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3章
10話 助けられた? side坊ちゃん
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「メアリ」
「どうされましたか?」
「僕は,レオに嫌われていないよね…?」
自分が言いつけを守らなかったから,こうなってしまっていて,約束を守れなかった僕は悪い子で,レオは僕のこときらいになったかもしれない…。そう考えるだけで,悲しくなる。それでも…嫌われたくはない。その思いも強くて…心がぐちゃぐちゃになった。
「坊ちゃん,嫌われていることはないと思います。約束を守れなかったのは,坊ちゃんが悪いことです。ですが,坊ちゃんが巻き込まれたことは坊ちゃんが悪いことではございませんよ。ですから…」
「そ,そうだけど…レオは,酷い目に遭っているんだよ。僕のせいで…それに…僕は,何にも何にも…できなかった…できなかったんだ…レオのために…」
声を張り上げて,自分自身が情けなくて,もうどうすればいいのか僕にはわからなかった。
「…坊ちゃん…それでは…今度からちゃんとレオさんとの約束を守って……それから…えっと…レオさんも守れるようにお強くなるというのはどうですか?」
メアリは,ちょっとの間考えて,僕を落ち着かせるために抱きしめながらそう言った。
「…っ…でもっ…僕…っ強くないもん。強くもなれないもん…なれる未来なんてっ…きっと…きっと来ない」
こんなこと,言ったらいけないってなんとなくわかってる。それは,レオに出会った頃に言われたから。
“坊ちゃん,坊ちゃんはきっとお強くなれます。だから,自信を持ってください”と…。
この言葉は僕に自信をくれた。それから,今日までなるべく自分を信じて頑張ってきた.…でも,今日のことでわかった。僕が,誰も守ることができないことを…。
「坊ちゃん,そう思うのでしたら,きっとお強くなれます…そのお強くなろうと思う気持ちが大切なのです。それから,誰かのために,それも誰かを守るために強くなると言うことはなかなかできるものではないのです。ですから…」
僕は,メアリが言いたいこともなんとなくだけどわかった。けど,僕がどうすれば強くなれるのかなんてそれはやっぱりわからないそう思った。
「ですから…坊ちゃん,坊ちゃんは今どうしたいですか?どうなりたいですか?やりたいことはありますか?」
「やりたいこと?なりたいこと…?わからない…わかるわけないよ…」
「では,今はそれを考えましょう…それだけを考えてください…」
不安と恐怖で困っている僕にそう言って考えさせた。
僕は,どうなりたい?やりたいこと?そんなものは今は特にないだった。
そんな時,リアンさんに抱えられたレオが僕のところまでやってきた。
「坊ちゃん…」
メアリの声が聞こえたけど僕はレオたちのいる方へと駆け出していた。
「レオ…どうしたの?大丈夫?」
レオが苦しそうに,どうにか全身で息をしている。その様子を見た途端,少しは落ち着いた心が乱れ出した。
「突然,命令を使われたから,少し具合が悪くなったみたいなんだ」
「う,っん…それで,レオは大丈夫なの?」
「大丈夫ではないかな…」
苦い顔をしながら,リアンさんは,はっきりと僕にそう言った。きっと,レオの今の状態は思っているよりもやばいのだろうなと感じる。
リアンさんがいつもよりも焦っているように感じたから。
「ねぇ,レオ…」
話しかけていいのかわからなかったけれど,反応があったら大丈夫だと思いたくて話しかけてみる。
「…っん…?坊ちゃん…?」
僕の声に反応して,リアンさんに抱き抱えられているレオはこちらを向いた。
「っ…うん。そっそうだよ。それで…っ大丈夫?」
「そうですね…今,立てないくらいで…はぁ…大丈夫では…はぁ…ありますよ。心配…してくれた…のですか?」
「するに決まってる。レオが…レオが…」
安堵と同時に,スラスラと話せていない驚きで僕は何を喋ればいいのかわからなくなった。
「大丈夫…ですから…そんなに…慌てないでください…」
力無い手で,僕の頭を撫でた。
「大丈夫には,見えないから…見えない…」
「泣かないで…ください。坊ちゃんは、泣き虫ですね」
「違うこれは…」
