坊ちゃんと執事の日々のお話

紫雲もか

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2章

5話 なるほど…

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先生は振り返りながら僕の声に反応した。
「突然すいません」
「いえ,別に…大丈夫ですが…」
先生は驚きつつそう答えた。
「ありがとうございます。えっと…先日から坊ちゃんのお世話係になりましたレオと申します」
執事という言葉はほんの少しまだ恥ずかしくて言葉にできなかった。
「レオさん,えっと…僕の名前は,ケヴィンです。よろしくお願いします」
ケヴィンさんは,人懐っこい笑顔で僕にそう言って,手を差し出す。
「はい,ケヴィンさんこれからお願いします」
僕はケヴィンさんの手を取り,握手をする。
「それで,どうしたんですか?」
ケヴィンさんは僕の方を不思議そうにして見ている。
「あ,あの聞きたいことがありまして、お聞きしてもいいでしょうか?」
引き止めてしまって,申し訳ないなと改めて思いながら尋ねた。
「いいですよ。僕に答えられることでしたらぜひ聞いてください」
ケヴィンさんは,嫌な顔するどころかむしろ笑顔で僕に言う。
「それで聞きたいということなんですが,坊ちゃんは前からあのように剣術を嫌がっていたのかなということなのですが…」
誰よりもケヴィンさんの方が坊ちゃんが剣術に対してどう思っていたか知っているはずだと思った。
「そうですね…前から嫌がってはいました。でも,あそこまでは酷くなかったですよ」
ケヴィンさんは少し考えて,そう話した。
「そうなんですね。例えば,何かありますか?」
具体的にどう言ったことなのか気になった。
「そうですね,前までは,普通に剣術が上手くいかず,嫌だと言っていただけだったのが,最近では強くなりたくないとか人を傷つけたくないとか言うようになったことですかね」
少し悩みながらも思い出して,つらつらと僕にわかりやすく説明をしてくれる。
「なるほど…ありがとうございます。もしかして,それって,Domだと分かってからとかですか?」
坊ちゃんが前言っていたことと被っているように思ったので聞いてみる。
「そういえば…そうかもしれないです」
「ありがとうございます」
「いえ,大丈夫です。では,失礼します」
ケヴィンさんはそう言って玄関の方へと向かっていく。
「本日はありがとうございました」
僕は一礼をしてケヴィンさんを見送った。
(どうしたものかな…これは余計に,坊ちゃんにダイナミクスについてしっかりと理解してもらわないといけない)
そう考え事をしながらキッチンへと向かった。
「すいません,今朝,頼んでおいたものはどうなりましたか?」
「あーあれ,どうにか作れたよ。ちょっとまってな」
そう言って,キッチンの奥へと取りにいってくれた。
「これで大丈夫?」
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
僕はそれを受け取って坊ちゃんの部屋へと向かった。
(喜んでくれるかな…)
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