」
「そうですよね?よかったです」
「メアリさん,ありがとうございます。では,早速キッチンに向かわないとですね」
今日の今日でキッチンを使うことができるとは思っていなかったけれど,行くしかないなと思った。
僕とメアリさんは,キッチンへと向かった。
「すいません,今からキッチン使うことできますか?」
僕たちはキッチンの中に入って聞いてみる。
今は昼過ぎで,何か料理をしている人はいなかった。
「今なら使うことできる。どうした?」
「いえ,ちょっとしたお菓子でも作ろうかなと思いまして…」
僕は,全てをはっきりということはできず,なるべくオブラートに包みながら言うことを心がけた。
「そうか,何作るつもりなんだ?」
「それは…まだ決まってなくて…何がいいですかね?」
何が簡単で作りやすいのか僕は知らない。何か料理を作ったこともお菓子を作ったこともなかったから。
「なら,クッキーとかどう?」
「いいですね。作り方私も知っているので,一緒に作りませんか?」
メアリさんもシェフもそう言ったので,クッキーを作ることになった。
小麦粉にはちみつと卵,牛乳を入れて混ぜ合わせてから形を作っていく。初めて作った割に形はうまくいったそう思い,窯の中で焼いていく。
「これで,あとは焼き上がりを待つだけです」
鎌の前でメアリさんはそう言った。
「ありがとうございます」
自分で何かを作ろうとか何か誰かのために作ろうとか思ったのも当たり前のように初めてで,新鮮だった。
「レオさんいい顔してますね」
「そうですか?」
「はい,なんか楽しそうだなって思います」
「楽しかったですよ。メアリさんのお陰です。いつもありがとうございます」
メアリさんはこの家に来た時からずっと僕のことを助けてくれる。本当に優しくて頼りになる人だなと今日のことで改めて感じた。
「いえ,私は何も。それより,レオさん頑張ってくださいね」
「そ,そうですね。頑張ります…?」
普段の様子で,恥ずかしげもなくメアリさんが言うので,僕が恥ずかしくなってしまった。
「あとどれくらいで焼けますかね…?」
窯の中を見ながら,メアリさんに聞いてみる。
「もう少しじゃないですか」
窯の中はどうなっているのか見えづらく,焼き上がっているのか今どのくらい焼けているのかがよくわからなかった。
「感覚でやらないといけないのは難しいですね…」
「まあ,そこは慣れですよね」
そんなことをメアリさんは言っていたけれど,初めて作る身としては慣れも何もなかった。
「もういいですかね?」
窯を覗き,一旦クッキーを出してみる。
すると,若干焦げていて,綺麗な形をしていたのに少し歪んでしまっていた。
「これは…持っていけないですね…」
坊ちゃんにはこんな失敗作持っていくにも申し訳ない気持ちで持っていくことができないそう思った。
僕は,坊ちゃんのお部屋のお掃除をしながらふと呟いた。
最近は坊ちゃんと一緒に過ごす時間もあれば,こうして坊ちゃんの身の回りのことを整理することもあったりする。
ずっと坊ちゃんと一緒にいることは坊ちゃんの習い事にも支障がでることもあるとわかったから。
「何かあったんですか?」
一緒に掃除をしていたメアリさんは,僕の声が聞こえたらしくそう聞き返した。
「それが,ですね…」
僕が今日坊ちゃんとプレイをしなければならないことを話した。
それにしても,メアリさんは僕がSubであるということを知っていているので安心して相談することができていいなと思う。
「えっ…まだしていなかったんですね」
「その言い方は…まぁいいんですけど…どうしようかなと…」
「それなら,何がいいですかね…。プレイって言ってもいろんな方法がありますもんね…。うぅーん,難しいですね」
それから,2人でどうすればいいかを悩むことになった。
いくら考えても僕は,今までの経験から良い方向に向かうことはなかった。
「あ,これならどうですか?」
メアリさんは何かを閃いたらしく,そう言った。
「それはなんですか?」
何にも思いつかない僕は藁にすがる気持ちで尋ねる。
「レオさんが,何かお菓子作って,それを食べてもらうっていうものです。嫌だったらいいんですけど…」
「それどういうことですか?」
メアリさんの言ったことを詳しく知りたいと思い,勢いよく,メアリさんの肩を掴んで聞いてしまった。
「えっと…」
突然のことだったせいで,メアリさんは驚いて固まってしまう。
「すいません。悩んでいたもので…」
冷静になれと頭に言い聞かせてメアリさんから手を離す。
「いえ,いいんです。なんか,レオさんでも興奮して身体が動くことあるんだなと思いまして…なんか意外です」
「ありますよ…ほんとすいません」
「ほんと,気にしないでください。それより,さっきのことですが…」
メアリさんはそうして僕に説明をしてくれた。
メアリさん曰く,僕が坊ちゃんのために何かを手作りして,それを坊ちゃんの命令を使って食べてもらうというものだった。
「なるほど…それなら,まだいいですね」
「そうですよね?よかったです」
「メアリさん,ありがとうございます。では,早速キッチンに向かわないとですね」
今日の今日でキッチンを使うことができるとは思っていなかったけれど,行くしかないなと思った。
僕とメアリさんは,キッチンへと向かった。
「すいません,今からキッチン使うことできますか?」
僕たちはキッチンの中に入って聞いてみる。
今は昼過ぎで,何か料理をしている人はいなかった。
「今なら使うことできる。どうした?」
「いえ,ちょっとしたお菓子でも作ろうかなと思いまして…」
僕は,全てをはっきりということはできず,なるべくオブラートに包みながら言うことを心がけた。
「そうか,何作るつもりなんだ?」
「それは…まだ決まってなくて…何がいいですかね?」
何が簡単で作りやすいのか僕は知らない。何か料理を作ったこともお菓子を作ったこともなかったから。
「なら,クッキーとかどう?」
「いいですね。作り方私も知っているので,一緒に作りませんか?」
メアリさんもシェフもそう言ったので,クッキーを作ることになった。
小麦粉にはちみつと卵,牛乳を入れて混ぜ合わせてから形を作っていく。初めて作った割に形はうまくいったそう思い,窯の中で焼いていく。
「これで,あとは焼き上がりを待つだけです」
鎌の前でメアリさんはそう言った。
「ありがとうございます」
自分で何かを作ろうとか何か誰かのために作ろうとか思ったのも当たり前のように初めてで,新鮮だった。
「レオさんいい顔してますね」
「そうですか?」
「はい,なんか楽しそうだなって思います」
「楽しかったですよ。メアリさんのお陰です。いつもありがとうございます」
メアリさんはこの家に来た時からずっと僕のことを助けてくれる。本当に優しくて頼りになる人だなと今日のことで改めて感じた。
「いえ,私は何も。それより,レオさん頑張ってくださいね」
「そ,そうですね。頑張ります…?」
普段の様子で,恥ずかしげもなくメアリさんが言うので,僕が恥ずかしくなってしまった。
「あとどれくらいで焼けますかね…?」
窯の中を見ながら,メアリさんに聞いてみる。
「もう少しじゃないですか」
窯の中はどうなっているのか見えづらく,焼き上がっているのか今どのくらい焼けているのかがよくわからなかった。
「感覚でやらないといけないのは難しいですね…」
「まあ,そこは慣れですよね」
そんなことをメアリさんは言っていたけれど,初めて作る身としては慣れも何もなかった。
「もういいですかね?」
窯を覗き,一旦クッキーを出してみる。
すると,若干焦げていて,綺麗な形をしていたのに少し歪んでしまっていた。
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