「…そうですね…僕は大丈夫ですから…安心してください」
安心なんてできないそんなことを思いながら僕は何度も何度も頷く。
「いい子ですね…」
ニコッと口角をあげて僕にほんの少しの安心を与えた。けれど,次の瞬間,僕の頭に置いてあったレオの手がするりと落ちた。
「レオ…」
意識はまだあるのか反応はした。けれど…。
「…レオ,もう辛いだろ?」
そんな僕たちの様子を見ていたリアンさんが口を開いた。
レオは,首を横に振るけれど,どう見ても意識を保っているのとも辛そうだった。
「あ,あの,リアンさん,僕,何かできたりしますか?」
この時は,頭が不思議と働いた。レオのために何かをすること…それが僕のやりたいこと…今の僕がしなきゃいけないこと…そうやって僕の心が本当が言っていた。
「そうだな…では,レオと一緒にお家に帰って欲しい…この状態では危ないからな」
「うっうん。わかった…それで,メアリは?」
メアリは途中から僕たちの話を黙って聞いていた。
「私は,何があったのかそれについてお伺いしたいと思いますので,お二人でお帰りになってください」
「どうして?一緒に帰ってくれないの…?ねぇ…なんで?」
僕はメアリのところに行ってそう聞く。2人ならレオをどうにかできるかもしれないのに…。
それでも…「ごめんなさいね。坊ちゃん…私にはいけない理由があるのです…本当にごめんなさい…」
メアリは申し訳なさそうに僕に何度も何度も謝りながらも行けないことをはっきりと伝えてくる。
「…っ…わかった…わかったから」
メアリの様子を見る限り,本当に来てくれないんだと察した。
「ありがとうございます。坊ちゃん…」
「…うん…それで,家まではどうやって帰ればいいの?」
乗ってきた馬車で帰ろうにも今ここにくるわけではない。
「それは,大丈夫。もうすぐ来るはずだから」
リアンさんはそう言ってから少しして,馬車がこちらへとやってくる。
「えっ…これに乗るんですか?」
僕はびっくりしてリアンさんに聞いた。てっきりまだまだ来ないものとばかり思っていた。
「うん。これに乗って,帰って欲しい。一応,俺の部下が運転をするから大丈夫だ…安心して帰って欲しい」
「わ、わかりました」
僕がそう返事をするとリアンさんはまずレオを馬車の座席へと座らせる。
「どうされましたか?」
「僕は,レオに嫌われていないよね…?」
自分が言いつけを守らなかったから,こうなってしまっていて,約束を守れなかった僕は悪い子で,レオは僕のこときらいになったかもしれない…。そう考えるだけで,悲しくなる。それでも…嫌われたくはない。その思いも強くて…心がぐちゃぐちゃになった。
「坊ちゃん,嫌われていることはないと思います。約束を守れなかったのは,坊ちゃんが悪いことです。ですが,坊ちゃんが巻き込まれたことは坊ちゃんが悪いことではございませんよ。ですから…」
「そ,そうだけど…レオは,酷い目に遭っているんだよ。僕のせいで…それに…僕は,何にも何にも…できなかった…できなかったんだ…レオのために…」
声を張り上げて,自分自身が情けなくて,もうどうすればいいのか僕にはわからなかった。
「…坊ちゃん…それでは…今度からちゃんとレオさんとの約束を守って……それから…えっと…レオさんも守れるようにお強くなるというのはどうですか?」
メアリは,ちょっとの間考えて,僕を落ち着かせるために抱きしめながらそう言った。
「…っ…でもっ…僕…っ強くないもん。強くもなれないもん…なれる未来なんてっ…きっと…きっと来ない」
こんなこと,言ったらいけないってなんとなくわかってる。それは,レオに出会った頃に言われたから。
“坊ちゃん,坊ちゃんはきっとお強くなれます。だから,自信を持ってください”と…。
この言葉は僕に自信をくれた。それから,今日までなるべく自分を信じて頑張ってきた.…でも,今日のことでわかった。僕が,誰も守ることができないことを…。
「坊ちゃん,そう思うのでしたら,きっとお強くなれます…そのお強くなろうと思う気持ちが大切なのです。それから,誰かのために,それも誰かを守るために強くなると言うことはなかなかできるものではないのです。ですから…」
僕は,メアリが言いたいこともなんとなくだけどわかった。けど,僕がどうすれば強くなれるのかなんてそれはやっぱりわからないそう思った。
「ですから…坊ちゃん,坊ちゃんは今どうしたいですか?どうなりたいですか?やりたいことはありますか?」
「やりたいこと?なりたいこと…?わからない…わかるわけないよ…」
「では,今はそれを考えましょう…それだけを考えてください…」
不安と恐怖で困っている僕にそう言って考えさせた。
僕は,どうなりたい?やりたいこと?そんなものは今は特にないだった。
そんな時,リアンさんに抱えられたレオが僕のところまでやってきた。
「坊ちゃん…」
メアリの声が聞こえたけど僕はレオたちのいる方へと駆け出していた。
「レオ…どうしたの?大丈夫?」
レオが苦しそうに,どうにか全身で息をしている。その様子を見た途端,少しは落ち着いた心が乱れ出した。
「突然,命令を使われたから,少し具合が悪くなったみたいなんだ」
「う,っん…それで,レオは大丈夫なの?」
「大丈夫ではないかな…」
苦い顔をしながら,リアンさんは,はっきりと僕にそう言った。きっと,レオの今の状態は思っているよりもやばいのだろうなと感じる。
リアンさんがいつもよりも焦っているように感じたから。
「ねぇ,レオ…」
話しかけていいのかわからなかったけれど,反応があったら大丈夫だと思いたくて話しかけてみる。
「…っん…?坊ちゃん…?」
僕の声に反応して,リアンさんに抱き抱えられているレオはこちらを向いた。
「っ…うん。そっそうだよ。それで…っ大丈夫?」
「そうですね…今,立てないくらいで…はぁ…大丈夫では…はぁ…ありますよ。心配…してくれた…のですか?」
「するに決まってる。レオが…レオが…」
安堵と同時に,スラスラと話せていない驚きで僕は何を喋ればいいのかわからなくなった。
「大丈夫…ですから…そんなに…慌てないでください…」
力無い手で,僕の頭を撫でた。
「大丈夫には,見えないから…見えない…」
「泣かないで…ください。坊ちゃんは、泣き虫ですね」
「違うこれは…」
「…そうですね…僕は大丈夫ですから…安心してください」
安心なんてできないそんなことを思いながら僕は何度も何度も頷く。
「いい子ですね…」
ニコッと口角をあげて僕にほんの少しの安心を与えた。けれど,次の瞬間,僕の頭に置いてあったレオの手がするりと落ちた。
「レオ…」
意識はまだあるのか反応はした。けれど…。
「…レオ,もう辛いだろ?」
そんな僕たちの様子を見ていたリアンさんが口を開いた。
レオは,首を横に振るけれど,どう見ても意識を保っているのとも辛そうだった。
「あ,あの,リアンさん,僕,何かできたりしますか?」
この時は,頭が不思議と働いた。レオのために何かをすること…それが僕のやりたいこと…今の僕がしなきゃいけないこと…そうやって僕の心が本当が言っていた。
「そうだな…では,レオと一緒にお家に帰って欲しい…この状態では危ないからな」
「うっうん。わかった…それで,メアリは?」
メアリは途中から僕たちの話を黙って聞いていた。
「私は,何があったのかそれについてお伺いしたいと思いますので,お二人でお帰りになってください」
「どうして?一緒に帰ってくれないの…?ねぇ…なんで?」
僕はメアリのところに行ってそう聞く。2人ならレオをどうにかできるかもしれないのに…。
それでも…「ごめんなさいね。坊ちゃん…私にはいけない理由があるのです…本当にごめんなさい…」
メアリは申し訳なさそうに僕に何度も何度も謝りながらも行けないことをはっきりと伝えてくる。
「…っ…わかった…わかったから」
メアリの様子を見る限り,本当に来てくれないんだと察した。
「ありがとうございます。坊ちゃん…」
「…うん…それで,家まではどうやって帰ればいいの?」
乗ってきた馬車で帰ろうにも今ここにくるわけではない。
「それは,大丈夫。もうすぐ来るはずだから」
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「えっ…これに乗るんですか?」
僕はびっくりしてリアンさんに聞いた。てっきりまだまだ来ないものとばかり思っていた。
「うん。これに乗って,帰って欲しい。一応,俺の部下が運転をするから大丈夫だ…安心して帰って欲しい」
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